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人生の一コマ一こまを 愛し慈しんで 残したい。
ステキな庭のバラを! 旅行のスナップも そして大切な家族の素顔も!

日日是好日   森下 典子

2018年04月18日 14時04分42秒 | Books

    日日是好日    森下 典子

 今年 この本を原作とした映画ができるというので何となく気になっていたのですが、 懐かしくて 再読しました。

 その中で、やはりと思った個所を列挙しておきます。

・世の中には『すぐわかるもの』と、『すぐにはわからないもの』の二種類がある。 すぐわかるものは、一度通り過ぎればそれでいい。けれど、すぐにはわからないものは、 中略 何度か行ったり来たりするうちに、後になって少しずつじわじわとわかりだし、『別もの』に変ってゆく。

・『病気をきっかけに、身の回りの何でもないありふれたことが、ものすごく愛おしく感じられるようになった』 という人もいる。 人には,どんなにわかろうとあがいたところで、その時が来るまで、わからないものがあるのだ。

 再読するにつれて、初めてなるほどと思う事よりも、そうだ私も同じくそう思っている、といったことが多いように思う。 私も、作者と同じく年を取って少しは生きてゆくことがわかるようになってきたのかな。

・『もし私だったら、心の気づきの楽しさを、生徒にすべて教える』・・・・それは、自分が満足するために、相手の発見の歓びを奪うことだった。  この言葉が今社会にでたばかりの息子たちに向かって思う気持ちである。 彼らの人生は彼らが楽しむものである。良いことも、つらいことも すべて彼らが自分で判断した人生のストーリーであるべきである。  私は傍で、彼らの人生を見守るだけ。


たとえば君

2018年04月07日 15時37分06秒 | Books

 たとえば君   四十年の恋歌     河野裕子・永田和宏

先ずは 気に入った短歌を

・たとえば君 ガサッと落葉すくふように私をさらって行ってはくれぬか (河)

・夕闇の櫻花の記憶と重なりて初めて聴きし君が血の音 (河)

・ブラウスの中まで明るき初夏の日にけぶれるごときわが乳房あり (河)

・貧しさのいまはればれと炎天の積乱雲下をゆく乳母車 (永)9

・背後より触るればあわれてのひらの大きさに乳房は創られたりき (永)

・しっかりと飯を食はせて陽にあてしふとんにくるみて寝かす仕合せ (河)

・良妻であること何で悪かろうか日向の赤まま扱きて歩む (河)

・立った一度のこの世の家族寄りあいて雨の廂に雨を見ており (永)

・もうすこしあなたの傍に眠りたい、死ぬまへに蛍みたいに私は言

 はう (河)

・やわらかな縫い目見ゆると思ふまでこの人の無言心地良きなり (河)

・あるいは泣いているのかもしれぬ向こうむきにいつまでも鍋を洗いつづけて (永)

・歯茎腫れてまた童顔となりし妻頬づえをついて選歌しており (永)

・ちょっとだけ私にくれていい筈のじかんがあらぬ君が日程表 (河)

・あなただけ私の傍に残りたり白い牡丹だよと振り向いて言う (河)

・歌集『家』をかなしみて読む君が病気をまだ知らざりしあの頃の家族 (永)

・粋がって傘もささずに歩いてた若かったあなた、私は追いかけて (河)

・良き妻であったと思う扇風機の風量弱の風に髪揺れ (河)

・病むまへの身体が欲しい 雨あがりの土の匂ひしてゐた女のからだ (河)

・あなたらの気持ちがこんなにわかるのに言ひ残すことの何ぞ少なき (河)

・さみしくてあたたかかりきこの世にて会い得しことを幸せと思う (河)

・手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が (河)

・一日が過ぎれば一日減ってゆく君との時間 もうすぐ夏至だ (永)

・たったひとり君だけが抜けし秋の日のコスモスに射すこの世の光 (永)

・あほやなあと笑のけぞりまた笑ふあなたの椅子にあなたがいない (永)

・みほとけよ祈らせたまへあまりにも短きこの世を過ぎゆくわれに (河)

・ひらく手の指のほそさよわが妻の指を継げるや亡き妻の爪に似るとや (永)

 

 この夫婦似た者同士かな  感情を素直にストレートに表現している 詩の上だけでなく日常の生活においてもそうであったのか。  うらやましい性格であり、お二人の暮らし、人生であるよな。           NHKの番組を観て。