花と山を友として

何よりも山の花が好き、山の景色が好き、山で出逢う動物が好き、そして山に登る人が好き。
写真と紀行文で綴る山親父日記

那須・南月山のイワインチン・その5

2010年09月08日 | 登山
白笹山(1719m)から南月山(1775.8m)への道は、深い笹原の中を一旦鞍部まで下り、再び
南月山へ登り返す。




那須の山の針葉樹は、厳しい環境を現すかのような樹形が多い。
那須の山で最も有名な気象は、身体を吹き飛ばす様な強風である。

私の見るところ、流石山から大倉山に続く稜線と、日の出平の長い尾根に挟まれた谷筋に
北西方向から吹き付けた風がよせ集まって風力を増し、姥ヶ平で茶臼岳に阻まれて、茶臼岳
の北と南に別れ、北は峰の茶屋と朝日の肩に吹き上げ、南は牛ヶ首に吹き上げているように
見える。


白笹山から笹原の道を下っていくと、左前方に日の出平と南月山を結ぶ稜線の上に、霧に
隠れるように茶臼岳の頭が見えた。
午前中はうるさく鳴いていたセミも、不思議な程しずかになった。


白笹山と南月山の間で、ツルリンドウの白い花を見つけた。
アルビノと呼ばれる色素の抜けたものかどうかは判らない。
付近に色の薄いツルリンドウが沢山有ったからである。
それはともかく、ツルリンドウの白花を見たのは初めてであった。


近くには、赤い実をつけたツルリンドウも有った。
南月山は、昔から花の山として有名だったらしいが、私の見るところ、日の出平、南月山
白笹山などの、那須連山の西の地域は、ツルリンドウの宝庫と言っても良い。


雷雨が来る前に、早く下山しなければと思いながらも、ゴゼンタチバナの真っ赤な実が
目につくと、思わず撮影してしまうのは、花好きのサガである。


丁度目の高さの土手の上に、タケシマランの赤い実も見えた。
もうピークを過ぎたと見えて、いくつかの実は落ちて花柄だけが下がっている。


たぶんウラジロモミだとおもうが、登山道を塞ぐ形で横たわっている。
まるで生きたベンチの様で、腰掛けるのには丁度良い高さであった。


ムシカリの実も赤く色づいている。
同じガマズミ属なので、ガマズミとの見分け方が判らなかったが、最近、実が赤くなる頃
花序の柄の部分が、実と同じように赤く色づく事が判った。
もっとも、そんな事はすぐ忘れてしまい、毎年花友に聞いて呆れられているのだ。
人間の頭も、コンピュータのように、メモリが増設出来れば良いのだが。


午後1時過ぎ、南月山の頂きについた。
本来は薄いブルーなのに、汗で濡れて濃いブルーに変わったシャツが、気温の高さを証明
している。
南月山の名称は、那須岳は古い信仰の山で、出羽三山との関連も有るのか、茶臼岳は
別名「月山」と呼ばれ、それより南に有るので「南月山」と呼ばれるようになったという。

南月山の頂きには、南月山神社の古い石祠と神社名を刻んだ石碑が建っている。
少し南東側に二等三角点がある。
面白いのは、南月山から日の出平にかけて、本来は高山帯に生育するハイマツが有ることで
高山に属する日光白根山にはハイマツが無い。
1700m級の亜高山に何故ハイマツがあるのか、考えると面白い。
那須でも特に有名なのは、三本槍岳のハイマツ帯であろう。


記念撮影していたら、蝶が飛んできて地面にとまった。
どうも「キベリタテハ」とか言うタテハ蝶の仲間らしい。


山頂には、アズマシャクナゲの解説盤が立っていて、南月山から黒尾谷岳にかけて
アズマシャクナゲの群生地があると書かれている。

それにしても、登山者を一人も見ていないし、誰も上がってこない。
これほど静かな南月山も初めてであった。
妙に生暖かい風が吹き、霧が廻りの山を覆い始めていた。
つづく。

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