正しいクレームのつけ方【発言編】
その4.「株主総会で言うぞ」はエセ総会屋行為、逮捕されます。
最近、このような発言をするクレーマーが特に増えています。
あからさまに「発言する」「質問する」と言わないまでも、
開口一番に「実は御社の株をもっている」とか「自分は株主でもあるんだ」とか、
「何を言いたいの?」と聞きたくなるような言葉を耳にすることが多くなりました。
反社追放の講演会などで、講師の企業顧問弁護士も、
「株主総会での一般株主の総会屋的発言が増えている」と言っていましたから、
単なるクレーマーの脅しではなく、実際に行動に移す人も増えているのでしょう。
かつて村上ファンドの村上世彰が、「モノ言う株主」と呼ばれて一世を風靡しました。
その頃から「株主は総会でもっと発言すべき」という意識が一般株主にも広まり、
株主総会での一般株主の発言が増えるようになりました。
しかし、本来の「モノ言う株主」とは、
経営に口を出さない「サイレント株主」に対して、経営に口を出す株主という意味です。
それがいつの間にか「モノ言う株主」という言葉だけがひとり歩きし、
「自分は黙っていない」「株主総会で公開して糾弾する」といった屈折した解釈になり、
結果的にエセ総会屋行為につながっているような気がします。
本人は「マスコミに言う」や「役所に言う」などと同じように、
正当な社会正義を貫いていると思っている人が多いようです。
しかし、このような発言は、一歩間違えば、
刑事罰を課せられる行為だということを知っておくべきでしょう。
改正後の新会社法では、
「株主の権利の行使に関する利益供与の罪(970条)」という条文が新設されました。
ある企業法務の弁護士から聞いた話しでは、
これにより、株主権を行使して、個人や特定団体に利益を誘導するような行為があれば、
恐喝に至らない程度の不当要求行為でも立件することが可能になったそうです。
また「株付け」の有無は無関係で、「株主総会の場で・・・云々」というような言動があれば、
適用することは可能なので、どんどん弁護士に相談しましょうとも話していました。
これには刑事罰がついており、
三年以下の懲役、または300万円以下の罰金が課せられるそうです。
株主総会は、個人の恨みつらみを吐き出したり、
自分への利益誘導を図る発言の場ではないということです。