歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

工場で働くアジアの女性(その3)

2007-04-05 23:58:35 | 海外ものづくり事情
 ASEANの中心メンバーであるタイ、マレーシア、インドネシアの3国は、それぞれかなり状況が異なります。タイは仏教国で「なんでもあり」の自由な国、マレーシアはムスリムのマレー人6割、中国人3割、インド人1割の多民族国家(ただし何かとマレー人は優遇される)で開発独裁の性格が濃厚な国、そしてインドネシアは世界最大のムスリムの人口を抱えるイスラム大国です。
 さて、インドネシアはイスラム大国であるとはいえ、酒は堂々と販売されていますし、ほんとにムスリムなの?と聞きたくなるような場面も多く見られるのですが、街中にはベールを被った女性の姿が目立ち、やっぱりイスラムの国に来たのだなあと思います。
 ものづくりの現場も同様で、ベールを被りながら作業を行う女性従業員は少なくありません。写真は日系のプレスメーカーでの1コマです。
 また、今回インドネシアで訪問したほとんどの日系企業には工場敷地内にモスクがありました。礼拝の時間になるとほとんどの従業員が工場からいなくなります。イスラム教の聖なる曜日である金曜日になると、礼拝の時間は通常よりも長くなるので、生産性に影響が出る、と日本人の経営者はこぼしていました。
 しかしもっと問題なのが「断食月」(ラマダン)です。この期間、ムスリムは日中の飲食を絶ちます(水を口にすることも許されません)。そうなると彼らは昼間ふらふらになっているので、生産性向上どころではないそうです。単純な組立加工であればまだましで、鋳物工場は大変なことになります。水も飲まずに灼熱の鋳物工場で働くというのは我々の想像を絶します。それでも敬虔なムスリムは頑張るそうですが、生産性がどうなるかは明白でしょう。
 とにかくアッラーは大変な試練をムスリムたちにお与えになったものです。