どこにでもありそうで、めったに見かけない「茄子のよいち漬」。
よく見かける「小茄子のからし漬」や「味噌漬」とはまったく別物です。
小茄子を醤油液に漬け、さらに麹に漬け込んだもので、
「たまり漬」のように塩辛すぎず、また「べったら漬」のように甘すぎず、
その絶妙な甘辛さを赤唐辛子のかけらがきゅっと引き締めています。
一番おいしい食べ方は「お茶漬け」。
実家にいたころは、これだけで何杯もお代わりしていた、
ある意味で私のソウルフードのひとつです。
ところが東京ではめったに売っていないのです。
「からし漬」や「たまり漬」はどこにでも置いてあるのに、
「こうじ漬」となると東京では「べったら」くらいしか見かけません。
ところが、松戸市にありました。
製造販売、合資会社 島村俊商店(なんと創業は明治18年だそうで)。
直売しているというので、足を伸ばして買ってきました。
250グラム袋で472円です。
学生の頃に実家で食べていたものよりも、
多少塩分は控えめでしたが、むしろこちらのほうがおいしく感じました。
茶碗一杯のごはんで、いくつもいけてしまいます。
同社のホームページによれば、
小茄子は平家の落ち武者が生活の糧として栽培していたと伝えられ、
これを源氏方の若武者、那須与一が射抜いた扇的に見立てて、
「茄子のよいち漬」と名づけられたそうです。
それにしても懐かしい味でした。