去る23日、長野市内で「旧イトーヨーカドー解体工事」などを手がけ、最近では 県内初のサージカルマスクの本格製造に取り組むなどする『㈱大力』のS社長と共に、上田市で環境関連事業を担う『小柳産業㈱』を見学させていただきました。
かくいう私が かかる環境関連事業所を見学させていただくのは、去る10/9(金)に来訪した、伊那市の『エコの木/㈱キタニ』さん以来 2ヵ所目のこととなります。(ブログ記事は10/10付)
『エコの木』紹介記事
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2020年10月10日のブログ記事一覧-倉野立人のブログです。
で、その陰(かげ) には、㈱大力:S社長(長野市)/㈱キタニ:K社長(伊那市)/小柳産業㈱:K社長(上田市)の相互の厚い友情と、それぞれが共通して抱く「環境問題への熱い思い」があるのです。
こちらの三者(社)は、業を為(な)す場所は違えど、それぞれの地域で 社会衛生環境向上の中心的存在として活動展開されており、自分たちの活動によって 少しでも市民の社会衛生環境が向上できれば、との一念で さまざまな環境サービスに取り組んでおられます。
その一つが さきに伊那市の「エコの木」で紹介された〝市民ゴミ(一般廃棄物)のドライブスルー回収〟でありました。
これは、不要な物を適切に処分したいという〝市民常識〟に 利便性をもって応えている好取組みです。
家庭で生じた不要物を クルマに積んで持ち込むだけで、後はクルマから降りること無く事業者が片付けてくれるもので、このサービスのおかげで域内の社会衛生環境は飛躍的に向上したと評されています。
そして これらの好取組みに共感した㈱大力のS社長が、長野市においても同様の市民サービスができないものかと模索を始めたところ、同業のお二人が親身になって それぞれの社の事業内容を惜しげ無く伝授してくれているのでした。
そんな三者(社)の取り組みに 私自身も共感した中で、何かお手伝いできることはないか と、いわば〝試行錯誤の輪〟の中に私も入ることとなり、その一環としての「先進事例見学」とあい成ったところであります。
小柳産業㈱さんは、明治22年創業の 非常に歴史のある社で、現在では行政(上田市)からゴミ処理業務の一部を委託されるなどして、域内の社会環境衛生の向上に無くてはならない存在となっているそうです。
小柳産業㈱ HP
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そんな歴史ある社でありますが、その歴史に胡座(あぐら)をかくこと無く「いかにしたら 市民が抱える環境問題に利便性をもって応えることができるか」を常に念頭に置きながら業に励んでおられるのでした。
そして そのうえで辿り着いた一つの答えが「ドライブスルー収集」だったそうです。
小柳産業㈱さんの敷地内には「生活サポート部(愛称/サポ・ステ)」なるゾーン(部門)があり、こちらは いわゆる市民ゴミ(一般廃棄物)を専門に回収する部門となっているそうです。
不用物が発生した市民は、自家用車にそれ(不用物)を乗せ『サポ・ステ』に乗り入れます。
そこには専門スタッフが待機しており「いらっしゃいませ!」との元気な声と共に、あたかも接客業のような気遣いと手際の良さで 車載した不用物を下ろします。(ちなみに、こちらでも女性スタッフが活躍しておられました)
このときに持ち込まれた不用物は 再生可能物(鉄)だったそうで「無料」で回収したとのこと。
〝お客様〟の滞留時間は 僅か数分。何というか コンビニに寄ったような手軽さをもって、しかも今回は無料で不用物が片付けられ…氏は、おそらく満足度100%の気分で去ってゆかれたことでしょう。
なお『サポ・ステ』さんは「軽トラックの無料貸し出し」も行なっておられるとのこと(『エコの木』さんも同様)
不用物の片付け作業には、軽トラほど便利なものはありません。自家用車に積み切れない大物や、引っ越しなどで まとまった不用物が発生するときには非常に重宝されているそうです。
そんな〝痒(かゆ)いところに手が届くサービス〟も『サポ・ステ』さんの人気の所以(ゆえん)ではないかと感じました。
『サポ・ステ』サイト
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https://koyanagi-sangyo.com/business/saposute/
訊けば、この〝ドライブスルー回収〟は こちらの『サポ・ステ』さんがルーツであり、さきの『エコの木』さんは 先人のK社長のアドバイスの下、より良い形で〝伊那市バージョン〟を確立したとのことです。
普通、同業者であればあるほど〝手の内〟を見せたがらないものですが、彼らは そんな器(うつわ)の小さいことは一切言わず「そっちの地域の環境が良くなるのなら本望。どんどん情報を伝えるゼ!」との〝男気(おとこぎ)〟の中で情報共有を果たし、結果 相互の社の成長と市民サービスの向上を併せ果たしているのでした。
かかる好取組みを長野市でも展開して、市民のゴミ環境の向上に貢献したい。
㈱大力のS社長は、かかる2社の見学を通じて 改めて大いに刺激を受けたようでした。
私の立場においても、現下の長野市の状況…不用物(ゴミ)については、市の清掃センターやリサイクルステーションで ほぼ100%の受け入れができているものの、市民が自ら(清掃センターに)持ち込む不用物の投棄については さまざまな面で不便さがあることが側聞されています。
また、市域内の峠道などでは 未だに不法投棄が後を絶たない中、市民が手軽に不用物を片付けられるサービスがあれば そんな心無い行為も減るのではないかなど、かかる〝ドライブスルー方式〟などの先進事例は 長野市においても導入するに大いに値(あたい)するのではないかと強く思うところです。
今後、許認可など 越えるべきハードルは多いことと存じますが、あくまで「市民生活における社会衛生環境の向上」を念頭に、関係機関に適切に相談してゆく仲立ちを担ってゆきたいと思ったところでありました。
ところで 今回の『小柳産業㈱』さんの見学の中で〝もう一つの社会貢献事業〟を伺い、感銘を受けることとなりました。
「知的障がい者雇用」であります。
私たちが施設を見させていただく中で、施設内でフォークリフトを巧みに操る作業員の姿がありました。
それを指さした管理者さん、こともなげに「彼、実は知的障がい者なんですよ。」とのこと。
曰(いわ)く「実は彼、数を数えるなどの作業が苦手で これまでの仕事場で上手くゆかないことが多かったんです。ところが 機械の操作についてはバツグンの能力を持っていることが判ったので、ならばということでフォークリフトの免許を取らせて構内整理を任せたところ、まさに〝水を得た魚〟の如く それはヨク働いてくれているんです。」とのことでした。
知的障がい者の雇用については ややもすると「どうせ できないでしょ。」との悪しき先入観が作用しがちなところですが、こちらの事業所においては全く逆。
「あることが苦手だとすれば では何ができるのか。」の視点で〝仕事探し〟に心を砕いてくださり、結果、この彼は みごとに花開くこととなっていました。
また 敷地内のバックヤードでは、社員さんに混じって 黙々と 束ねた新聞の紐(ひも)切り作業に勤しむ作業員の姿が。
彼もまた 知的障がいをもっているとのことですが、その作業への集中ぶりは 社員サンでもかなわないほどだそうです。
勤務時間中は まさに寡黙そのもの。ひたすらに紐切り作業に集中し続けてくれ、下手をすれば(紐切り)機械よりも効率を上げてくれているとのことです。
知的障がい者さんの有する「一つの作業へ集中できる能力」が 見事に適合した好例でありました。
と、これら好事例に感銘を受けていると、K社長が「ウチは 障がい者支援のNPOさんと連携しているので、そちらも案内しましょう。」と水を向けてくださったので、ゼヒにということで、一路 大屋地区にある建屋にご案内いただきました。
JR大屋駅にほど近い一角に『特定非営利法人 信州元気塾』が運営する『指定障害福祉事業所 ほっとタイム大屋(就労継続支援B型)』があり、こちらの利用者さんの就労に『小柳産業㈱』さんが実質的な支援を行なっておられるとのことでした。
建屋の通用口から中に入ると、そこには 複数の知的障がい者さんらの姿が。
作業場の中には、ところ狭しと 電化製品のような機械物が置かれており、それらを前に 彼らは一心不乱に手を動かしているのでした。
訊けば こちらの作業場では、電化製品などを解体し その中から有価物を取り出す作業を行なっているとのことです。
ある意味 これも〝逆転の発想〟。
モノを「作る(造る)」となると、手順に制約があったり ミスって壊したり失敗作になったりすると、お叱りの対象になってしまうところですが、こと「壊す(分解する)」となれば、そんなリスクも少なく作業に臨めます。一定の有価物を取り出すことができればそれでヨシ。いわゆる作業の〝自由度〟が増し、使用者さんは あらぬ制約の少ない中で、ときに自分なりに工夫しながら作業に集中できるのだそうです。
こちらでは、配線に使ったコードの中の「銅線」を取り出す作業が二人三脚で行なわれていました。
二人の共同作業によって、何もしなければ無碍に捨てられる運命の配線コードが「銅」という有価物に生まれ変わる…それだけで〝循環型社会〟の一翼を担ってくれていたのでした。
『小柳産業㈱』さんは、知的障がい者さんらの〝能力(集中力)〟に着目する中で かかる『信州元気塾』さんと連携、リ・ユースの可能な物品を供出するなどして もって障がい者さんの〝活躍の場〟の提供にも大きく(実質的に)貢献しておられるのでした。
社会が多様化を極め 一方で地球環境が悪化の一途を辿る中、今や環境関連事業は 社会的にも担う役割が非常に大きくなってきたと申せます。
そのうえで、自治体の規模もスケールダウンを余儀なくされる中、こちらの分野でも〝民間力〟の適切な介入は不可欠といえるでしょう。
『小柳産業㈱』さんにおかれては、域内のゴミ処理や環境リサイクル、さらには市民の(不用物処分の)利便性向上に資すると同時に、知的障がい者さんらの活躍の場や雇用の確保にまで貢献されるなど、まさに 今後の地域社会の適切な運営に無くてはならない要素を満たした中で 地域に根ざした事業運営を行なっておられました。
かかる先進の好事例を 長野市でも実現してゆきたい。帰途の車中で、S社長と 共々に意を新たにいたしたところでありました。
ところで…『小柳産業㈱』さんの社是は「資源にも〝愛〟を」だそうです。
この社是(テーマ)は、地元にある 長野大学の学生さんにプロデュースしてもらった成果だとのこと。
社是(テーマ)の考案を依頼することにより、次世代を担う若者にも環境のことを考える機会としてもらおう。
どこまでも実質的で、イキな企画だったのだなぁと、何回か目の感銘をいたしたところでありました。