日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

米企業収益、原油安が影 10~12月純利益4%増どまり エネ・素材関連の減益響く

2015年01月12日 | 外資:米国・カナダ
〔15.1.12.日経新聞:国際面〕
 

 【ニューヨーク=山下晃】急ピッチで進む原油安が米企業の収益に影を落としている。12日から発表が本格化する主要企業の2014年10~12月期決算で、全体の純利益は前年同期比約4%増にとどまったもようだ。増益率は10%だった7~9月期の半分以下になる。エネルギーや素材関連の企業が減益に転じることが響く。利益の伸び悩みは主要国のなかで相対的に堅調な米株相場の足かせとなる可能性がある。

 米主要500社の6日時点での利益予想を、米調査会社トムソン・ロイターが集計した。

 10~12月期に利益の伸びが鈍化する主因は、エネルギー関連企業の失速。原油先物の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート、期近物)は昨年7月ごろまで1バレル100ドル台を中心に推移していたが、足元では50ドルを割り込む水準まで下落した。

増益予想が一転
 エネルギー企業は昨年7月時点で10%の増益が見込まれていたが、原油安が加速した結果、足元では2割弱の減益予想となっている。7~9月期には増益だった石油大手のエクソンモービルとシェブロンは、10~12月期にはそろって2割強の減益に転じるとの見方が市場では多い。

 原油安につれて商品相場が下落しているため、素材産業の業績も低迷が避けられない。昨年7月時点で10%増益が予想されていたが、足元では2%の減益が見込まれている。原油安が新興国での資源開発に逆風になるとの見方から、設備投資関連の企業の事業環境も厳しさを増し、収益に下押し圧力がかかっている。

 米建機大手キャタピラーは資源安に伴う建機需要の鈍化懸念からアナリストが相次いで投資判断を引き下げた。米鉄鋼大手USスチールは石油ガスの掘削用鋼管を製造している工場の操業を一部停止し、従業員を約750人解雇することを決めている。

 景気変動の影響を受けにくいヘルスケアや通信関連に加え、原油安がコスト低減になる電力・ガスなど公益企業は10~12月期に2桁の増益が見込まれる。ただ米国のエネルギーや素材、設備投資関連企業の利益規模は日本など他の先進国と比べ大きく、株式時価総額が米市場全体の約2割に達する。そのため原油安は米企業全体の利益の伸び悩みにつながりやすい。

 米企業収益の拡大は株式相場の下支え役だ。ダウ工業株30種平均は米企業業績が堅調に推移することを織り込む形で過去最高値圏で推移している。欧州景気への不安に原油安の長期化が重なるようだと、米企業の業績への不安が強まり、高値圏にある米株には利益を確定させる売りが出やすくなる可能性がある。

消費拡大に期待
 ただ、原油安はガソリン価格の下落につながるため、車社会の米国では今後、個人消費を刺激する効果が高まることも見込まれる。米大手運用会社ヌビーン・アセット・マネジメントのボブ・ドール氏は「(エネルギー関連の)設備投資減を考慮しても、消費の拡大で原油安は米経済にプラス」と指摘する。

 ガソリン安を追い風に、昨年12月の米新車販売は前年同月比で2桁増えた。トムソン・ロイターによれば自動車を含む一般消費財企業の増益率は、10~12月期の7.9%から15年1~3月期には14.6%へと加速する予想になっている。エネルギー企業の減益率は1~3月期に一段と拡大するが、消費関連企業の増益率拡大もあって主要企業全体の増益率は1~3月に5.1%へと小幅ながら拡大する見通しだ。 

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