花と山を友として

何よりも山の花が好き、山の景色が好き、山で出逢う動物が好き、そして山に登る人が好き。
写真と紀行文で綴る山親父日記

那須・南月山のイワインチン・その6

2010年09月09日 | 登山

南月山の三角点の近くに、オヤマボクチが咲いていた。
昔、マッチの無い時代には、火打ち石という石を打ち合って火花を出し、このオヤマボクチ
の花後の綿毛と、葉裏の綿毛を集めて、その火花で綿毛に火を付けるのに用いたという。

オヤマ(御山)とは、昔茅葺きの屋根に使うカヤの材料を確保するために、カヤの生えている
草原を、御山とか葉場山とか呼んで村で大事にしていた。
そんな草原に良く咲くのが、このオヤマボクチやハバヤマボクチであった。
ボクチとは、火付けの材料に使うので「火口」と書き、花の名前を漢字で書くと「御山火口」となる。

尚、別名のヤマゴボウは、この草の根をゴボウのように味噌漬けにして食べる地域が
有ることに由来するらしいが、私は食べた事がない。
と言うか、茅葺きの屋根も無くなり、茅の草原も無くなり、オヤマボクチも減っている。
食べたらバチが当たるというものだ。


南月山から日の出平への尾根は、火山礫のゴロゴロする尾根で、一種荒涼たる面影がある
そんな一角に、こんな石造が立っている。
由来や名前も知らないが、一見すると姥神と言えそうな表情である。
何となく背筋がゾクッとするのだが、、、、、。

数年前には、近くに石で囲った小さい花壇のような物があり、コマクサが植えてあった。
元々自生しない花を持ち込むのは、盗掘と同じく自然破壊の行為なのだが、今回は
確認する事を忘れてしまった。


さて目的のイワインチンであるが、火山礫と草付きの境目に黄色い花が点々と咲いている。
大きな写真は、最初のページに載せてあるので、そちらをご覧下さい。


南月山で有名なのは、8月上旬から中旬にかけて、コキンレイカの大群落が見られる事だろう。
しかしこの時期になると、とうにピークは過ぎて、わずかな咲き残りが有るだけである。
この花は、一般的には「ハクサンオミナエシ」と呼ばれているが、私は花姿から別名の
コキンレイカの方が好きである。


ウラジロタデも花盛りである。
葉っぱの裏が白っぽいのでこの名が有る。
火山などの荒れ地に、真っ先に生えるので、パイオニア植物とも言われていると聞いた
ような気がする。ウーン誰かメモリを増設してくれ。(笑)


日の出平に続く稜線も霧に覆われ始め、茶臼岳の勇姿も見えない。


火山礫の中に、盛り上がるように群落を作っているのはウラジロタデである。


後ろを振り返ると、南月山にもガスがかかり始めていた。


日の出平に近くなると、火山礫の道からナナカマドやコヨウラクツツジの低木の樹林帯と
なり、展望は無いが傾斜も緩い歩きやすい道になる。


足下には、時々エゾリンドウがひっそりと咲いていたり。


まれにオヤマリンドウが咲いていたりする。


この時期に良く目にするのはこの花で、私はシオガマギクだと思っているのだが、トモエ
シオガマという人もいるので、同定しないでおこう。


午後1時56分、日の出平の分岐に到着、さっきまで見えなかった茶臼岳が見えている。


日の出平の分岐から見る茶臼岳。段々空の色が暗くなっている。


日の出平周辺案内図に書かれている説明文。


こちらはミネザクラの案内看板。


上の写真の説明文をトリミングで拡大して読めるようにした。


分岐にはベンチも有り、一休みするには丁度良い。
ザックを降ろして喉を潤した。

空の雲の色も、生暖かい風も、やがて雨が降り出す気配を見せている。
三脚はザックのサイドにくくりつけ、カメラにはレインカバーを掛けて首にかけた。
ザックにもカバーを掛けて、レインウェアーはいつでも取り出せる様に、ザックの一番上に
入れ直した。


ベンチでゆっくり休みたいところだが、雷雨を避ける為には仕方がない。
ミネザクラの多い日の出平の道を急ぎ足で歩き出した。
花友には、藪こぎの様な道だと聞いていたのだが、歩いてみると綺麗に笹刈りされて
歩きやすい道になっている。

日の出平に咲いていたヤマトリカブト。
一部は種に成りかかっている。
アキノキリンソウも咲いていたが、急ぐのでパス。


いい加減歩いたと思ったら、こんな案内が出ている。
えーっ まだ3.7Kmもあるのかよ、とっ遠いよー。
うんざりである。しかし今更引き返す事も出来ない


日の出平から沼原への道は、初めは南の白笹山にめがけて平坦な道を歩く。
平坦な道も終わり、尾根の先端に出たら北西に向きを変えて、トラバースするように
沼原方向に延びている尾根に向かう。


最初見えていたこの尾根を越したら下りかと思っていたら、もう一つ先があった。


この尾根の笹原の中にもエゾリンドウやオヤマリンドウが咲いていた。



やがて右に小さな池が見えて、立木に池の名前が表示されている。


ところが、その名前が読めないのだ。肝心の部分が木の葉に隠れて見えない。
皮肉な事に、下の「ゴミは持ち帰りましょう」だけが判る。

そこから先は、ジグザグの下りで、延々と樹林帯を下っていく。ハアッ、、、、。


それでも途中にはこんなツルリンドウも咲いていて、疲れた心をいやしてくれる。


ようやく日の出平の登山口に着いた時は正直ホッとした。
ここから600メートルほどで沼原分岐に出る。

沼原分岐から左に入ると1キロほどで駐車場に着く。


駐車場から沼原に行く道に出て登山は終わった。時間は午後の3時45分である。

駐車場に戻ったら、残っている車は4~5台であった。

私がガスバーナーでコーヒーを湧かし、静かな一時を楽しんでいたら、帰りかけた車が
再び戻ってきて、窓を開け「木道の工事はいつまでですか?」と聞いてきた。
車の中には奥さんと娘さんらしい家族が乗っていて、こちらをにこにこ見ている。

先ほど、駐車場の入り口で逢った中年のご夫婦に、木道に入れる日を説明していたのを
聞いていたのだろう。
「工事は12月中旬まで続きますが、工事の無い日曜日とか、平日の工事の始まる午前
8時30分前の早朝なら、開けて有るので入れますよ。」と説明した。
すると「日曜日は駐車場が混むでしょう」という。
「10時前に来れれば大丈夫だと思います。」と答えると「ありがとう!」と言って
帰って行った。

関係者でも無いのに、私もお節介な性分である。

沼原の駐車場から、県道に出たとたん、土砂降りの雨になった。

終わり。










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