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百一年目の孤独

2014年03月28日 21時32分06秒 | Books

百一年目の孤独     高橋 源一郎

 作者が訪れたマーチン・ハウスという「子どもホスピス」。 ここは子どものうちから体に 障害や不治の病気を背負った、そして何時命が終わるか分からない子ども達の施設である。

『だが、彼らの世界を歩いていて、私は突然,気付いたのである。 中略 彼ら「弱者」と呼ばれる人々は、静かに、彼らを包む世界に耳をかたむけながら生きている。彼らは、あくせくしない。彼らには、決められたスケジュールはない。彼らは、弱いので、ゆっくりとしか生きられない。ゆっくりと生きていると、目に入ってくるものがある。耳から聞こえてくるものがある。それらはすべて、わたしたち、「ふつう」の人達が、見えなくなっているもの、聞こえなくなっているものだ。また、彼らは、自然に抵抗しない。まるで、彼ら自身が自然の一部のようになる。わたしは、そんな彼らを見て、疲れて座っているのだ、とか、病気で何も感じる事ができなくなって寝てるのだ、という。そうではないのだ。彼らこそ「生きている」のである。  中略 彼らが私達を必要としているのではなく、私達が彼らを必要としているのではないかと』

 『このマーチン・ハウス では、25年の間に、1600人の子供たちが亡くなってきている。こんなに夥しい死に囲まれているのに、ここは、なんと清冽で、明るい場所なのだろうか。ここで、ひとびとは、たくさんの話をする。それも、ゆっくりと。それから、同時に、たくさんの沈黙を味わう。そして、静かに、また考える。ここでしか感じることのできない時間が流れている。  中略  あるスタッフが 語った。「世界中が、ここと同じような場所だったらいいのに」』


あの頃の空  佐江 衆一

2014年03月11日 21時13分09秒 | Books

 

 あの頃の空  佐江 衆一

対象の読者は 団塊世代の親父連中である。 8編の短編集。気が俳って読んだのは、『カントリータイム』  退職後の主人公は念願の英語力をスキルアップする為に4週間のカナダ、ホームステイ語学教室に参加した。日本からの若い子達と一緒に クラスレッスン受ける。 最後に みんなの前でお別れ感謝のスピーチをする事になるのだが、ここでの主人公の悶絶苦闘が、読んでいる私にも伝わってきてハラハラしながら読み進んでしまう。そう、いまの自分には何の、負荷もない緊張感もないのだが、かえってこのような緊張感が懐かしいというか、味わいたくも思ってしまう。  そう、私もやってみたいと。次に 『勝敗に非ず』は 私のまったく知らない世界、剣道についてである。竹刀を合わせるだけで、相手の精神、気性、その他多くが察知できると。やったものでないとこれは理解できそうにない。けれど、勝とうと焦らず、また負けまいとするところに見出せる何かがあるようである。