クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

旧吹上町に“館”があった? ―津戸氏―

2019年01月17日 | 城・館の部屋
旧吹上町(現埼玉県鴻巣市)にかつて存在した小谷城。
戦国時代に忍城の支城として機能していたと目される城だが、
これよりも前の時代に、この辺りを治めていた人物の住まいがあった。

それは“津戸氏”の館跡。
(時代から言って、城ではなく館だろう)
旧吹上町の下忍に「津戸」の小字があり、
そこに「津戸三郎が住みせし所」と『新編武蔵風土記稿』は伝えている。

しかし、遺構はない。
そもそもどこがその跡地なのか、足を運んでもよくわからない。

津戸氏は鎌倉幕府に仕えた奉公人で、
「正能氏系図」によると、菅原氏から出たという。
近隣の忍氏や広田氏も同じ菅原氏を出自としており、
彼らは「武州忍保」に属していたらしい。
忍氏は現在の行田市、広田氏は旧川里町に館を構えていたと思われる。

津戸氏館跡は小谷城よりも謎が多いと言える。
江戸後期成立の地誌『新編武蔵風土記稿』は、
津戸氏は下忍に住んでいたという伝承を伝えているものの、
実際は東京都国立市なのでは? という書き方をしている。

とはいえ、菅原氏を出自とする「正能氏系図」に見える津戸氏・忍氏・広田氏のお三方。
いずれも近くに館を構えていたとおぼしきところから、
下忍説を否定してしまうには、
史実の一端を見落とす恐れがあるかもしれない。

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