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ハワイのホットスポット火山の原因は「マントルの上昇流」

2010年08月03日 | 地学
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 火山のできる場所は?
 地球上で火山ができる場所はどこだろう?

 正解は主に3つ。プレート発散型境界(リフトバレー、海嶺)、プレート収束型境界(海溝)、ホットスポットである。

 プレート発散型とは、地下から湧き上がってきたマントルが、冷えて地殻ができる場所である。プレートテクトニクスによれば、地球上で最も火山活動が活発なのはこの熱いマントルが上昇してくる場所で、その多くは海底にあり、海嶺とよばれる。世界で唯一アイスランドが海嶺を地上で観察できる場所で有名だ。陸上で地殻のできる場所をリフトバレーという。この代表的なものがグレート・リフト・バレー(東アフリカ大地溝帯)で、同様に活発な火山活動を伴って東西に拡大している。

 プレート収束型境界とは、プレートとプレートがぶつかり、一方がマントルまで沈み込む場所である。この場所を海溝と呼び、火山が発生しやすい。海溝で沈み込んでいる海洋プレート表面の岩石には多量の水が含まれる。水分を含んだ岩石は融解温度が低下するので、沈み込みにより地下深部に達すると、通常よりも低い温度で融けはじめマグマが発生すると考えられている。日本に火山が多いのも海溝が多いからだ。

 ホットスポットとは、地表の特定箇所に継続的に大量のマグマが供給される場所である。ハワイ火山列島がこのタイプで、固定したホットスポットで噴火が起こり火山島ができる一方で太平洋プレートが北西に動くため、古い火山島が北西にずれていくとともに南東側に新しい火山島ができ、結果として北西ほど古く南東ほど新しい火山列島となっている。

 ホットスポットの位置はプレートの動きとは無関係に一定しており、プレートの下のマントルが対流しているのが原因で、ハワイ火山列島の下では、マントルが上昇していると予想されてきた。しかし、これまで上昇流の存在を示す直接的な証拠はなかった。

 マントルの上昇を確認
 ハワイ島の真下にあるマグマの上昇路「ホットスポット」はマントルと核の境界に近いマントル最下部に源を発することが、東京大学の研究チームによって突き止められた。

 東京大学大学院理学系研究科の河合研志・客員研究員とロバート・ゲラー教授は、地震波の理論波形を計算して観測波形と直接比較するという新しい手法により、ハワイホットスポットのマントル上昇がどこから始まるかを探った。その結果、深さ約2,700-2,500キロ付近から上昇が始まっていることが分かった。地球の内部は表面の薄い殻のすぐ下から深さ約2,900キロまでが岩石からなる固体の層であるマントルで、その下に液体の鉄で構成される外核、さらにその下、地球の中心部は固体の鉄でできているとされている。

 ホットスポットは、最も有名なハワイのほか、地球上に多数、存在している。ホットスポットの位置は変わらないが、地球の表面はプレートと呼ばれる固い岩盤で覆われており、このプレートはマントルの上昇、水平移動、沈降という動きに乗って移動している。ハワイ諸島の場合、一番、東側にあるハワイ島は今まさにホットスポットの真上に位置するため、マウナ・ロア、キラウエアの両火山が活発に活動している。しかし、同じハワイ島でも西側にある火山は、太平洋プレートの西方向への移動に応じてホットプレートの真上から西へずれてしまっているために既に火山活動を休止している。

 さらにハワイ諸島の西側に連なるマウイ、モロカイ、オアフ島などもかつてホットプレートの真上にあった時期に作られた火山島だが、いずれも太平洋プレートの動きによって西方に移動、ハワイ島の休火山より昔に火山活動は終了していることが分かっている。また、ハワイ諸島の西側の海底に連なるハワイ海山群と天皇海山群もさらに昔にハワイホットスポットによってつくり出された火山島の名残と考えられている。(サイエンスポータル 2010年7月22日)
 
 波形インバージョンとは何か?
 今回マントルの動きを探った、「地震波の理論波形を計算して観測波形と直接比較するという新しい手法」とはどんな方法だろうか?

 マントルは対流しており、最下部マントルでは水平流および上昇流の存在が予想されている。 しかし、これまで上昇流の存在を示す直接的な証拠はなかった。 東京大学、河合研志研究員と東京大学、ロバート・ゲラー教授らの研究グループは、グループで独自に開発を行った「波形インバージョン」という方法を用いた。

 「波形インバージョン」は、理論波形を計算して、それと観測波形とを直接比較し、その残差を最小化するために内部構造モデルを系統的に改善する手法である。研究グループはこれを実行するための理論を導き、その上で関連するソフトウェアを開発してきた。 

 地震波には縦波と横波があり、「縦波」をP波、「横波」をS波と呼ぶ。すなわち、S波の振動方向は伝播方向に直行する。さらに、S波には2つの互いに直交する震動成分がある。水平方向に震動する成分を持つS波をSH波と呼び、それと直交する成分をSV波と呼ぶ。

 地震が起きたときのデータ解析を行い、ハワイの下の最下部マントルで、SV波の速度がSH波の速度よりも速いという「異方性構造」の存在を発見した。

 「異方性構造」とは何だろう?等方な媒体では、地震波のP波とS波の伝播速度は、通常、変位方向や伝播方向によって伝播速度が異なることはない。ところが、同じ点においても、伝播速度が変位方向や伝播方向によって異なる場合があり、これを「異方性」と呼ぶ。地震波の「異方性構造」の正確な推定によって、マントル対流やマントルの構成物質についての情報を得ることができる。

 今回の観測の結果、ハワイのホットスポット火山の起源となるマントルの上昇流が、核・マントル境界から上がってきていることが分かった。(東京大学プレスリリース 2010/7/21)

 

参考HP Wikipedia「火山」「リフトバレー」 ・東京大学大学院プレスリリース「ハワイのホットスポット火山下にマントルの上昇流

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