日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

4502 武田、漢方主要原料を日本で量産 安定調達へ品種改良

2015年01月12日 | 8.医薬品
〔15.1.12.日経新聞:企業面〕

左:武田が開発した国産カンゾウ「都甘草」

 武田薬品工業は漢方薬の主要原料であるカンゾウを日本で初めて量産する。5年以内に国産カンゾウを使った一般用医薬品(大衆薬)を発売する。現在国内の医薬品メーカーは中国からの輸入品を使っているが、現地の需要増で価格が高騰し安定調達に不安がある。武田は品種改良を重ねて量産化で先行した。高齢化で成長が期待できる漢方薬市場で攻勢をかける。

 武田は開発したカンゾウを「都甘草(みやこかんぞう)」と名付け、このほど種苗登録を完了した。製品化に必要な量の収穫にもめどがついた。炎症などを抑える有効成分も厚生労働省の効能基準を満たした。一株あたりの収穫量も国内の従来種より多く生産効率が高い。これまでは国内の原料メーカーから中国産を買い付けていた。

 自社施設の「京都薬用植物園」(京都市)で1996年から国内の従来種をベースにカンゾウの品種改良の研究を始めた。2012年から量産にむけて北海道で作付面積を広げてきた。

 武田は「タケダ漢方便秘薬」など大衆薬の漢方薬を販売している。便秘薬の主要成分の一つである生薬のダイオウは1972年から国産化している。カンゾウも便秘薬の主要成分となる。武田は収穫量を増やして便秘薬などを国内で安定生産できるようにする。

 日本漢方生薬製剤協会(東京・中央)によると医療用も含めた漢方薬の国内市場(生産額ベース)は12年で約1410億円と08年と比べて約2割増。副作用が少なく、高齢化が進む中で今後も成長が期待できる。

 武田は医療用医薬品事業が主力薬の特許切れで伸び悩むなか大衆薬は国内事業の柱の一つ。大衆薬などを販売するヘルスケア部門の13年度の売上高は前年度比9%増の729億円。09年度実績と比べても25%伸びた。

 ビタミン剤「アリナミン」とともに需要が伸びている漢方薬でもシェア拡大を狙う。ただ中国でも経済成長でカンゾウを使った医薬品や化粧品の需要が伸びている。日本漢方生薬製剤協会によると日本への輸入価格指数は06年から13年の間で2倍近くに高騰した。

 武田の杉本雅史ヘルスケアカンパニープレジデントは「中国から輸入できなくなっても製品を供給できるよう国内の作付け面積を広げていきたい」と強調する。

 武田以外にも東京生薬協会(東京・千代田)や新日本製薬などが国内でカンゾウ栽培を進めている。医療用漢方薬で国内首位のツムラは中国で自社栽培し日本に輸入している。

カンゾウとは
 漢方薬の原料となる生薬の一種。漢方薬の7割に含まれ食品や化粧品などにも使われる。国内で使われるカンゾウは年間約2千トンとみられる。

 中国北部などに自生しており、国際条約で中国産カンゾウの種を輸入できない。国内の従来種では厚生労働省の基準に必要な有効成分の濃度を安定させた上で大量栽培するのが難しく、ほぼ全量を輸入に頼らざるを得なかった。 

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