日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

7203 トヨタ、値下げ要請を再び見送り 車部品会社に来年度上期 賃上げへ追い風

2015年01月31日 | 17.輸送用機器
〔15.1.31.日経新聞:総合1面〕
 
3次仕入れ先まで含めば取引のある部品会社は数万社(トヨタのカローラHV生産ライン、宮城県大衡村)

 トヨタ自動車は取引先から購入する部品について、年2回実施していた値下げ要請を2015年度上期(4~9月)も見送る方針を固めた。見送りは2期連続となり、取引先は利益の増加につながる。今春の労使交渉では大企業と中小企業の格差是正が課題の一つとなっている。トヨタは収益還元の姿勢を鮮明に打ち出し、数万社に及ぶ取引先の賃上げを後押しする。

 トヨタは約450社の1次取引先に対し、半年ごとに量産中の車の部品について購入価格の改定を求めてきた。改定額は会社によって異なり、原価の低減を進めるために近年は平均で1~1.5%程度の値下げを要請している。

 14年度下期(14年10月~15年3月)の取引分については円安による輸出採算改善で業績が上向いてきたこともあり、14年10月末に初めて改定見送りを決めた。15年度上期分は3月上旬にも取引先に伝えるもようだ。

 2期連続で価格を据え置く背景には円安で材料価格が高騰し、中小企業の利益が圧迫されていることがある。トヨタには為替による材料価格の変動を自社で負担する仕組みがあるものの、取引先との業績格差は縮まっていない。取引先の経営を中長期で支えるためには現時点での値下げ要請は非合理的とみている。

 政府がデフレからの脱却を進めるなか、大企業のもうけが中小企業にまで及んでいないとの批判もくすぶっている。トヨタの15年3月期の連結営業利益は2兆7千億円前後に達し、過去最高を更新する見通し。利益を取引先に還元する。

 トヨタは30日、部品価格の改定見送りについての考えを官邸に伝えた。同日の経済財政諮問会議後に記者会見した甘利明経済財政・再生相は「好循環を大企業から中小企業に展開しつつある。大企業は範を示していただいたのだと思う」と述べ評価する姿勢を見せた。

 トヨタと同様に1次以降の取引先が2次、3次と価格を据え置いていけば、全国数万社の規模で利益が上積みされることになる。トヨタの1次取引先でもあるデンソーは14年度下期にその下に位置する約400社に対する価格改定を見送った。同様の流れが広がれば、幅広い企業で賃上げ余地が生まれる。

 日本商工会議所が14年末に全国3156社を対象に実施した調査によると、15年度に「賃上げを予定している」と答えた企業は33.5%。14年度調査に比べて6.4ポイント低下した。トヨタの取り組みがほかの自動車メーカーや部品メーカーなどにも広がれば、中小企業の賃上げ意欲を後押しする可能性がある。

 価格は据え置く一方、取引先と一体となった原価低減の努力は続ける。作業の無駄の洗い出しやより安い材料の開発に向けて、トヨタの担当者がアドバイザーとして取引先の現場に入り、工場の「カイゼン」を進めるなどして競争力を維持していく。

 トヨタは雇用や裾野の関連産業を支える最低水準として「国内で年間300万台生産」を掲げている。少子化で国内市場が低迷するなか、いまでは半分の約150万台を輸出に頼っている。グローバルで勝てる原価水準をサプライチェーン全体で保ち続けられるかは今後の課題だ。

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