衆議院解散のきっかけとなった党首討論で、
野田首相が小学校時代の思い出を語ったくだりがありました。
「小学校のときに通知表をもらい、成績が下がって父親に叱られると思った。
しかし、父親は通知表に『野田君は正直の上にバカがつく』と書いてあるのを見て、
とても喜んだ。父親から学校の成績よりも大切なものがあると教えられた」
おおむねそんな内容でした。
野田首相がこの話題を語り始めたとき、
一瞬、「何を言っているのだ?この人は!」と思いました。
そしてどうやらそれが、「自分はウソつきではない」と言いたいがための、
子供の頃のエピソード紹介だとわかったとき、
「やっぱり学校の学級会と変わらないなあ」と感じました。
「ウソをつかないこと」「正直であること」が、
人として大切であることは言うまでもありません。
しかし、それに「バカ」がついてはいただけません。
バカがつくほどの正直者は、
企業ではもっとも仕事ができない社員のタイプのひとつです。
正直者は「利口」であってこそ、さまざまな交渉をこなし、
トラブルを解決に導くことができるのです。
たとえ正直者であっても、
一国のリーダーに、やっぱり「バカ」はいただけません。
でも、こういうエピソードを何の臆面もなく、
公共の面前で堂々と発言し、全国中継の電波に乗せてしまうのですから、
やはり「バカ正直」に偽りはないのでしょう。