犬山城下の建物は、
明治24年の濃尾震災で多くが倒壊して取り壊されましたが、
幸い空襲に遭うこともなく、城郭を含めたいくつもの古い建物が残りました。
その後、伊勢湾台風の被害も受けましたが、
今でもいくつかの古い建物がそこかしこに残っています。
お城へと伸びる「本町通り」がメインストリート。
犬山城大手門から名古屋へと通じる昔の街道になります。
写真の右手、のれんのかかった建物が、旧磯部家住宅(登録有形文化財)です。
旧磯部家住宅の内部。
ガイドさんによれば、今年で築147年。
江戸時代から「柏屋」の屋号で呉服商を営み、戦後は製茶・販売に転業したそうです。
座敷の床の間や違い棚は明治に入ってからの改築と考えられています。
(江戸時代は武家屋敷にのみ認められ、庶民には御禁制でした)
こちらは旧堀部家住宅(登録有形文化財)です。
ガイドさんによれば、堀部家は犬山城主成瀬氏に仕えた足軽大将で、
明治に入ってからは養蚕業を営んでいたそうです。
この建物は明治初期に建築されたもので、武家住宅の面影を残しています。
5月から一般公開されたばかりで、まだ清掃・整備の途上でした。
それがまた生活臭を色濃く感じさせ、往時の雰囲気をどっぷりと味わうことができました。
できれば、はげた漆喰やキズなど、そのまま保存してほしいものです。
住宅内には「電話室」なるものが。
いかに裕福な家であったかがうかがえます。
メインストリートの本町通りに交わる横道に入っても、
古い町並みはそこかしこに残っています。
一般家屋の二階に設置されたエアコンの室外機も、
建物の外観にあわせて黒く塗られています。
犬山市の人たちが、いかに自分の住む街を愛し、
景観を大切にしているかが伝わってきます。
こういう横道や裏道にこそ、往時の風景が残されていたりします。
古建築好きには興味のつきない街でした。