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倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

社会で生きてゆかれるように ~自立支援年齢の上限撤廃~

2022-03-08 | 日記

さきの報道で、児童養護施設や里親家庭などで育つ「若者の自立支援」に関し、所管の厚生労働省が 原則18歳(最長22歳)までとなっている年齢上限を撤廃する方針を固めた(後にそれを盛り込んだ児童福祉法改正案を閣議決定)ことが報じられました。

2024年春の施行を目指すとのことです。

 

 

 

厳しい社会情勢に社会の多様性も絡み 子育てできない状況に陥る親御(おやご)が増える中、児童養護施設などは いわば〝育児の駆け込み寺〟として 今や社会に重用(ちょうよう)されています。

親の庇護(ひご)を受けられない子供らは、かかる施設で「社会的養護」を受けながら、辛い環境を乗り越え 幼少~青少年期を過ごし、いずれは自立してゆくことになります。

これまでの児童福祉法の下(もと)では、否応なしに 利用者が18才になった時点で施設を出て自立しなければなりませんでしたが、現下の厳しい社会情勢の中では 規定の年齢に達したからと、即 社会の荒波に放り出されても、なかなか自分でオールを漕いで大海を進むのは難儀というものでしょう。

私の知人が勤める児童養護施設でも「高校卒業と共に自立の道を」と意を決して歩む子も数多くいる一方、さまざまな事情から なかなか進路を決めきれないままに満年齢(18才)を迎えてしまい、卒園しても不安定な状況のまま社会に揉(も)まれる子らも一定数おり、心配に堪えないとのことでありました。

それらを総じて、年齢の上限は「18歳の壁」とも言われ いわば児童福祉の限界とも言われているそうです。

 

厚労省の調査によると、18才を過ぎて「自立」したにも拘わらず 多くの若者が厳しい社会生活を余儀なくされているとのこと。一例では、

22,9%が「収入より支出が多い」と回答。

26,7%が「住居や食事に困っている」と答えたとのことです。

また、進学しても 生活苦から中退を余儀なくされたり、仕事を辞めて社宅や寮に住めなくなっても 保証人がいないため、アパートなどの賃貸契約ができなかったりした事例もあるそうです。

しかし これまでは「18才の壁」により、施設を退所(卒園)後は 生活や将来の不安が生じても、今さら施設に戻って相談することもできず、結果 孤立や孤独に陥る人も少なからずいるとのことです。

施設側においても、直近1年間に1回も交流がないケースは3割を超え、中には「所在不明」などの理由で連絡さえ取れないケースも散見されているとのことでありました。

 

そんな中、かかる若者たちが社会へ巣立つのに必要な「助走期間」を一律に年齢で区切らず、個々の状況に応じて柔軟に設定されるべきとする今回の法改正は評価に値するものと思います。

 

 

 

今後の支援体制は、国⇔都道府県⇔各自治体⇔各施設が連携を深め、そこに児童相談所などの行政機関や、医療・福祉・就労・学校/教育委員会・住居支援・司法関係者など関係の専門機関の横断的・重層的取組み(支援)が重要となるでしょう。

さらに その「根本(こんぽん)」として、当該の若者らが不安や悩みを打ち明けたり相談したりする拠点の拡充や、相談に乗る人材の確保も欠かせないと考えられます。

 

社会の中で困窮する若者は、概して「もの言わぬ存在」であります。

自分がいくら困っていても それを外へ発信しない傾向(または発信の仕方や発信先が判らない傾向)にあるものです。

そんな、まさに「サイレント・マジョリティー(声なき声)」に心を寄せ、いわば「伴走型支援」を行なってゆくことこそ、現下の社会(行政)に求められていると申せます。

 

 

 

 

 

 

 

◆ 長野市コロナ報告

3月7(月)、長野市内で新たなコロナ陽性感染者の発生が報告されています。

 

3/7(月) 長野市におけるコロナ感染症の発生(79例)について [PDFファイル]

                ↓

https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/742874.pdf

 

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