クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

なぜ片想いな“ネコ”が信仰されるのか? ―養蚕信仰と文書館―

2012年01月15日 | ふるさと歴史探訪の部屋
ネコを飼ったことは1度もない。
だから、ネコを飼うことはある種の憧れだったりする。

ネコには逃げられる性質だ。
いつも片想いである。
前の職場ではネコが多くて、
のんびり歩いている姿を見ていると、
ついほのぼのした気持ちになったものである。

ところで、養蚕に携わる人々にとって、ネコはありがたい生き物だった。
蚕をネズミから守ってくれるからである。

養蚕信仰では、ネコを神聖化し、
“猫石”なるものを配布する神社もあった。
この猫石を蚕のそばに置くと、ネズミを除けるとされたのである。

ネコの絵が描かれた札を配るところもある。
猫石と同様にネズミ除けに霊験を発揮するもの。
ネコは、海上の人々や山中の狩人などに忌まれ、
時として化猫として恐れられる一面があるが、
それもまた神聖視の裏返しなのだろう。

埼玉県内では、同じようにネコの霊験にあやかって生まれたキャラクターがいる。
文書館のマスコットキャラ“もんじろう”である。
文書館は言うまでもなく、古文書から行政文書まで、
多くの文書資料を収集し、保管している公共施設。
埼玉県の文書館は、浦和の県庁のすぐ隣に位置している。

文書にとって、囓ったり、おしっこをかけたりするネズミは、
大きな敵である。
歴史や地域、そこに生きた人々などを語る大切な文書をネズミから守るべく、
ネコの“もんじろう”が誕生した。

着ぐるみは作られていないが、
ひこにゃんと同様にネコ科に属するキャラである。
文書と筆を持ち、首には鈴。
もんじろうの霊験もあって、文書は大切に守られているようだ。

ネコと一緒に暮らす生活は、どんないいことがあるのだろう。
ちなみに、ぼくはネコアレルギーらしい。
ネコに触るとくしゃみが止まらなくなる。
どこまでも片想いなのである。


埼玉県立文書館(埼玉県さいたま市)
最初の写真は“もんじろう”


最新の画像もっと見る

コメントを投稿