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神様のカルテ       夏川 草介

2010年06月15日 20時29分04秒 | Books
    神様の カルテ   夏川 草介

 長野県の国立大学のある 松本を舞台にした物語である。 作者は32歳のまだ若い医者のようです。 Ma-君のお勧めで、たまにはこちらがこれどうやといって勧めるのではなく、向うのオススメにも乗ってみようと手にした。 
 本文の流れは 三部になっており、先ず主人公のおかれている状況。大学を卒業しまだ5年目という経歴で、研修医を経てそのままこの町の病院勤めをしている。地方は医者不足で、一人で何でもかんでも科をこなさなくては、押し寄せる患者をさばけない。それでも病院の中ではスタッフからは信頼されている。そして下宿をしている、怪しい(後で心やさしい連中の)者達が寄せ合っている御岳荘の紹介。ここで主人公は出会った可愛いカメラマンの女性と夫婦なのである。 続いて2部に入ると癌末期の患者とのやりとり。 そして3部には、心を通わせた患者を見送り、そこへ 大学病院へ研修に行かないかとの周囲からの誘いが来るが、主人公は また将来気が変わるかもしれないが、今はここの自分を待っている患者のいる病院勤めを続けようと決心するところで終わる。登場人物もそれぞれユニーク 個性的なものばかりで読後感としては、さわやかなものが残った。  
 これはと納得した一節に 『世の中というものは、こうやって回っているのだ。  中略  きっと世の中のほとんどの人間がそうやってぐるぐるぐるぐるやっている。いろんな不満や不安をかかえながら、ぐるぐるぐるぐるやっている。』 時代はゆっくりゆっくりとしか進歩してゆかない。しかし一つが改善すれば その時点で理想は更にもう一歩先に進んでおり、これで良いというところには落ち着かない。