公募増資で最大600億円調達 3436 ＳＵＭＣＯ、財務体質を強化

〔15.3.4.日経新聞：企業３面〕


　半導体シリコンウエハー大手のＳＵＭＣＯは３日、公募増資で最大600億円を調達すると発表した。2012年に経営再建の一環として住友金属工業（現・新日鉄住金）などに引き受けてもらった優先株を買い取り、財務体質を強化する。増産投資などにも充て収益改善を目指す。

　公募増資の具体的な金額や時期は株価動向などを勘案して決める。優先株を買い取るため３月の株主総会で資本準備金をその他資本剰余金に振り替える案などの承認を得る。調達資金のうち300億円と手元資金で新日鉄住金、三菱マテリアルなどが持つ優先株540億円を買い取る。ＳＵＭＣＯは12年１月期まで３期連続の最終赤字を計上。12年に配当の高い優先株を割り当てていた。

　買い取りは２段階で実施する。まず５月11日に手元資金を使い180億円分の優先株を取得。残りは公募増資をへて買い取る。取得した株式は消却する。配当負担の大きい優先株を普通株に置き換えることで財務の安定化につなげる。

　残りの最大300億円については設備投資などに使う。スマートフォン向けを中心に半導体市場は拡大しており、半導体シリコンウエハーの生産設備などを強化する。

　同日、新日鉄住金、三菱マテリアルが保有するＳＵＭＣＯ株式を売り出すと発表した。両社は発行済み株式の約28％を保有する。持ち分法適用の関連会社を維持する範囲で売却する。時期などは未定という。