報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

東ティモール情勢の単純な図式

2006年06月22日 23時39分05秒 | ■東ティモール暴動
東ティモール情勢について書いている途中で、新しいニュースが入り、書きなおすはめになってしまった。
政局には興味はないのだが、少しだけ追っておこう。

2006年06月21日
大統領が首相に辞任迫る 東ティモール

http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006062101003735.html

2006年06月22日
首相、辞任要求を拒否  東ティモール、解任も

http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack.cgi?world+CN2006062201002677_1

東ティモールの憲法では、大統領には首相を解任する権限は与えられていない。グスマン大統領とホルタ大臣は、何とか解任の道はないかと模索していたようだが、無理だったようだ。

先ほどのニュースでは、首相を解任できないのなら、グスマン大統領は、自分が辞めると表明している。

2006年06月22日21時40分
東ティモール首相、辞任要求拒否 大統領「私が辞める」

http://www.asahi.com/international/update/0622/019.html

グスマン大統領が辞任したとしても、アルカティリ首相は何とも思わないだろう。グスマン大統領の辞任表明に意味があるとすれば、考えられるのは反アルカティリ暴動のさらなる激化への期待だろう。アルカティリ首相にゆかりのある者は全員、脅威にさらされることになる。首相がどこまで耐えられるかだ。

アルカティリ首相は、驚くほどタフな人物だが、彼の運命はすでに決まっている。今回の東ティモールでの動乱は、決して偶発的なものではない。意図されたものだ。何度も述べているように、マリ・アルカティリ首相の追い落としが目的だ。誰が追い落そうとしているかも、すでにさんざん述べてきた。すべて周到に準備された計画なのだ。アルカティリ首相に勝ち目はない。

アルカティリ首相は、典型的な”悪玉”に仕立て上げられた。いわば、サダム・フセインやミロシェビッチと同じだ。世界には、次のような記事が配信された。

東ティモール武装集団「首相、組織を指示」 幹部が証言
2006年06月13日23時17分

http://www.asahi.com/international/update/0613/010.html

アルカティリ首相が、元民兵に武器を供給するよう内相に命じたという報道だ。武器を渡されたという元民兵の証言だから、第一級の証拠ということになる。よくできた話だ。これで、アルカティリ首相は、打倒されるべき”悪玉”となった。

この”悪玉”を倒す”善玉”が、カリスマ人気のグスマン大統領とノーベル賞のラモス・ホルタ大臣だ。役者も揃い、世界はさんざん繰り返されてきた勧善懲悪のお約束ドラマを見るだけだ。当然、結末は見る前から分かっている。

アルカティリ首相が引きずり降ろされれば、なぜか急に東ティモールの治安は回復されるだろう。
不衛生な難民キャンプで生活をしていた人も、街で暴れていたギャング団や過激政治団体も、なぜか家に帰るだろう。

ホルタ大臣は東ティモールの臨時の首相になり、来年の選挙で正式に首相に選ばれるだろう。
グスマン大統領も再選されるだろう。
そして数年後には、オーストラリアはティモール海の資源のほとんどを手に入れているだろう。