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Yes,We Love Science!

自然科学大好き!「自然」は地球、宇宙、人、社会、宗教...あらゆるものを含みます.さあ、あらゆる不思議を探検しよう!

NZ地震、生死を左右する72時間を経過、日本人留学生27人未だ不明

2011年02月26日 | 地学

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NZ地震、生死を左右する72時間を経過、日本人留学生27人未だ不明

 2011年2月22日午後0時51分、ニュージーランド・クライストチャーチ付近で発生したマグニチュード(M)6.3の地震では、多数の日本人が被災した。警察当局は、市内の語学学校「キングス・エデュケーション」が入るCTVビル倒壊現場では、100人以上ががれきの下敷きになっていると発表。「キングス・エデュケーション」で語学研修を受けていた日本人で、連絡が取れない人は少なくとも27人おり、この100人の中に含まれていると思われる。

 

 日本の国際緊急援助隊は25日も、語学学校「キングス・エデュケーション」の入居するCTVビルで救出作業に当たり、安否不明の日本人学生らを捜し続けた。被災者の生死を左右する「発生から72時間」は経過したが、過去の災害でもそれを超えた時間帯の救出例はあり、日本国内で見守るレスキューや医療の関係者は、「一人でも多くの命を救って」と祈っている。

 22日午後0時51分(現地時間)の地震発生から「72時間」を1時間半余り過ぎた25日午後2時半頃。国際緊急援助隊の吉井幸夫団長は報道陣に対し、「生存者がいるという希望を持って、救出活動を続けることに変わりはない」と語った。 

続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/
参考HP Wikipedia「クライストチャーチ」

 

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2011.2.22PM0:51「ニュージーランド南部地震」発生!「阪神」並みの揺れ

2011年02月23日 | 地学

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2011.2.22PM0:51「ニュージーランド南部地震」発生!「阪神」並みの揺れ



 アメリカの地質調査所によると、ニュージーランド南部で2月22日午後0時51分(日本時間の午前8時51分)、マグニチュード6.3の地震を観測した。震源はニュージーランド南島のクライストチャーチ近郊、深さは4キロとみられている。ハワイにある太平洋津波警報センターなどによると、この地震による津波のおそれはないということだった。

 夕方のニュースで、くわしい被害の状況が映像で伝えらた。ニュージーランド・キー首相は22日、地元メディアに対し「完全な廃虚となった光景だ。ニュージーランドで最も暗い日となった」と述べた。首相は死者は少なくとも65人にのぼるとしている。クライストチャーチ市のシンボル的存在の大聖堂の塔も崩れ落ちた。地元テレビ局は、死者が200~300人に達する可能性があると伝えた。パーカー市長も同日夜、市内6カ所のビルなどに計100人以上が閉じ込められているほか、個人宅にも多くが閉じ込められている可能性があると語った。

 人口約35万人のクライストチャーチは同国第2の都市。外務省によると、昨年10月1日現在、在留邦人は2820人。(asahi.com 2011年2月22日)

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「新燃岳」300年ぶりのマグマ噴火!爆発的噴火継続!空振が関東まで!

2011年02月05日 | 地学

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 「新燃岳」300年ぶりのマグマ噴火!爆発的噴火継続!空振が関東まで!

 

 鹿児島、宮崎県境の霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)の噴火が続いている。気象庁長官の私的諮問機関「火山噴火予知連絡会」が2月3日、拡大幹事会を開き、「1、2週間は現在と同程度の爆発的噴火が続く」との見解を発表した。

 「約300年ぶりの本格的なマグマ噴火」と明言する一方、大規模な火砕流を伴う大噴火への移行は「兆候が確認されていない」と判断。同庁の噴火警戒レベルを現在の「3」(入山規制)から、住民の避難につながる「4」へ引き上げることは求めなかった。

 見解によると、噴出した火山灰などの量は、推定4000万~8000万トン。火山ガスの二酸化硫黄を1日あたり1万トン以上放出し、活発な噴火が続いている。記者会見した会長の藤井敏嗣・東京大名誉教授は、「江戸時代の噴火は、静まっては活発になるというサイクルを繰り返した。同じ経過をたどる可能性は十分ある」と指摘した。(2011年2月3日21時26分  読売新聞)

 
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宮崎に3度受難!口蹄疫、鳥インフルに続き、霧島・新燃岳噴火!

2011年01月29日 | 地学
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 宮崎に3度受難!口蹄疫、鳥インフルに続き、霧島・新燃岳噴火!

 鹿児島、宮崎県境の霧島山・新燃岳(しんもえだけ)(1421メートル)が1月26日、小規模な噴火があった。1月27日も活発な噴火活動が続いた。午後3時40分ごろには、約50年ぶりとなる中規模の爆発的な噴火が起き、噴煙の高さは火口から2500メートル以上に達した。宮崎県高原町では、火口近くの住民37人が一時自主避難。降灰が両県の広範囲で確認され、市民生活や農作物に影響が出ている。

 鹿児島地方気象台は「今後の噴火活動は供給されるマグマ量で決まるが、噴火警戒レベルを上げるような兆候は出ていない」としている。気象庁は同日、現地調査を実施。火口から約8キロの宮崎県都城市御池町付近で直径約8センチの噴石を確認した。同庁は26日に「小規模」としていた噴火規模を「中規模」に修正。噴火警戒レベルは入山規制の「3」を継続して、火口から約2キロの範囲で噴石への警戒を呼び掛けている。それにしても、何かあるのだろうか、宮崎県は口蹄疫、鳥インフルエンザに続き、今度は噴火も!災難が続いている。


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 出典 Wikipedia「新燃岳」「空振」・気象庁「噴火警戒レベルとは」東京大学地震研究所「新燃岳の噴火

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世界と日本の火山、最近の噴火記録 火山砕屑物とは何か?

2011年01月24日 | 地学

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 世界と日本の火山、最近の噴火記録 火山砕屑物とは何か? 

 昨年はアイスランドの火山噴火に驚かされた。欧州の飛行機が1週間も飛ばなかった。世界に影響を与える噴火というのを初めて、目の当たりにしたからだ。あの火山の名前は何というだろう?

 正解は「エイヤフィヤトラヨークトル」何度聞いても覚えられない。エイヤフィヤトラヨークトルは標高1666mの独立した火山で、 過去には1821年に噴火した 記録がある。この火山の火口は直径は3kmから4kmあり、その周りを100km²の氷河が覆っている。では、最近世界で起きた、火山の噴火にはどんなものがあるだろう?

 


 続きはこちら → 
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 参考HP Wikipedia「火山」「火山砕屑物」「富士山の噴火」 

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富士山で今何が?天狗巣病の拡大、巨大な火砕流の跡を発見!

2010年10月10日 | 地学
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富士山で今何が?天狗巣病の拡大、巨大な火砕流の跡を発見!


 人の手入れが行き届かない竹林が全国的に拡大する中、富士山周辺の静岡県御殿場市や裾野市で、孟宗竹が、竹を枯らす伝染病「天狗巣病」に感染する被害が広がっている。

 一方、約8300年前の富士山の噴火で発生した火砕流が災害予測地図(ハザードマップ)の想定範囲を超え、山頂から17キロ・メートル南の静岡県富士市郊外まで到達していたことを、嶋野岳人(たけと)・富士常葉大准教授らのグループが突き止めた。

 2009年10月に、GPSによる富士山の観測で地殻変動が確認された。これは1996年4月の観測開始以来初めてのことである。この地殻変動により最大2センチの変化が現れ、富士宮市-富士吉田市間で約2cm伸びた。これはマグマが蓄積している(活火山である)現れとされている。 

 

 続きはこちら → http://blog.livedoor.jp/liberty7japan/archives/1199871.html 

参考HP Wikipedia「富士山」「天狗巣病」・富士五湖.TV「富士山ハザードマップ 

富士山の謎をさぐる―富士火山の地球科学と防災学

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茨城に日本最古の地層発見!5億1100万年前の時代とは?

2010年08月21日 | 地学

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 続々と発見!地球の歴史
 有史以前、先史時代は地面を掘って出てきた、遺物や化石をたよりに探っていくしかない。最近もアフリカで、世界最古の石器が見つかったり、南米で最古の恐竜が発見されたり、さまざまな発見が続いている。

 2008年9月、日本最古の地層が、茨城県日立市北部の山地で発見された。このときの年代は約5億600万年前のもので、当時の記録を6000万年も更新する発見であった。

 そして今回、2010年8月、さらに古い5億1100万年前の地層が発見された。場所は茨城県常陸太田市。前回の地層に近い場所だ。日本は地震や火山の噴火があり、地殻変動が激しいところなので、あまり太古の地層は残っていないが、この地層は当時中国大陸の縁の海底にあったものだという。

 それにしてもこの地層は、恐竜以前の時代、原生代・先カンブリア紀直後の、古生代・カンブリア紀の地層である。そんな太古のカンブリア紀とは、どのくらい昔の時代だろう?またどんな生物が住んでいたのだろう? 

 正解は、約5億4500万年前から約5億0500万年前までとされる。生物は有名なのは三葉虫、フデイシなどである。フズリナは石炭紀以降に出現した。比較的新しく発見された生物に、アノマロカリス Anomalocarid、ハルキゲニア Hallucigenia、ウィワクシア Wiwaxia...などがある。

 日本最古!「西堂平層」
 茨城県常陸太田市長谷町の茂宮川最上流部の地層「西堂平(にしどうひら)層」が日本最古となる約5億1100万年前のカンブリア紀のものであることが、日立市郷土博物館特別専門員で茨城大名誉教授の田切(たぎり)美智雄さん(65)の研究チームの調査でわかった。

 田切さんは「日本列島の形成過程を知るため重要なデータになる」と話している。今回の研究成果は、9月18日から富山大で開かれる日本地質学会で発表される。

 研究チームは2008年にも、日立市北部の山地で日本最古となる約5億6000万年前の地層を発見しており、今回はさらに500万年さかのぼる地層を確認したことになる。

 田切さんらは約10年前から西堂平層の研究を始め、年代測定に必要な鉱物「ジルコン」の採取を続けてきた。昨年7月、南極・北極域について研究している国立極地研究所(東京都立川市)の高感度質量分析計でジルコンの中のウランと鉛の含有率を調べ、年代を割り出した。その結果、カンブリア紀(約5億4200万~約4億8800万年前)のものと判明した。

 調査ではこのほか、日立市東河内町で約5億700万年前の地層なども見つかり、カンブリア紀の地層が約30平方キロ・メートルに広がっていることも判明。田切さんは「日立市と常陸太田市にまたがる多賀山地から日本列島が形成されたのではないか」と推測している。

 田切さんらは今後、西堂平層から化石を探し、日本列島と大陸のつながりについて調査を進め、生物の進化の過程を明らかにする研究に役立てる。(2010年8月19日16時50分  読売新聞)

 ジルコンとは何か?
 
さて今回、年代測定に使われた「ジルコン」とはどんな鉱物だろうか?
 
 ジルコン(zircon)はジルコニウムのケイ酸塩鉱物。化学組成:ZrSiO4、比重:3.9~4.7、モース硬度:7.5と固く、晶系:正方晶系。固いので、ダイヤモンドの代用品として、古くから装飾用宝石として用いられている。通常理想式に近い化学組成をもつが、ジルコニウムの一部はハフニウムにより置き換えられ、ハフニウムが多いものはハフノン(hafnon)と呼ばれる。

 純粋なものは無色だが、不純物や結晶欠陥によって着色していることがある。微量成分として希土類元素や、ウラン、トリウムなどを含む。ジルコンはウラン、トリウムに富むが鉛に乏しいので、ウラン・鉛法あるいはトリウム・鉛法の放射年代測定の対象鉱物として重要である。つまり、時間とともに本来は含まない鉛が形成されてゆく。

 カンブリア紀とは何か?
 カンブリア紀(Cambrian period)は地質時代、古生代前期における区分の一つで、約5億4500万年前から約5億0500万年前までとされる。カンブリアという名前は、この時代の岩石が出土し研究された最初の地であるウェールズの古名が由来である。

 カンブリア紀では、先カンブリア時代によって形成された海洋が地球上のほぼ全てを覆い尽くす。海中では様々な種類に至る海洋生物が現れ、中でも三葉虫等の節足動物が繁栄し、藻類が発達した。むしろ、これ以前の時代からは化石がほとんど得られなかったことから、化石に頼って時代区分を行っていた頃にはこの時代までしか区分ができなかった。そのため、カンブリア紀が従来はもっとも古い名前の付いた区分であり、それより古い地層はカンブリア紀以前というしかなかったのが、「先カンブリア時代」の名の由来である。

 三葉虫やフデイシ、腕足類、サンゴなどは古くから発見されていたが、頻繁に出土する生物群は限られていた。カンブリア紀の生物相の多様性がよく知られるようになったのはバージェス動物群の発見以来であり、特に20世紀末の見直しでその内容がそれまでの想像を超えることが明らかとなった。この時期の初期には動物門のほとんどすべてが出現したと考えられ、この時代に動物の多様性が一気に増大した可能性がある。これをカンブリア爆発と呼ぶ。

 

参考HP Wikipedia「ジルコン」「カンブリア紀」・地質観光マップ「地質観光マップを持って、ジオツーリズムに出かけてみよう! 

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ガーネットでわかった!250万年前の丹沢山地「巨大噴火」

2010年08月05日 | 地学

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 250万年前の地球
 今から300~250万年前頃は、北半球に氷河が広がり、グローバルに寒冷化や乾燥化が進んだ時代である。この時代、アフリカに草原が広がるようになり、複数の種類が生息していた猿人の中の1種が原人に進化していく。

 猿人と原人の大きな違いは脳の大型化である。脳を維持するには大きなエネルギーが必要である。大きな脳を支えるのは高カロリーで栄養に富んだ食糧、それは肉であった。肉を食べるようになった猿人が原人になった。

 人類が最初に石器を使って動物(牛)の肉をはぎ取って食したのは約250万年前。「アウストラロ・ガルヒ」という猿人。初期の原人の一歩手前で、石器を使って肉を食べた最初の人類といえる。石器の登場は肉食の質を格段に高めた。皮を剥ぎ取りやすくし、骨を砕いて骨髄を取り出すのも容易になった。

 それまでは人類は植物の根や木の実、果実、虫などを食べていたが、哺乳類の肉が加わることになった。食生活の革命である。石器を使うようになってほどなくの約240万年前、脳の大型化への道を歩み出した初期の原人「ホモ・ハビリス」が見つかる。石器による肉食の効率化が、大きな脳を支えるエネルギーになったと言える。

 この時代の日本、神奈川県あたりでは、ではどんなことが起きていたのだろう?

 250万年前の巨大噴火
 250万年前の地球は、寒冷期から温暖期へ移行していた。大陸をおおっていた氷河が溶け、このため海水面は前進、関東は広く海におおわれていた。陸地では、ミエゾウから進化した、アケボノゾウ(Stegodon aurorae)が、日本列島を歩いていた時代だ。

 早稲田大と首都大学東京の研究チームは7月30日、約250万年前に神奈川県・丹沢山地で巨大噴火が起きたことが分かったと発表した。1707年の富士山・宝永噴火に匹敵する大噴火で、当時は海だった関東平野一帯に火山灰が降り積もり、関東平野の土台を形成する厚い地層の一部をつくったという。

 チームは、神奈川県愛川町と同県鎌倉市で見つかっていた、ざくろ石(ガーネット)を大量に含む特徴的な火山灰層に着目。この地層の広がりを調べるため、東京都江東区と千葉県銚子市で地層を調べた。

 その結果、江東区と銚子市で神奈川県の2カ所の地層とほぼ成分が一致する火山灰層を発見。できた年代は、4カ所いずれも約250万年前であることも判明した。

 愛川町から銚子市へと東になるほどざくろ石の粒が細かく、細かい火山灰ほど遠くまで飛ぶことから、火山灰は愛川町より西側で噴出して東へ流れたと推定。噴火口の候補地として、ざくろ石の地層が知られている丹沢山地の谷沿いの岩脈を分析したところ、関東4カ所のざくろ石と組成が一致。この地層をつくったのは丹沢山地の大噴火だったと結論付けた。(毎日新聞 2010年7月31日)

 ざくろ石(ガーネット)とは?
 ざくろ石(柘榴石:garnet)は鉱物の1つ、ケイ酸塩鉱物(ネソ珪酸塩鉱物)のなかま。硬度は 6.5~7.5と固い。他の鉱物が風化して、流出してしまうところ、固いので地層に残りやすい。宝石としてはガーネット、または紅榴石の名前でよばれる。1月の誕生石である。

 ざくろ石、ガーネットには宝石としての価値以外にもうひとつ興味深い話がある。

 アリゾナ州、ナバホ族居住区。ここにはアントヒルガーネット(蟻塚)と呼ばれる面白い名前のガーネットが存在する。

 風化した岩と砂が延々と広がるこの地域のある種の蟻は蟻塚を作る。彼らは地中を掘り進み土を地上に運んで巣を作るが、このときに邪魔になった地中のガーネットを巣の入り口に捨てる。当然蟻が運べるものなので豆粒より小さなものだ。これがアントヒルガーネットとして売られている。

 ガーネットは超高温、超高圧の条件下で生成される鉱物である。これと同じような条件で生成される鉱物がある。宝石の王、ダイヤモンドである。ダイヤモンド鉱床の中でガーネットはよくダイヤモンドといっしょに見つかる。時にはダイヤモンド結晶の中に含まれていることもある。

 したがってダイヤモンド鉱脈を探す時にガーネットはしばしばその指標として利用されることがある。アフリカのボツワナの砂漠で、ダイヤモンド鉱脈を調査していたデ・ビアス社はダイヤモンド探索の有効な調査方法として闇雲に地面を掘り返すのではなく、蟻塚に目をつけた。

 蟻たちは地中深くに穴を掘り、地下の土を地上まで運んでくる。巣作りに邪魔な鉱物は巣の周りに捨てるため、蟻塚の土にもしガーネットが含まれていれば、そこはダイヤモンド鉱脈の可能性があると考えたのだ。この推測を元に蟻塚の土壌を丹念に調べ続け、見事砂漠の中の眠っていたダイヤモンド鉱脈を発見したそうだ。(CROMAGNON「深紅の結晶」)

 丹沢山地とは何か?
 丹沢山地は、神奈川県北西部に広がる山地。東西約40キロメートル、南北約20キロメートルに及び、神奈川県の面積の約6分の1を占める。秩父山地等と合わせて関東山地とも呼ばれる。丹沢山地の大部分は山岳公園として丹沢大山国定公園と神奈川県立丹沢大山自然公園に指定されている。

 丹沢山地を構成する岩体の多くは南の海で1700〜1200万年前に活発だった海底火山の噴出物からできており、1000万年前にはこの岩体の中心に上昇してきたマグマが貫入し、少しずつ冷えて固まり西丹沢山地の多くを構成する石英閃緑岩体などとなった。

 また、このマグマの貫入により岩体が大きく盛り上がり、太平洋に浮かぶ火山島(火山島といっても海上に少し頭を出すくらいの島であった)となった。この火山島が載っていたフィリピン海プレートが徐々に北上し、500万年前には日本列島と衝突して本州と一体化した。その後、追うように北上してきた伊豆半島の岩体が100~70万年前にかけて本州と衝突、この圧力によって丹沢山地の岩体が隆起し、山地が形成された。

 現在でも徐々に隆起を続けている。1923年の関東地震(関東大震災)やその余震の丹沢地震 (M 7.3) では1m前後の隆起や沈降が起き、山肌も崩壊し荒廃した。(Wikipedia)

 

参考HP Wikipedia「ざくろ石」「丹沢山地」「日本列島」 ・フォッサマグナミュージアム

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ハワイのホットスポット火山の原因は「マントルの上昇流」

2010年08月03日 | 地学
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 火山のできる場所は?
 地球上で火山ができる場所はどこだろう?

 正解は主に3つ。プレート発散型境界(リフトバレー、海嶺)、プレート収束型境界(海溝)、ホットスポットである。

 プレート発散型とは、地下から湧き上がってきたマントルが、冷えて地殻ができる場所である。プレートテクトニクスによれば、地球上で最も火山活動が活発なのはこの熱いマントルが上昇してくる場所で、その多くは海底にあり、海嶺とよばれる。世界で唯一アイスランドが海嶺を地上で観察できる場所で有名だ。陸上で地殻のできる場所をリフトバレーという。この代表的なものがグレート・リフト・バレー(東アフリカ大地溝帯)で、同様に活発な火山活動を伴って東西に拡大している。

 プレート収束型境界とは、プレートとプレートがぶつかり、一方がマントルまで沈み込む場所である。この場所を海溝と呼び、火山が発生しやすい。海溝で沈み込んでいる海洋プレート表面の岩石には多量の水が含まれる。水分を含んだ岩石は融解温度が低下するので、沈み込みにより地下深部に達すると、通常よりも低い温度で融けはじめマグマが発生すると考えられている。日本に火山が多いのも海溝が多いからだ。

 ホットスポットとは、地表の特定箇所に継続的に大量のマグマが供給される場所である。ハワイ火山列島がこのタイプで、固定したホットスポットで噴火が起こり火山島ができる一方で太平洋プレートが北西に動くため、古い火山島が北西にずれていくとともに南東側に新しい火山島ができ、結果として北西ほど古く南東ほど新しい火山列島となっている。

 ホットスポットの位置はプレートの動きとは無関係に一定しており、プレートの下のマントルが対流しているのが原因で、ハワイ火山列島の下では、マントルが上昇していると予想されてきた。しかし、これまで上昇流の存在を示す直接的な証拠はなかった。

 マントルの上昇を確認
 ハワイ島の真下にあるマグマの上昇路「ホットスポット」はマントルと核の境界に近いマントル最下部に源を発することが、東京大学の研究チームによって突き止められた。

 東京大学大学院理学系研究科の河合研志・客員研究員とロバート・ゲラー教授は、地震波の理論波形を計算して観測波形と直接比較するという新しい手法により、ハワイホットスポットのマントル上昇がどこから始まるかを探った。その結果、深さ約2,700-2,500キロ付近から上昇が始まっていることが分かった。地球の内部は表面の薄い殻のすぐ下から深さ約2,900キロまでが岩石からなる固体の層であるマントルで、その下に液体の鉄で構成される外核、さらにその下、地球の中心部は固体の鉄でできているとされている。

 ホットスポットは、最も有名なハワイのほか、地球上に多数、存在している。ホットスポットの位置は変わらないが、地球の表面はプレートと呼ばれる固い岩盤で覆われており、このプレートはマントルの上昇、水平移動、沈降という動きに乗って移動している。ハワイ諸島の場合、一番、東側にあるハワイ島は今まさにホットスポットの真上に位置するため、マウナ・ロア、キラウエアの両火山が活発に活動している。しかし、同じハワイ島でも西側にある火山は、太平洋プレートの西方向への移動に応じてホットプレートの真上から西へずれてしまっているために既に火山活動を休止している。

 さらにハワイ諸島の西側に連なるマウイ、モロカイ、オアフ島などもかつてホットプレートの真上にあった時期に作られた火山島だが、いずれも太平洋プレートの動きによって西方に移動、ハワイ島の休火山より昔に火山活動は終了していることが分かっている。また、ハワイ諸島の西側の海底に連なるハワイ海山群と天皇海山群もさらに昔にハワイホットスポットによってつくり出された火山島の名残と考えられている。(サイエンスポータル 2010年7月22日)
 
 波形インバージョンとは何か?
 今回マントルの動きを探った、「地震波の理論波形を計算して観測波形と直接比較するという新しい手法」とはどんな方法だろうか?

 マントルは対流しており、最下部マントルでは水平流および上昇流の存在が予想されている。 しかし、これまで上昇流の存在を示す直接的な証拠はなかった。 東京大学、河合研志研究員と東京大学、ロバート・ゲラー教授らの研究グループは、グループで独自に開発を行った「波形インバージョン」という方法を用いた。

 「波形インバージョン」は、理論波形を計算して、それと観測波形とを直接比較し、その残差を最小化するために内部構造モデルを系統的に改善する手法である。研究グループはこれを実行するための理論を導き、その上で関連するソフトウェアを開発してきた。 

 地震波には縦波と横波があり、「縦波」をP波、「横波」をS波と呼ぶ。すなわち、S波の振動方向は伝播方向に直行する。さらに、S波には2つの互いに直交する震動成分がある。水平方向に震動する成分を持つS波をSH波と呼び、それと直交する成分をSV波と呼ぶ。

 地震が起きたときのデータ解析を行い、ハワイの下の最下部マントルで、SV波の速度がSH波の速度よりも速いという「異方性構造」の存在を発見した。

 「異方性構造」とは何だろう?等方な媒体では、地震波のP波とS波の伝播速度は、通常、変位方向や伝播方向によって伝播速度が異なることはない。ところが、同じ点においても、伝播速度が変位方向や伝播方向によって異なる場合があり、これを「異方性」と呼ぶ。地震波の「異方性構造」の正確な推定によって、マントル対流やマントルの構成物質についての情報を得ることができる。

 今回の観測の結果、ハワイのホットスポット火山の起源となるマントルの上昇流が、核・マントル境界から上がってきていることが分かった。(東京大学プレスリリース 2010/7/21)

 

参考HP Wikipedia「火山」「リフトバレー」 ・東京大学大学院プレスリリース「ハワイのホットスポット火山下にマントルの上昇流

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北のニシン、山陰沖で突然大漁!日本海固有水に何が起こった?

2010年06月24日 | 地学

科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!


 鳥取でニシンが大漁
 北海道周辺などが主な漁場になっているニシンが、ここ数年、山陰沖でしばしば取れるようになった。5月には鳥取県の漁港で1日500キロ近くが水揚げされた。南下の原因はなぞで、独立行政法人・水産総合研究センター(横浜市)が調査に乗り出した。

 鳥取県漁連などによると、ニシンを取るのは沖合底引き網漁船で、昨年9月~今年5月、鳥取港(鳥取市)に計約8.5トン、網代港(鳥取県岩美町)でも今年3~5月に約2.5トンが水揚げされた。島根県浜田市でも3月に計4トン以上、兵庫県の沖合でもわずかだが取れたという。

 山陰沖でニシンが取れるようになったのは、2005年ごろから。鳥取県水産試験場によると、2007年から漁獲高が増え、1日数百キロ水揚げされることもある。農林水産省の統計でも2006年に突然、島根県で3トンの漁獲が記録され、2008年には鳥取県9トン、島根県13トン、2009年は鳥取11トン、島根44トンと増えてきている。

 水産総合研究センターなどが山陰沖ニシンのDNAを解析したところ、北海道沖で取れるニシンの近縁と分かった。ニシンは水深100~200メートルの冷水域に生息する。水産試験場によると、5月の山陰沖の水深200メートルの水温は低いところで約3度。「温暖化で海面の温度は上がっているが、海の底には冷たい流れがあるのでは」とみる。

 センターは、ニシンが取れた時期や海域、魚齢などを漁業関係者に聞き取り、山陰沖のニシンの実態を調べる。

 鳥取県内の市場でも、ニシンが競りにかけられるようにもなった。しかし、5キロで千円以下の安値になることもある。氷代やパック代を含めると採算が合わず、海に捨てざるを得ないこともある。水産試験場は、ニシンそばの本場・京都の業者から「買いたい」と相談を受けたが、水揚げ量が安定せず、目玉商品にはなりにくいという。(asahi.com 2010年6月23日)

 そもそもニシンとは何か?
 ニシン(Clupea pallasii)は、ニシン目ニシン科の海水魚。別名、春告魚(はるつげうお)。ニシンは漢字で「鰊」と書く。回遊魚で北太平洋に分布する。魚体は細長く、体長は30-35cmほど。背側は青黒色、腹側は銀白色。

 ニシンといえば、北海道を思い出す。春、産卵のために北海道沿岸に現れる。最盛期には100万t近くの漁獲高があり、北海道ではニシン漁で財を成した漁師による「ニシン御殿」が建ち並ぶほどであった。1897年にはピークを迎え、130万石(約97万5千トン)を記録した。これは個体数で換算すると、何と30億匹から40億匹に相当する。

 しかし、1955年(昭和30年)以降、日本国内での水揚量は100tにまで激減してロシアやカナダからの輸入品が大半を占めるようになった。激減の原因としては海流あるいは海水温の変化、乱獲、森林破壊などとする諸説がある。

 1,000,000 t から100 t とは衝撃的な減少量だが、2006年に突然、島根県で3 t の漁獲が記録され、2008年には鳥取県 9 t、島根県 13 t、2009年は鳥取 11 t、島根 44 t と増えているのはどういうわけだろう?

 どうやら日本海特有の海水温と関係がありそうだ。ニシンは水深100~200メートルの冷水域に生息する。温暖化で海面全体の温度は上がっているが、日本海の海の底にはいつも冷たい流れ、日本海固有水がある。

 低温!日本海固有水
 日本海固有水とは、日本海の海水の大部分を占める水塊のことである。海水温度は1~2℃、ごく下層は0.1~0.3℃と冷水。塩分濃度は34.00~34.90‰。溶存酸素濃度は210~260μmol/kg。日本海の本土側では対馬暖流のために海岸から数十海里も離れた沖合いで海面から150m~200m以上の深さでこの冷水塊は見られる。

 まず、太平洋側の深層水は年間を通じて10℃前後だが、日本海固有水は2℃前後と低温である。また、太平洋側の深層水は深度が深くなるに従って海水中の溶存酸素量が減少するが、日本海固有水は深度が深くなっても溶存酸素量は表層水とほとんど変わらず豊富である。

 このように異なる性質となるのは、日本海固有水の起源が日本海北部で冷却された表層水が水塊が底層に沈み込んだものだからである。日本海固有水がこのような起源を持つのは、海峡水深が深い通常の海域の場合には、外洋の深層水が流入するのに対して、日本海の場合は、外洋との通路となる対馬海峡が著しく浅く、外洋の深層水が流入しないためである。

 また従来日本海固有水は、水質がほぼ均一と考えられていたが、今日では、水深によってポテンシャル水温や溶在酸素量などの水質が異なり、いくつかに分類できることがわかっている。海面から約500mから約1000mまでの上部固有水と約1000mから約2000mまでの深層水、約2000mから海底までの底層水に分かれる(Wikipedia)。

 

参考HP Wikipedia「ニシン」「日本海固有水」「海洋深層水」

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謎の「深層流」の真相は?南極沖に海の循環「エンジン」発見!

2010年05月16日 | 地学
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 表層海流
 日本のまわりの代表的な海流とは何だろう。そう、黒潮や親潮、対馬海流やリマン海流などがある。海流はどうして起きるのであろうか?

 海には一定のリズムで、寄せては返す波がある。台風などが近づくと、波やうねりは大きくなり、荒れ狂う姿を見せることもある。波が高くなるのは、そう風のためである。風の力が海流をつくる。これを表層海流という。

 表層海流が風によって起こるということは、例えば池の表面に風によって、さざなみが立つのを見ても、直感的に理解できる。したがって昔の海洋学者は、深海では風の影響が無いので完全に静止した世界であろうと考えていた。

 深層海流
 ところが、現在の計測機器の発達により深海にも、潮汐による流れに加えて、表層よりかなり弱いながらも海流があるということがわかってきた。深層の流れを駆動するおもな原因は密度の違いと考えられているが、近年の研究では風がおもな駆動力の起源という説も有力である。

 海水の密度は全地球で一様ではなく、その違いは明瞭で不連続である。表層で形成される水塊の間には明瞭な境界が存在し、その性質を維持している。軽い水塊が重い水塊の上に乗るというように(木片や氷が水に浮くように)、形成された時の状態で決まる密度によって、重い方が潜り込み、軽い方が乗り上げるというような状態を示す。

 海水の密度は、温度と塩分と圧力によって決まる。冷たい海水、塩分の多い海水は、それぞれ温かい海水、塩分の少ない海水より高密度になる。水塊は最も安定した状態を保つため流動する。これを熱塩循環という。

 海の循環「エンジン」
 北海道大の深町康・助教(海洋物理学)ら日豪の共同チームが、南極大陸沖の深海で、水温0度以下の冷たい海流(深層流)が赤道に向かって大量に移動している様子を突き止めた。

 流量は毎秒1200万立方メートルと試算され、東京ドーム10杯分に相当する。深海を長時間かけて移動する冷たい海水の循環は気候に影響を与えると考えられているが、未解明な部分が多い。科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(電子版)に掲載された。

 チームは南極大陸から約500キロ北のインド洋で、水深1000~4500メートルに70個以上の機器をつなぎ、流速や水温を2年間連続で測定した。その結果、水深3000メートル以上の場所で、深海としては非常に速い毎秒20センチ以上の流れを確認した。海流は赤道に向かって北上しており、全体の流量は毎秒1200万立方メートルと試算した。

 深層流は、比較的高温の海流が極域で冷やされ、北大西洋のグリーンランド沖と南極大陸沖で沈み込んで生じる。低温の深層流は1000年以上かけて地球を一巡。こうした熱の循環は気候に影響を与えると考えられているが、南極から赤道方向への深層流は、北大西洋に比べて観測が遅れている。

 深町助教は「深海の流れとしてはこれまでに計測された中で最も速い。海の循環を駆動する『エンジン』の一端が見えてきた」と話す。(毎日新聞 2010年5月11日)

 南極は地球の心臓だ!
 深い海の中にも海流があるとは驚きであるが、この流れのスピードは秒速数cm程度で、1000年から2000年かけて、地球を一周するという。

 この広い海洋で、深海に海水がもぐり込む場所が、北極と南極付近にある。どうして極寒の海域で海水の沈み込み現象が起きるのであろうか?

 南極のきびしい寒さは、冷たくて重い海水も大量に作りだす。この海水が海の底へ沈んでいくので、かわりに海底から深層水が上がってくる。南極の寒さは、海をかきまわすポンプになっている。

 南極海の深層水は、養分をいっぱい含んでいる。大量の深層水がわき上がるために、南極の海は、日本の周りの海より、栄養分が8~10倍も濃い!この栄養でオキアミが大量に育ち、大きなクジラもそれを食べにやってくる。

 海の水が寒さで温度が下がり、ついに凍ってしまうときには、海水の中の水分だけが氷になる。塩分は凍らないで氷の外へ追いだされるので、塩分の濃い重い海水ができる。

 海水が凍っていく氷の下では、塩分が濃くなって重くなった海水が底へ向かって沈んでいく。南極の凍る海で生まれた冷たくて重い海水は、深い海の底に沈みこんで南極の外へ流れ出す。この流れ出す力が、地球全体をまわる深層流を動かしているのだ。

 深層流は千年以上かけて地球の海を回っていて、地球の気候などの環境に大きな役割を果たしていると考えられている。深層流の上部の流れは、黒潮など表面の海流とは違う流れだ。3000~4000メートル以上の深さを流れていて、表面の温度や養分に影響を与えている。

 地球は赤道など熱帯地方が暖め、北極や南極で冷やされている。このバランスをとって、地球の穏やかな気候を保つことに、深海流は大切な役割を果たしている。

 南極で作られた栄養分の濃い海水を、深層流が世界の海に運んでいる。この栄養分が世界の海でプランクトンを育て、地球の豊かな海を作りだしている。

 

参考HP Wikipedia「熱塩循環」「海流」・南極サイエンス基地「深層海流を動かす南極の氷」 

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ウナギが消えた?産卵場所や海流が変化 「海流」とは何か?

2010年05月15日 | 地学
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 シラスウナギ漁 過去10年で最低
 今年は全国的にウナギの稚魚(シラスウナギ)が不漁だ。シラスウナギ漁は毎冬12月~翌4月、全国の太平洋岸の河口域で行われる。主な漁場は九州、四国、関東だが、今季はどこからも悲鳴が聞こえる。

 高知県では四万十川の河口を中心に、3月5日に漁を終えた。県しらすうなぎ流通センターによると、今季の漁獲量は155キログラムと前季の約4分の1。「こんな年は過去にない」と頭を抱える。

 宮崎県は3月20日に漁が終了。約40の養殖業者でつくる同県シラスウナギ協議会は「必要量の約4.5トンに対し、取れたシラスは1割程度の545キロ」と肩を落とす。他県産をかき集めているが「今夏は品薄だろう」。鹿児島でも昨年の2割程度の約1.5トン(2月末時点)で、過去10年で最低だ。

 水産庁によると、1960年代は年約100~200トン取れたが、1980年代に20トン前後に減り、2000年以降は10トン台になった。今季は「5トン程度」が業界内の見通しだ。いったいこの原因は何だろう?

 ウナギの産卵場所に変化
 長期的な減少の背景にはシラスの乱獲が挙がっているが、最近は産卵場との関係が指摘されている。ウナギの生態に詳しい塚本勝巳・東京大海洋研究所教授によると、親ウナギの産卵場は通常、マリアナ諸島西方の海域だが、2008年に赤道寄りに約100キロ移動したことが確認されたという。

 稚魚は海流に乗り日本沿岸に来るが、「産卵場が遠ざかったため海流に乗れず、多くがフィリピンやインドネシア方面に流れたのではないか」と推測する。

 ウナギの養殖は現在、天然稚魚に頼らざるを得ない。人工シラスの供給を目指す国の水産総合研究センター養殖研究所(三重県南伊勢町)が今月8日、2世代目のウナギを人工ふ化させる「完全養殖」に世界で初めて成功したと発表した。しかし、卵からシラスに成長するまでの生存率は0~5%と極めて低く、シラス量産の見通しは立っていない。

 舞田正志・東京海洋大大学院教授は「そもそも日本の川や湖に親ウナギがどの程度いるかもよく分かっていない。国がもっと戦略的に資源保護と養殖の研究を考えるべきではないか」と話す。(毎日新聞 2010年4月22日)

 海流と漁業
 今年はウナギが高騰しそうだ。毎年ウナギはマリアナ諸島西方の海域で産卵し、黒潮にのってやってくる。産卵場所や、海流によってたどり着くウナギの稚魚の量に影響が出るのは当然のことだ。

 ウナギだけではない、回遊魚は海流とともに泳いでくるので、三陸沖のように黒潮と親潮が接するところは南方系、北方系の両方の魚が取れ、きわめてよい漁場となっている。

 このように世界の主な漁場はたいてい暖流と寒流の潮境や、沿岸水と外洋水のさかいを中心に発達している。またプランクトンは海流によって種類が異なるばかりでなく、その量も著しく異なっている。プランクトンは海流によって押し出されるので、海流は魚類の分布や移動などにも大きな関係を持つ。また、世界的大漁場である南米ペルー沖では、エルニーニョのときはその海域の漁獲量が大きく減ることがわかっている。

 海流と気候
 海流は世界の漁業に大きな影響を与えているだけでなく、気候への影響も大きい。陸上に住む動植物の生活にも大きな影響を及ぼす。もともと、海水は空気に比べて比熱が四倍近くあるので、水温の変化は気温を変化させやすい。たとえば北、西ヨーロッパの冬の気温が世界の同じ緯度の平均気温よりも高くなっているが、その一因として北大西洋海流の存在がよく知られている。

 日本南岸は夏に非常に湿度が高くなるが、これは南東から吹く風が、温かい黒潮上を通過してくるときに、水蒸気を大量に取り込むことが原因である。一方、冬は季節風の北西風が吹くので、黒潮の暖気によりそれほど気温が上がるわけではないが、山脈により雪雲を遮断するため、関東以西の太平洋側地域では晴天が多く比較的温暖な地域が多い。

 他方、日本海には黒潮の分流である暖流の対馬海流が流れ込んでいるが、大陸から吹き出す寒気がこの暖流の上を渡るときに雲が形成され、豪雪と日照時間の減少が見られる(日本海側気候)。また北海道や東北地方の太平洋側では、夏に寒流である親潮の上を吹き渡ってくるやませの影響で、冷害が発生することがある。(Wikipedia)

 海流とは何か?
 このように私たちの生活に大きな影響を与える、海の海流というのはどうやって起きるのだろうか?

 海流は、地球規模でおきる海水の水平方向の流れの総称。似た現象に潮流があるが、潮流は時間の経過に伴って流れが変化し、短い周期性を持つ。海流はほぼ一定方向に長時間流れる。また海の中は鉛直方向にも恒常的な流れが存在する海域もあるが、その流速はひじょうに小さいので、通常は海流とは呼ばない。海流はその性質により、暖流と寒流の2種類に大別される。

 海流が発生する原因は諸説あるが、大きく分けて表層循環と深層循環がある。表層循環と深層循環の意味は、メカニズム的に論じるか現象的に論じるかで違ってくる。メカニズム的に言えば、海面での風(卓越風)によって起こされる摩擦運動がもとになってできる「風成循環」が表層循環、温度あるいは塩分の不均一による密度の不均一で起こる「熱塩循環」が深層循環である。

 この二つを総称して、海洋循環と呼ぶ。「海流」が海水の流れを重視した呼び方であるのに対して、「海洋循環」は特に地球規模での海水の巡り、循環を重視した呼び方であり、これらを使い分けることが多い。

 黒潮とメキシコ湾流を二大海流といい、これらは流量が多く、流速も速い。(Wikipedia)

 

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アイスランド噴火!約30カ国「9.11米国テロ」を超える空港閉鎖!

2010年04月18日 | 地学
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 火山噴火で欧州便多数欠航 
 アイスランドの火山が噴火して、ヨーロッパへ行く便やヨーロッパから出発する便に影響が出ている。日本の成田国際空港では4月17日、欧州便の欠航が拡大し、国内外の航空会社の旅客便計39便が運航を取りやめた。当初閉鎖されたイギリスに加え、ドイツやフランス、イタリアなど23カ国の空港も閉鎖され、新たにローマやモスクワ、チューリヒ便などが欠航した。

 航空券の再予約や払い戻しを求める乗客がチェックインカウンターに詰めかけ、航空会社の職員らは対応に追われた。ロビーには行き場を失った外国人旅行客が通路に座り込んだり、寝転んだりして途方に暮れる姿も。空港で一夜を明かす滞留客も発生しており、成田空港会社(NAA)や全日空などは、乗客の希望に応じて毛布や水などを提供している。

 飛行機の飛べないわけ
 どうして火山が噴火すると飛行機が飛べなくなるのだろう?

 現在、アイスランドの火山の噴火で巨大な火山灰の雲が広がっている。各国の航空当局がこうした極めて異例の措置を取ったのは、火山灰雲に含まれる岩やガラス・砂の微粒子がジェットエンジンを止めてしまう可能性があるからだ。

 「火山灰の中を飛行することが非常に危険であることは長年の定説だ」と、イギリス民間航空局の広報担当者リチャード・テイラー氏は話す。同氏は、1982年にブリティッシュ・エアウェイズのボーイング747型ジェット機がインドネシア上空で火山灰の中に突っ込み、エンジンが4基とも停止した事故を例に挙げ、「幸いなことにエンジンは再び動き出したが、非常に危険な行為であることは明らかだ」と説明する。

「燃焼機関は空気を吸い込むことで動き、動力を生みだす。火山塵(かざんじん)が航空機のエンジンの精密部品に入り込むと、さまざまな不具合を引き起こす可能性がある。砂嵐の中を走行する自動車と同じように、エンジン内部の部品を詰まらせることになる」。

 さらに、対気速度を測定するセンサーとして用いられるピトー管と呼ばれる装置を火山灰の浮遊粒子状物質が詰まらせてしまう。「火山灰でピトー管が詰まると計測値が正確に送られなくなり、飛行機が失速してもパイロットが飛行速度を把握できない事態になりかねない」。

 イギリス気象庁は火山灰情報センターを通じて火山灰雲の拡散状況を観測している。現在のところ、火山灰雲は18日頃までイギリス上空を漂い続けると予想されているが、火山灰は上空の高いところに留まると見られるため、地上に降り始める前にイギリス国外に出ていく可能性が高いと指摘されている。

 イギリス民間航空局のテイラー氏は、「火山は現在も噴火を続けているはずで、事態は長引く可能性がある」と話している。(National Geographic News April 16, 2010)

 アイスランド共和国とは?
 アイスランドというと、ずいぶん北の島国というイメージであるが、どんな国なんだろう?

 アイスランド共和国(通称アイスランド)は、北ヨーロッパ、北大西洋にある、美しいオーロラと火山と氷河の島国である。。首都はレイキャヴィーク。ヨーロッパといっても、イギリスよりもグリーンランドに近い。北海道と四国を合わせた程度の面積である。

 アイスランド本島は北緯63度から66度に位置し、国土の一部は北極圏にかかっている。しかし、冬の寒さはそれほど厳しくはなく、同緯度にあたるフィンランドやスウェーデンの北部の2月の最低気温の平均が氷点下20度近くであるのに対し、アイスランドは氷点下3度ほどである。

 これはアイスランドが火山島(世界最高緯度)であること(温泉も多い)、アイスランドを囲むようにして暖流(北大西洋海流)が流れていることなどに由来する。そのため、オーロラを観測することのできる地域の中では最も暖かい地域となっている。

 エイヤフィヤットラヨークトル火山
 あんなに北の国でも、比較的暖かいというのは不思議な話である。ところで今回のような噴火の話はあまり聞いたことはなかった。どんな火山が噴火したのだろう?

 噴火の熱したのは、エイヤフィヤットラヨークトル火山。4月14日、火山を覆っていた厚さ200メートルの氷塊が、みるみるうちに融けている。アイスランド大学地球科学研究所の地球物理学者パウッル・エイナルソン氏によると、融けた氷で洪水が起きる恐れがあるため、2回目の噴火の兆候が確認されると同時に近隣の住民約800人を避難させたという。

 当初、氷河が融けたことにより地元の河川の水位が最大3メートル上昇したとの報告もなされた。幹線道路の1本が封鎖され、水は現在も海へ激しく流れ込んでいるが、死者はない模様。

 この地域は、70万年ほど前より氷帽が火山(標高1,666 m)を覆っており、氷河期以来滅多にこの火山が噴火することはなかった。今回噴火する前は、1821年から1823年にかけての噴火がある。このときの噴火では同時に氷河湖決壊洪水も発生している。それよりも過去の噴火は1612年と920年に記録されている。 この火山の火口は直径は3 kmから4 kmあり、その周りを100 km²の氷河が覆っている。

 今回の噴火
 今回の噴火の兆候は2009年の12月クリスマスの頃から。火山性微動が観察された。2010年の2月には、近の地殻が3 cm南方に移動したことを指し示し、そのうちの1 cm分は4日以内で移動したことがわかった。この異常な地震活動とそれに伴う地殻変動は、エイヤフィヤットラヨークトル火山のマグマ溜まりにマグマが溜まりつつあり、その圧力により起きたもので、大規模な地殻変動が起こりつつあるという地球物理学者たちは予想した。

 地震活動はますます活発になり、同年3月3日から3月5日にかけては、火山を震源とする地震が3,000回も観測された。現地時間2010年3月20日午後10時30分から午後11時30分(UTC)にかけて、氷河の数 km東にあるフィムヴェルズハゥルス(Fimmvörðuháls)峠の北側の斜面で遂に噴火が起こり始めた。

 この時も、レイキャヴィーク空港及びケプラヴィーク国際空港を離着陸する航空機は欠航が相次いだ。翌3月21日の夜には国内線・国際線ともに復旧しており、地震学者は噴火は収束に向かうと予想したが、事態は簡単におさまらなかった。

 2010年4月14日から再び大規模な再噴火が起こった。主に炎と溶岩を噴出した3月の噴火とは異なり、火山灰は上空約1万6000mに達して南下し、イギリス北部に到達後、欧州北部と中部のほぼ全域に到達、18日にはスペイン北部に到達し、エンジン停止を避けるため18日には約30カ国で空港閉鎖となった。「9.11アメリカ同時多発テロ事件」を超える規模の歴史上例を見ない空路閉鎖である。(Wikipedia) 

 

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桜島 観測史上最多548回の爆発的噴火 大噴火の可能性は?

2010年03月16日 | 地学
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 観測史上最多の年548回の噴火
 鹿児島市の桜島(標高1117メートル)は昨年、観測史上最多の年548回の爆発的噴火を記録し、活動を活発化させている。今年もすでに300回を超えた。2月に開かれた火山噴火予知連絡会では、昭和火口からの溶岩流出の可能性に初めて言及した。桜島の今後はどうなるのだろうか?

 桜島は、鹿児島県の錦江湾(正式には鹿児島湾)にある東西約12km、南北約10km、周囲約55km、面積約77km²の半島。かつては文字通り島であったが1914年(大正3年)の噴火により大隅半島と陸続きとなった。

 御岳と呼ばれる活火山によって形成され、頻繁に噴火を繰り返してきた歴史を持ち、2010年現在も噴火を続けている。海の中にそびえるその山容は特に異彩を放っており、鹿児島のシンボルの一つとされる。2007年、日本の地質百選に選定された。

 有史以前
 桜島の今後を知るには、過去の歴史をひもとく必要がある。桜島西部の横山にある城山(横山城跡)は古い時代に形成された台地であり、少なくとも約11万年前には陸地として存在していたと考えられているが、残りの大部分は地質学的に最近の火山活動によって形成された非常に新しい火山である。

 約2万5千年前、姶良カルデラで発生した入戸火砕流と姶良Tn火山灰の噴出を伴う巨大噴火(姶良大噴火)によって現在の鹿児島湾の形が出来上がった(右衛星写真の鹿児島湾奥部、桜島より上の部分に相当)。

 桜島はこの巨大カルデラ噴火の後に火山活動を始めた。約2万2千年前、鹿児島湾内の海底火山として活動が始まり、安山岩やデイサイト質の溶岩を流出しながら大きな火山島を形成していった。約1万1千年前には北岳が海上に姿を現し、この頃に北岳から噴出した火山灰の地層は九州南部に広がっておりサツマ火山灰と呼ばれている。噴火活動は約4千年前から南岳に移行した。

 有史の大噴火
 歴史に残っている噴火は、30回以上、特に文明、安永、大正の3回が大きな噴火であった。

 文明大噴火は、1471年(文明3年)9月12日に起こり、北岳の北東山腹から溶岩(北側の文明溶岩)が流出し、死者多数の記録がある。2年後の1473年にも噴火があり、続いて1475年(文明7年)8月15日には桜島南西部で噴火が起こり溶岩(南側の文明溶岩)が流出した。さらに翌1476年(文明8年)9月12日には桜島南西部で再び噴火が起こり、死者多数を出し、沖小島と烏島が形成された。

 安永大噴火は1779年11月7日(安永8年9月29日)の夕方から地震から始まった。翌11月8日(10月1日)の朝から井戸水が沸き立ったり海面が変色するなどの異変が観察された。正午頃には南岳山頂付近で白煙が目撃されている。
 昼過ぎに桜島南部から大噴火が始まり、その直後に桜島北東部からも噴火が始まった。夕方には南側火口付近から火砕流が流れ下った。夕方から翌朝にかけて大量の軽石や火山灰を噴出し、江戸や長崎でも降灰があった。
 11月9日(10月2日)には北岳の北東部山腹および南岳の南側山腹から溶岩の流出が始まり、翌11月10日(10月3日)には海岸に達した(安永溶岩)。翌年1780年8月6日(安永9年7月6日)には桜島北東海上で海底噴火が発生、続いて1781年4月11日(安永10年3月18日)にもほぼ同じ場所で海底噴火およびそれに伴う津波が発生し被害が報告された。

 大正大噴火
 大正大噴火は1914年(大正3年)1月12日に始まり、その後約1ヶ月間にわたって頻繁に爆発が繰り返され多量の溶岩が流出した。一連の噴火によって死者58名を出した。流出した溶岩の体積は約1.5km3、溶岩に覆われた面積は約9.2km2、溶岩流は桜島の西側および南東側の海上に伸び、それまで海峡(距離最大400m最深部100m)で隔てられていた桜島と大隅半島とが陸続きになった。

 1913年(大正2年)6月29日から30日にかけて伊集院町(現日置市)を震源として発生した弱い地震が最初の前兆現象であった。同年12月下旬には井戸水の水位が変化したり、火山ガスによる中毒が原因と考えられる死者が出るなどの異変が発生した。12月24日には桜島東側海域の生け簀で魚やエビの大量死があり、海水温が上昇しているという指摘もあった。

 翌1914年(大正3年)1月に入ると桜島東北部で地面の温度が上昇し、冬期にも拘わらずヘビ、カエル、トカゲなどが活動している様子が目撃されている。1月10日には鹿児島市付近を震源とする弱い地震が発生し、翌11日にかけて弱い地震が頻発するようになった。噴火開始まで微小地震が400回以上、弱震が33回観測されている。

 噴火による火山灰は九州から東北地方に及ぶ各地で観測され、軽石等を含む降下物の体積は約0.6km3、溶岩を含めた噴出物総量は約2km3(約32億トン、東京ドーム約1,600個分)に達した。噴火によって桜島の地盤が最大約1.5m沈降したことが噴火後の水準点測量によって確認された。この現象は桜島北側の海上を中心とした同心円状に広がっており、この中心部の直下、深さ約10kmの地中にマグマが蓄積されていたことを示している。(出典:Wikipedia)

 噴火の周期
 「桜島は、おおむね200年ごとに20億トン級の灰や溶岩が出る大噴火、約30年ごとに2億トン級の噴火があった」と京都大防災研究所火山活動研究センターの井口正人准教授(火山物理学)は指摘する。文明(1471~76年)、安永(1779~82年)、大正(1914年)と、過去に大噴火を起こしてきた。
 
 また、1946年の昭和噴火は約2億トンの溶岩や灰が放出され、80年代を中心に南岳山頂で続いた噴火では、溶岩の流出はなかったが、約20年かけて約2億トンの灰が放出されたという。現在、大正大噴火からは約100年、80年代の噴火からは約20年が経過した。
 
 マグマだまり
 気象庁によると、鹿児島の錦江湾の下の姶良(あいら)カルデラの深さ約10キロ付近に主マグマだまりがあり、年間約1000万立方メートルのマグマが地底から供給されている。そこから南にある桜島南岳の直下約5キロのマグマだまりに流れ、東斜面にある昭和火口で噴火が続いている。気象庁のほか、国土地理院や京都大などが地震計や傾斜計、GPS(全地球測位システム)などで地盤の変化や噴火の様子などを常時監視している。

 地下にたまるマグマの量は、地盤の隆起や沈降の変化から推測できる。京都大が姶良カルデラ西縁の水準測量の基準点を調べた結果、1890年を基準にすると、大正大噴火直前までに約30センチ隆起したが、直後に約85センチ沈降。その後、マグマの蓄積は続いたが、昭和噴火のあと約10センチ沈んだ。大正大噴火では約13億4000万立方メートル、昭和噴火では約1億8000万立方メートルの溶岩が流出したという。

 地盤の隆起は、80年代を中心に一時安定した。南岳で噴火が相次いだ時期に相当し、地底から供給されるマグマと放出される灰の量が同程度だったとみられる。気象庁によると、姶良カルデラの下のマグマだまりには今、大正大噴火直前の約9割のマグマがたまっていると推測されるという。  

 三つのシナリオ
  桜島は、2006年6月に58年ぶりに昭和火口が噴火。昨年10月ごろから活発化し、同11月の噴出物からは、従来のマグマとは違う新しい成分が検出された。井口准教授は「桜島直下に新しいマグマが入ってきた証拠。姶良カルデラのマグマの一部が昭和火口に向かって動き始めている」と話す。  たまったマグマは、いずれ灰や溶岩の形で放出される。主に三つのシナリオが考えられるという。
 
 (1)80年代のように、南岳山頂火口で爆発的噴火活動が再開し、灰を長期間放出する(2)昭和噴火のように、昭和火口が噴火し、溶岩が流れ出る (3)大正大噴火級の噴火が起き、20億立方メートル級のマグマが山腹から放出される。  

(1)のケースでは、大量の灰が市街地や農地に降り積もるが、マグマの供給量と放出量のバランスがとれ、大噴火にはなりにくい。住民の避難が想定されるのは(2)と(3)のケースだ。

 (2)では、すでにマグマだまりから昭和火口までの道があるため、顕著な前兆現象なしに噴火する可能性があるという。しかし、昭和火口の直径が小さく、大正大噴火級の溶岩が大量に流れる可能性は低い。また、溶岩の粘度から、ふもとの民家まで届くのに1~2週間かかるという。
 
 最も影響が大きいのが(3)。大正大噴火では、大規模な地殻変動があったとみられ、数日前から地震が続いたり、マグマの蓄積で火山内部の圧力が上がり、地下から多量の二酸化炭素がしみ出したり、井戸水の水位が異常上昇するなど多くの前兆現象が確認された。
 
 大正規模なら予測も
 気象庁は、おおむね10年程度以内に、避難対策が必要な規模の噴火が予想されるとした上で、予測の手掛かりとなる経験や知見から大正大噴火と同規模であれば予測は可能としている。
 
 井口准教授は「100年先は別として、現時点で(3)の可能性はまずない。マグマだまりの位置や蓄積量も推定され、今後起こりうる噴火も予測できるようになった。最大の課題は、噴火地点である南岳山頂や山腹地下へのマグマの移動をいかにとらえるかだ。わずかだが、姶良カルデラのマグマが動き出しているのが現状」と話している。 (毎日新聞 2010年3月16日)

 

桜島―噴火と災害の歴史
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灰降る島―鹿児島県桜島
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「2010年チリ大地震」の巨大パワーで 地球の自転が速くなる?

2010年03月03日 | 地学
科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 力は変形をもたらす
 2月27日発生したマグニチュード(M)8.6のチリ中部地震は、東京大学地震研究所の観測結果解析から長さ450-500キロもの断層が動いたことによって起きたことが分かった。断層は最大8メートル動いた(ずれた)と見られている。

 東京大学地震研究所によると、地震が起きたのは、太平洋側のナスカプレートが東側の南米プレートの下に沈み込んでいる場所。沈み込みの速さは年間8センチほどで、蓄積されたひずみを解消するため、過去にもプレート潜り込み帯に沿って地震が起きている。

 今回の地震が起きた場所は、1960年に起きたチリ地震(M9.5)の震源域の北側に当たる。チリ地震のマグニチュード(M)9.5は20世紀以降で最も大きく、発生した津波によって日本でも142人の死者・行方不明者が出た。

 地球の1日は何時間?
 地球の1日は何時間あるだろうか?...そう24時間であるが、正確にいうと24時間より長いのか短いのだろうか?

 正解は「短い」である。短いから「うるう年」があり、4年に1回1年366日にして調整する。正確な地球の自転周期は、86164.098 903 691秒(23時間56分4.098 903 691秒)である。

 それでは、この地球の自転周期は今後長くなるのか短くなるのだろうか?

 正解は「長くなる」である。100万年以上かけて、潮汐力と呼ばれる月との間の重力相互作用や、地球大気との摩擦によって、地球の自転は徐々に遅くなってきた。近年(1999年から2005年)、平均太陽日で表した1日の長さは、0.3ミリ秒から1ミリ秒程度長くなっている。

 力は運動のようすを変える
 ところが、今回2010年チリ地震によって地球の自転時間が短くなったという。そんなことがあるのだろうか?冷静に考えれば、物体に力がはたらけば、変形したり、運動のようすを変えたりすることは、学校で学ぶ基本事項だ。

 今回の地震は(M)8.8であり、力も相当にプレート境界にはたらき、逆断層という変形を起こした。さらに、地球は赤道上で1674.4km/hという猛烈なスピードで運動しているから、そのようすを変えたりすることも考えられる。ちょうど宙に浮いているブランコも、人が力を加えると速くなったり、遅くなったりするのと同じ原理だ。

 米航空宇宙局(NASA)は、マグニチュード(M)8.8を記録したチリ地震によって、地球の自転時間(1日の長さ)が100万分の1.26秒だけ短くなったとする計算結果を発表した。

 NASAジェット推進研究所のリチャード・グロス博士(地球物理学)がコンピューターで影響を計算したところ、地震を起こしたプレート(岩板)が大きく動いたため、地軸がわずかにずれ、地球の自転時間も変化したとの結果が出た。

 M9を記録した2004年のスマトラ島沖地震でも、同じ手法で計算した結果、自転時間は100万分の6.8秒短縮していたという。

 北海道大学の日置(へき)幸介教授は「コマの一部が欠けるとコマの回転軸が変わるように、チリ地震で地球の一部がへこんだような効果が出たため」と話している。(2010年3月3日23時44分  読売新聞)

 力は地軸を動かす
 2010年2月27日にチリで大地震が発生した。そのすさまじい破壊力によって地球の軸が移動し、1日の長さが短くなった可能性があるとNASAが発表した。

 今回の地震マグニチュードは、アメリカ地質調査所(USGS)の発表によると観測史上5番目の規模となる8.8だった。この地震によって地球の自転速度が早まり、1日が”100万分の1.26秒”短縮したという。カリフォルニア州にあるNASAジェット推進研究所の地球物理学者リチャード・グロス氏が最新のコンピューター・モデルで算出した数値である。

 なお、2004年12月に発生したマグニチュード9のスマトラ沖地震では、同じモデルで1日が100万分の6.8秒短くなったと確認されたという。

 またグロス氏によると、2010年チリ大地震による地球の形状軸のずれはおよそ8センチであり、2004年スマトラ島沖地震の時には、7センチずれたという。

 形状軸とは、地球の不均一な質量分布でバランスをとる際に、その中心となる仮想線を指す。地球は南北を結ぶ軸を中心に自転しているが、形状軸はその軸から約10メートルずれている。

 ウィスコンシン大学ミルウォーキー校の地震学者ケイス・スベルドラップ氏は、片方の手に岩を持ったフィギュア・スケーターがスピンする状態に例え、この偏差を説明している。このときのスケーターの回転軸は身体の中心を貫いているが、形状軸は岩を持つ手の方向にわずかにずれるというわけだ。

 スケートのスピンの原理
 チリ大地震によって地球の自転速度が早まったのはなぜなのだろうか?

 スベルドラップ氏は今回のNASAの研究には参加していないが、この点についてもフィギュア・スケーターを例にとり、「腕を畳むと回転スピードが早くなるのと同じ仕組みだ」と述べている。

 チリ大地震でも地球の質量が一瞬、わずかに自転軸に向かって集まり、自転速度がわずかに上昇した。

 今回のチリ大地震は、巨大なナスカプレートが隣接するプレートの下に沈み込んだ際に発生しており、「プレート境界型地震(逆断層型)」に分類される。この「沈み込み」の現象は、地震や火山噴火を引き起こすことがある。

 スベルドラップ氏は、「ナスカプレートの岩石層が地球内部へと沈み込んだ結果、身体の中心に腕を引き寄せるフィギュア・スケーターと同じような状態になった」と説明している。

 現在の科学では、地球の1日の長さを測る精度はおよそ100万分の20秒が限界である。したがって、100万分の1.26秒はあくまでも推測にすぎず正確な数値ではない。「だが、確かにチリ大地震によって地球の1日は短縮した」とスベルドラップ氏は主張している。ただし、この状態は永遠に続くものではないという。

 巨大地震が次の地震を引き起こす
 2010年3月1日には、「1960年のマグニチュード9.5のチリ地震とも関連しており、当時の大地震のひずみが徐々に高まった結果である」とする研究結果も発表されている。

 マサチューセッツ州にあるウッズホール海洋研究所の地質学者ジャン・リン氏は、「2004年12月26日にマグニチュード9.0のスマトラ沖地震が発生し、続いて2005年3月28日にスマトラ断層の南端でマグニチュード8.7の地震が発生した。今回の地震も、この一連のパターンによく似ている」とコメントしている。

「唯一違うのは、スマトラ沖地震では断層南部が断裂して3カ月後に次の地震が起きたが、チリでは1960年の地震から断層北部の断裂までに50年という月日を要した点だ」。

 リン氏は、「この時間差の理由はよくわからない」としながらも次のように話している。「50年は人間の寿命より短い。時間軸上の相互作用も真剣に考察する必要があるだろう」。 (National Geographic News 2010年3月3日) 

 

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