日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

(生乳取引、入札導入を決定) 価格決定 不透明さ残る 農協の影響力色濃く

2015年10月17日 | 1.水産・農林業
(日経10/17:マーケット商品面)
 農林水産省と乳業団体Jミルクは16日、生乳取引の改革案を正式発表した。不足するバターの原料に入札制度を導入する。実際に入札にかけられる生乳は、乳製品向けのうち数%にとどまるとみられる。取引の大部分は乳業会社と大手農協が決める年1回の固定価格が存続するため、価格決定の不透明さは残ったままだ。

  
酪農家や消費者にとって、入札で価格決定が透明になることが重要(熊本県)

 2016年4月から、ホクレン農業協同組合連合会(北海道)など「指定団体」と呼ばれる大手農協が入札を始める。これまで乳業大手と農協が決めてきた取引価格は生産している酪農家にとって決定過程が分かりにくかった。年間の固定価格のため、乳製品の小売価格が上がっても手取りも増えづらかった。

 対象はバターや生クリームなど加工品に使う生乳のみで、牛乳向けは一部の高額商品だけとなる。買い手は乳業会社だが、どれほどの量を入札にかけるかは農協との話し合いに任せられている。農水省は「政府から入札量の指導はしない」という。

 農協は「最低落札価格」を決められる。意に沿わない安値の落札を排除できる。しばらくは「買い入れ数量の上限」も設定できる。

 同日の記者会見でJミルクの前田浩史専務理事は「従来は(価格が)硬直するデメリットがあり、酪農家や消費者の理解を得るためマーケットの情報をとり入れる」と話した。一方、「白熱した議論をまとめるのは大変苦労した」ともいう。

 7月からの検討会はバター不足を気にする自民党の要請で始めた。一方、会議の委員となったのは明治やよつ葉乳業など大手乳業とホクレンや全農などで、従来の制度を変えたくないという意見が多かった。

 前田氏は「牛は生き物なのでマーケットの要求どおりには生乳を出せないし、マーケットの需要は夏と冬で変動する」と市場原理をとり入れる難しさを語った。苦肉の策として「2年間の試行」という条件をつけ、農協の価格影響力を残す格好で入札を導入した。

 ある九州の酪農家は「生乳の流通は農協系の団体がいくつもからんで手数料も多い。市場だったらいくらの評価額になるのか透明性がほしい」と話す。

 農協に属さない「アウトサイダー」を集めた乳業会社MMJ(群馬県伊勢崎市)は08年から入札を始めており、全国で同社の取引に加わる酪農家が増えている。

 環太平洋経済連携協定(TPP)ではバターも一定量まで安く輸入できる。改革が求められている国内酪農だが、離農が続いて生乳生産量がピークの1996年と比べて15%減少した。酪農家から納得のいく価格形成を求める声は少なくない。

▼生乳の取引
 酪農家が牛から乳をしぼり、地域の農協が収集する。さらに都道府県の団体を通して大手農協が集め、取引価格は乳業会社と年1回の固定価格を決めてきた。昔は酪農家が生乳の全量を農協に渡さないといけなかったが、農協を離れる若手が増えて規制緩和が進むようになった。


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