森の空想ブログ

夏が来た:「祈りの丘空想ギャラリー」の展示替え/2ヶ月の閉鎖中に蛇・コウモリ・スズメバチが棲みつきギャラリーが野生の王国になっていた[森へ行く道<52>]

真夏の太陽が照りつける。
南国・宮崎の夏は、大分日田の夏の蒸し暑さを知っている私にとっては、小気味良い暑さである。
8月生まれ「夏男」の私は、この太陽に炙られて俄然元気になるのである。



2ヶ月ほど閉館状態だった旧教会を改装した「祈りの丘ギャラリー」に行ってみて驚いた。
入り口のドアと土間の間の隙間から蛇の尻尾が出ているのだ。蝮に似た斑模様が見える。ガタガタとドアを揺すると小さな頭が覗いた。三角ではない。ただの縞蛇のようだ。目が合った。可愛い顔をしている。
――若い蛇だな。
ドアを開け放ち
「退去を命ずる!!」
と言ってみると、するすると森の方角へ逃げて行った。



室内に入ると、床に黒い粒々が散らばっている。
――コウモリ君が居ついたな。
案の定、彼は、展示室内の配電線にぶら下がり、ぷるぷると震えている。
掴まえる真似をしてみると、慌てて二階の窓のや破れ目から逃げようとしたが、ぶつかって果たさず、引き返してきて、天井や壁にぶら下がった。
――あのな、石器時代や縄文時代の洞窟遺跡からコウモリの骨が発見されることがあるのだよ、昔の人はコウモリを食っていたのだよ。どんな味がするのかな。
と一発脅しておき、
――あの逃げ損ねた窓がが出入り口だな。
と、間抜けぶりの観察を続けていたところ、窓の脇にスズメバチの巣を発見。15匹以上が巣の回りを飛んだり、出入りしたりしている。成熟した巣である。
これは一大事。
私はスズメバチに何度が刺されたことがある。高千穂の古民家では、中二階で作業していたところ、屋根裏に巣をかけていた奴らに襲撃された。慌てて飛び降りたのだが、着地する前に短パンの股の部分に尖った槍のような棒杭が刺さり、宙吊り状態になり、足をばたばたさせている状態で蜂に刺され放題となったのである。槍の先が急所を外れていたので事なきを得たが、かなり痛かった。
蜂の巣を見ると、あの火のような痛みを思い出す。
来客や子供たちが知らずにこの部屋に踏み込んだら、惨事が起こりかねない。
駆除は噴霧式の殺虫剤によるしかないだろう。
蜂の巣採りは、殺虫剤噴霧式は効果絶大だがあまり面白くない。殺虫剤を浴びた蜂の子を食べる気にはならないからだ。火を使うのはちょっと怖い。飛び火して山火事になった例を知るからである。それらに比べると叩き落とす原始的な方法は面白い。刺される危険が伴うが、長い竹ざおなどで巣をばしりと叩いて、追いかけてくる蜂をかわしながら逃げ出す。それを繰り返して、見事巣を落とすと、蜂どもは観念し、巣を放棄して散り散りに去ってゆくのである。その巣から白い蜂の子を取り出し、フライパンで炒って食べる。これが旨い。原始の狩人の血が騒ぐというか、子どもの時の遊び心が満たされるというか。
ただし今回は、叩き落すには部屋が狭いし、火を使えば家そのものが火事になる恐れがある。

というわけで、林田君が重装備の上、殺虫材を噴射して駆除終了。
コウモリ君は殺虫剤の噴霧直後にその匂いを嫌って逃げ出し、森へ帰った。

この古い教会を改装したギャラリーは、20年近く、ほぼ毎日開け閉めをして使い続けてきたものだ。
それが、今回の新型コロナウィルス蔓延の影響を受けて閉館状態が続いていた。
梅雨の長雨と周辺地域の災害なども重なって、締め切りの状態だったのだ。そのわずか2ヶ月ほどの間に、たちまち小動物たちが住み着き、蔓草も壁から室内へと這い進んで、なかば野生の王国と化していたのだ。
人間が介在しない構造物は、たちまち野生の営みの中に置かれて、「風化」していくわけだ。




ギャラリー・美術館・博物館を運営するということは、このような事象をも含む。
今日から少し時間をかけて片付けをし、展示替えをして、新鮮な空気を送り込んであげることにしよう。


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