報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

新たな暴動は大統領派

2006年06月29日 18時53分02秒 | ■東ティモール暴動
アルカティリ首相の辞任を受けて、ディリでは暴動や放火が再発してしまったが、報道をざっと見てみると、内容が食い違っている。欧米のメディアは、暴動はアルカティリ支持派によるものである、という論調が圧倒的に多い。

CNN:アルカティリ派共闘による新たな不安の恐れ
Fears of fresh unrest as pro-Alkatiri forces rally
http://www.cnn.com/2006/WORLD/asiapcf/06/29/timor.violence.ap/index.html

ロイター:与党支持者、東ティモールの首都襲撃
Ruling party supporters descend on East Timor capital
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/SP77777.htm

BBC:東ティモール、対抗勢力間で衝突の恐れ
Fears over E Timor rival rallies
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/5127752.stm

その中で、意外にもAsahi.com は暴動は”大統領派”によるとものだと報じている。

東ティモール、大統領派が放送局や避難民キャンプ襲撃
2006年06月28日20時01分
http://www.asahi.com/international/update/0628/015.html


アルカティリ派が暴動や放火を行っても、何のメリットもない。それどころか、自分の首をしめるようなものだ。普通に考えれば理解できる。この暴動や放火は、アルカティリ派ではない。

Asahi.com の報道が正しい。なかなかのクリーン・ヒットを飛ばしてくれたが、これが単なる出会い頭の一発でないことを祈りたい。もしかすると、欧米のメディアの論調に押し流されて変化してしまうかもしれない。

今回の暴動は、アルカティリ派の犯行だと見せかけて、アルカティリ氏と与党フレティリン党の息の根を止めることが目的なのだ。


ちなみにシャナナ・グスマン大統領の妻も、暴動の責任はアルカティリ前首相にあると公式に発言し、反アルカティリ・キャンペーンに協力しているようだ。

首相への辞任強要は「憲法違反」であるという、アルカティリ氏の挑発的な抗議に呼応し、怒り狂った若者による新たな暴動や放火の発生によって、ディリの相対的な平穏は、昨日、打ち破ぶられた。

シャナナ・グスマン大統領の妻(オーストラリア生まれ)は、アルカティリ氏は扇情的な演説でディリの緊張状態を激化させている、と発言した。

クリスティ・スワォード・グスマンは、民族的緊張の炎を扇いでいる前首相の無責任な行動によって、人々はアルカティリ氏の支持者の暴力的襲撃の恐怖の中で生活していると、非難した。

「彼は、フレティリン党を支持する群集に、かなり扇情的に語りかけた」と彼女はABCラジオに語った。
Sacked PM blamed for renewed Dili violence
http://www.theaustralian.news.com.au/story/0,20867,19623677-601,00.html


アルカティリ派に見せかけた暴動は、しばらく続くのかもしれない。

グスマン大統領は、混乱を収拾するためには、早急な選挙が必要だと述べている。相手に体勢を建て直す時間的余裕を与ず、さっさと選挙を前倒しして、傀儡政権を樹立してしまおうということなのか。

東ティモールは、濁流に呑まれる木の葉のように見える。