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「J-PARC」から「スーパーカミオカンデ」へ!ニュートリノ振動の謎を追う

2010年02月27日 | 物理

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 スーパーカミオカンデ 
 1987年、岐阜県飛騨市にある「カミオカンデ」で超新星SN 1987Aの 爆発によるニュートリノが初めて観測された。ニュートリノ天文学の記念すべき第一歩である。ニュートリノの飛来した方向、時刻、エネルギー分布が詳細に分析されたのはこの観測が初めてであった。この成果によって東京大学名誉教授の小柴昌俊博士が2002年にノーベル物理学賞を受賞した。

 2010年、2月24日新しくなった「スーパーカミオカンデ」で、茨城県東海村で人工的に作られた素粒子「ニュートリノ」を検出することに初めて成功した。この実験では、ニュートリノが飛行中に別の種類のニュートリノに変わる「ニュートリノ振動」という現象を調べることを目的としている。果たして、ニュートリノ振動は観測されたのだろうか?

 人工ニュートリノを検出
 高エネルギー加速器研究機構(KEK)や東京大宇宙線研究所など国内外の研究者で組織する「T2K実験グループ」は25日、茨城県東海村で人工的に作られた素粒子「ニュートリノ」を約295キロ離れた岐阜県飛騨市で検出することに初めて成功したと発表した。

 ニュートリノは物質を構成する最小単位、素粒子の一種。詳しい性質が未解明で、人工的にニュートリノを発生させ、遠くに飛ばしてその振る舞いを検出する実験が各国で行われている。

 今回は、昨年4月にニュートリノ発生に成功した東海村の大強度陽子加速器施設「J-PARC」から、飛騨市の検出器「スーパーカミオカンデ」に向けてニュートリノを発射。24日午前6時、スーパーカミオカンデ側で検出が確認された。今後、発射を増やし、研究を進展させる。(毎日新聞 2010年2月25日)

 ニュートリノとは何か?
 物質を構成している最小の粒子を素粒子と言う。現在では、最小の粒子は原子ではない。原子核の陽子や中性子を構成する粒子の仲間(クオーク)と電子の仲間(レプトン)が素粒子と考えられている。レプトンのうち、電気を持たない粒子をニュートリノと呼び、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3種類がある。

 ニュートリノの存在は、放射性物質のベ-タ崩壊(物質中の中性子が電子を放出して陽子に変わること)のとき、放出されるエネルギーの量が理論的な値より少なく、どこへ消失したのかが問題になったことで、考え出された想像上の粒子であった。

 ニュートリノの発見
 1930年、オーストリアのW.・パウリがベータ崩壊では中性の粒子がエネルギーを持ち去っているという仮説を公表。これが後に「ニュートリノ」になる粒子だった。

 1932年に中性子が発見されたのをきっかけに、エンリコ・フェルミはベータ崩壊のプロセスを「ベータ崩壊は原子核内の中性子が陽子と電子を放出しさらに中性の粒子も放出する」との仮説を発表。この粒子を「ニュートリノ」と名付けた。

 1956年、アメリカのライネスらによって、原子炉から生まれるニュートリノが初めて発見された。

 1969年、アメリカのデイビスが太陽ニュートリノの観測を開始。観測を重ねた結果、ニュートリノは理論からの予想の1/3程度しか発見されなかった。このことは、「太陽ニュートリノ問題」と呼ばれた。

 1987年、超新星SN 1987Aの 爆発によるニュートリノが初めて観測された。ニュートリノ天文学の記念すべき第一歩と紹介される。ニュートリノの飛来した方向、時刻、エネルギー分布が詳細に分析されたのはこの観測が初めてであり、ニュートリノ天文学を大きく飛躍させた。この成果によって東京大学名誉教授の小柴昌俊博士が2002年にノーベル物理学賞を受賞した。

 ニュートリノに質量はあるか?
 ニュートリノに質量があるかという問題は、これまでの物理学では解決していなかった。ところが質量があるときにしか現れない「ニュートリノ振動」と見られる現象が次々と明らかになったことで、ニュートリノに質量があることがわかった。

 1998年6月にスーパーカミオカンデ共同実験グループは、宇宙線が大気と衝突する際に発生する大気ニュートリノの観測から、ニュートリノ振動の証拠を99%の確率で確認した。 また、2001年には、太陽からくる太陽ニュートリノの観察からも強い証拠を得た。

 ニュートリノ振動とは何か?
 ニュートリノには、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3種類があるが、いつもひとつの性質を保つわけではなく、飛んでいるうちに互いに入れ換わっている。

 太陽からやっていくる太陽ニュートリノや宇宙線が大気にぶつかって発生する大気ニュートリノが、その道のりの途中で他の種類のニュートリノに移り変わるのが「ニュートリノ振動」である。

 加速器で100%純粋なミューニュートリノを作っても、距離と共にある割合で別のニュートリノに変化する。これは、ニュートリノが重さをもち、世代間の混合がある場合に限り起きる現象である。

 

参考HP Wikipedia「ニュートリノ」「ニュートリノ振動」・KEKプレス「スーパーカミオカンデでJ-PARCからのニュートリノ初検出 

ニュートリノは何処へ―宇宙の謎に迫る17の物語
ジョン グリビン
シュプリンガー・フェアラーク東京

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別冊日経サイエンス164 ニュートリノで輝く宇宙(カミオカンデから始まった物理学の革新)

日経サイエンス

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