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細川 ガラシャ夫人    三浦綾子

2010年03月28日 13時28分26秒 | Books

  細川 ガラシャ夫人    三浦 綾子

 先日読んだ 信長の妹 お市の方 についでの戦国時代の女性が主人公となった 小説である。 小説とは云っても 作者はかなりそれぞれの時代の歴史考証をしての著作なので 歴史の勉強にもなる。

 さて今回は細川ガラシャ夫人である。この方は 信長を討った明知光秀の娘である。 そしてこの明智光秀を知らねばその娘玉子(後の洗礼を受けてからのガラシャ夫人)の生い立ちはわからない。それほど父親である明智光秀の人柄は当時としては抜きん出て異彩を放つものであったのであろう。 この本の前半は ガラシャ夫人というよりも明智光秀と信長との生き様の違いを述べてある。我こそが神よ、我を信ずれば 栄華が得られるといって 豪語し逆らうものは全て抹殺してきた信長。かたやその非道を非道と嘆き呪いつつもこの信長の命令に懸命に従い尽くそうとする光秀。 今流に言う信長にいじめられとうとう最後に“切れた”光秀の謀反も解る様な気がする。

 そして後半は 細川忠興に嫁いだ玉子が主人公である。 光秀謀反までは実直な親光秀を理解し尊敬しつつ生きてきて幸せな結婚生活を送っていた。しかし、光秀謀反の後は光秀の血の繋がったものは全てころされてしまう。 玉子は一瞬に一人ぼっちになってしまう。夫である忠興は、細川家を守る為に、光秀への援軍は送らなかった。そして 忠興は信長の次ぎの秀吉、さらに徳川にへと時勢を読みつつ懸命に家を守るように生きてゆく。 そんなか玉子は侍女の佳代というキリシタンの女性や高山右近などからキリスト経の教えを聞き次第に感化されてゆく。 なぜ私ばかりがこのように苦難が襲ってくるのだろうか?という問いに、苦難によって更にあなたはより高い人間へと向上してゆくのだ。という答えに感動したようだ。やがて、自分の信念を硬く持つようになり、死をも恐れない最後を迎えた。

 面白い言葉に、もし光秀が信長を討たなかったならば歴史はどうなっていただろう。誰もが信長に逆らうことが怖くてできなかったのに。 

 なぜ 信長は光秀に冷たく当たったのであろう。おそらく信長が光秀のあらゆる面に優れた能力を持っていることを知っていて、恐れ且つ嫉妬していたのであろう。

 この時代、弱小大名はその存続を掛けて懸命に読み戦っていたのだろう。一つでも間違えば、一族全てが死ぬ、滅びることになったから。

 本来ならば殺されても不思議はなかったお玉が生き延びれたのは夫 忠興の愛とそれにより宮津の山奥(味土野)に身を潜めたからである。そこで村人のここで生まれここで平和に暮らし死んでゆく人々を知り、自分の身分は高く豊かな生活を送るが決して心休まることのない血なまぐさい生活と比べて、ささやかだが心休まる幸せというものを知ったからこそ後にクリスチャンへと進んでいったのであろう。

 散りぬべき時知りてこそ世の中の 花も花なれ人も人なれ  お玉        

   

  

 


貧困大陸 アメリカ 2     堤 未果

2010年03月22日 21時24分25秒 | Books

  ルポ 貧困大陸 アメリカ 2     堤 未果

 2年前に出版された 続編である。前回は大学に行くために軍隊に入る学生が多いといか、医療費が払えないために病院から路上に放り出されるとか、病気になっても保険会社がその治療費の保険での支払いを拒否してしまうとかといった記事が印象に残っている。

 さて今回はまず大学生の教育費ローンから、或いは 一昨年のリーマンショックから 企業の福利厚生減少、また解雇などからローンが雪だるま式に大きく膨らみ、人生ローンの返済に追われる運命にも思える状態についてである。

 次ぎは、今日アメリカ下院で可決された医療保険改革についてである。本当は 単一支払い皆保険制度が望ましいのだが、医療保険会社や、製薬会社などからの 議員への献金や、ロビー活動により一歩後退し公的保険と民間保険との選択をできるといったせいどになるらしい。 それにつけてもアメリカ人は自分は病気にならないとでも思っているのだろうか?それとも他人を救おうという気持ちは無いのだろうか? ボランティアとかドネイションとかは 盛んなのに。相互扶助ということに関してはどうなんだろう。社会保障という事に関してアレルギー反応が出るのだろうか!

 さて最後は驚きである。刑務所という巨大労働市場  と題されている。これは刑務所の維持が経費が掛かるといって、民間に管理させている。アメリカの刑務所は日本と異なり部屋代(牢屋代)が掛かるし病気になれば別に治療費も掛かる、服代からペーパー代までもが自前なのだ。だから牢屋にいても金が必要であり、無ければ借金である。牢屋から出てきても却って借金は膨らんでおり、そんなモンは勤める職場も更に無い。そして再び犯罪から刑務所にというパターンである。 ここで驚くことに刑務所内にての労働に賃金が付く。これが 更に驚くほどの低賃金。これによって刑務所滞在中の費用を賄うのである。 この低賃金のほどは、しばらく前に第三国の開発途上国にs仕事をアウトソーシングしていたが、そこ経費より更に低く、今では再び本国に仕事を戻すことが多くなっているほどである。 

 まぁ以上であるが。本文の中からこれはという文章をピックアップすると

 たとえサービスの内容が 教育や医療といった分野(これらは効率とか営利等では計れないものをもっていると思う)でも、それが営利である限り、満足させるべき相手は、株主である(利用者ではない)という法則はアメリカでは変わらない。

 メディケアとメディケイドが国家予算の7分の1にまで膨れ上がっているのはなぜ?  それはアメリカでの医療費自体が高すぎるのであろう。

 医療という行為そのものが利益のために捻じ曲げられ、医者も患者も暗い眼をして転落してゆく今のアメリカを見ているうちに、やがて私は別のことを考えるようになりました。  いのちを救うことよりも更に奥にある、いのちそのものへの敬虔な気持ちです。 アメリカという国が今突きつけられているのは、本当はもっとずっと深い部分でのチェンジなのではないかと。


町屋と人形さまの町おこし     吉川 美貴

2010年03月11日 20時28分30秒 | Books

  町屋と人形さまの町おこし    吉川 美貴

 先日 村上市の味匠 きっかわ に行った時、お店の番台?で一人お客さんとの応対をされていたのが、この本の著者 吉川 美貴 さんでした。 とても美しい方でありかつ周囲への気配りも素敵なか方でした。 その方の脇に何気なく置かれてあったのがこの本でした。

 この本を読み進めるうちに、この著者が 先日お会いした時のイメージより遥かに素晴らしい感性と想像力を持った方かということが、感じられた。そしてこの吉川夫婦が一体となり互いに助け合い町おこしに取り組んできたか、実に懇切丁寧に記載されていたように思う。そして読者に、この私にも何かできること無いかと勇気を与えてくれたように思う。

 この村上市の町おこしをやらねばと思い立ったのはご主人のシンジさんでありこの方の心意気が始まりであったようである。

 以下 これはと納得した言葉を記す。

 二つの壁を突破せよ   一つの壁は物事を初回で実行し必ず成功させること  一回目が成功すれば、それまで反対していた人や快く思っていなかった人たちも後で賛同してくるものだ。まさに 勝てば官軍 なのだ。  もう一つの壁は組織を説得しまとめることだ。その為には、新しい企画に対し賛成、協力してくれる人だけでチームを作る。さらに はかりごとは秘密にすばやくすすめること。   大勢で会議をすればするほど、特徴ある個性的な企画は否応なく修正され、無難で平凡なつまらない企画になってしまう。

 特に古い年代の物は時と共に風化してきた何とも言えない味があり、現代の物と比べて匠の技に裏打ちされた、手間隙かけた時間と汗の結晶のようなものがおのずと感じられ、理屈抜きで人を感動させます。

 お客様の滞在時間が長いことでより多く使われるお金が、外部資本ですぐに町から出てゆくというのではなく、グルグルと地域の中でまっとうに循環することで、結果的に地域が豊かになる。

 町を車から降りて歩いてみたくなるような町にしないといけない。イタリアの広場は まさにそんな場なのである。 友人と偶然出会ったり、ウインドウショッピングを楽しんだり、そんな行き交う人々を道端のデッキカフェでのびり眺めたりと。 

           長野を見ればため息よ!


流星  お市の方    永井 路子 

2010年03月08日 22時11分07秒 | Books

  流星   お市の方     永井 路子

 久振りの歴史小説かな 織田信長の妹に当たる お市の方の生涯である。 この時代 婚姻といえば すぐに政略結婚と思うがまんざら本人の意のそぐわなかったものでもないようであるし、また城が落とされた時 城主は殺されてもその妻子の安全は保障されもとの実家に戻されるということが時代のルールであったそうだ。そして 政略結婚といっても出てきた実家を代表しての心構えが必要であったようだ。

 さて、このお市の方であるが、織田信長の妹であったが、そう美濃を制した信長にとって京へ上るのに次に障害となるのは、北近江を治める浅井家である。ここにお市の方は輿入れをしたのである。その前に、信長がまだ尾張の一武将に過ぎなかった時、大国美濃の斉藤道三の娘 濃姫をもらっていたが、この濃姫の信長の為、また美濃の為に働く姿をお市の方はじっと眺め、この時代の政略結婚における女の行き方を学んでいた。 当初は信長と夫となった浅井長政は 次の時代を作り出すといった夢で意見が一致していたが、いざ他の国々との戦となると長政は 信長と浅井家の隣国朝倉家との友好を天秤に掛け、なんと婚姻の誼があるにも関わらず、信長を裏切り敵にしてしまう。

 やがて信長と浅井長政との姉川の合戦などを経て、浅井家は滅ぶが、お市と娘達は無事に保護される。しかし一人息子は、羽柴秀吉に見つけられ殺されてしまう。信長の元に戻ったものの、しばらくして信長が暗殺され、さて信長の領地分配において、その息子たちがどれも不甲斐ない者ばかりで、結局秀吉の思うなりになりそうであった。これでは織田家が滅びると、お市はもう一人の信長の武将柴田勝家に嫁いで秀吉を牽制しようと企てるが、もう一歩のところでシズガタケの戦いにおいてこの勝家も敗れてしまう。 城が落ちる時、お市の方は勝家とともに自刃する。しかしこの時城外に助け出された娘たちはまたそれぞれ歴史に残るような人生を送って行ったのだ。中でも長女は秀吉の息子秀頼に嫁ぎ 淀君と呼ばれた。

 この時代 藩主というか大名というかこのような名家に生まれた女性はそれなりに大きな覚悟と使命を持たされていたのだなあ。 実に面白く、久し振りに二日で読み終えてしまった。