(日経10/01:総合1面)
政府は民間資金を使って、医療や介護費用の削減につなげる仕組みを整備する。地方自治体などと契約する財団法人などが投資家から資金を募り、介護施設などに提供する。認知症や糖尿病の予防に向けた取り組みで医療費などが減れば投資家に配当などで還元する仕組みで、膨らみ続ける社会保障費の圧縮につなげたい考えだ。
経済産業省、厚生労働省など関係省庁とみずほ銀行など民間企業が10月に検討会を開き、詳細を詰める。今年度末にも資金を募る際の留意点などを示す指針を決め、来年度以降に仕組みを運用するために必要な制度改正をする。
医療・福祉などの公的サービス分野の費用削減を目的に欧米で広がる「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」と呼ばれる資金調達の仕組みを活用する。財団法人などが投資家から出資を募るなどして資金を集め、病気や介護の予防に効果がある事業に投じる。事業によって医療費や介護費を削減できれば、投資家に配当などで利益を還元する。
経産省はSIBを通じた資金調達額は1つの自治体当たりで数億円から数十億円を想定している。自治体と財団法人は資金調達前に、医療や介護費用などの削減目標を決める。その後、民間から集めた資金を介護施設などに提供し、認知症や糖尿病などの予防事業を実施してもらう。
目標に達しない場合は還元しない場合もある。事業がどれだけ削減に寄与したかは大学などの第三者機関に算定してもらい、透明性を確保する。
現在はSIBの本格導入に向け、公文教育研究会(大阪市)が、認知症予防の実証事業を進めている。読み書きや計算など学習教材を使って予防につなげる取り組みで、将来は日本財団が民間から資金を調達して支援する仕組みを想定している。
国の医療・介護費は年間約50兆円に膨らみ、抑制が急務になっている。自治体なども介護予防などで高齢者の医療費や介護費を抑える事業に取り組んでいるが、予算は限られている。政府は民間資金を活用する仕組みを整えることで、病気や介護の予防分野に多くのお金を回したい考えだ。
▼ソーシャル・インパクト・ボンド
投資家から調達する資金を使い、行政機関などから委託を受けた民間事業者が公的サービスを実施し、成果に応じて投資家に利益を還元する仕組み。行政支出の削減につなげる狙いがある。2010年に英国で受刑者の再犯防止プログラムを対象として始まり、米国などに広まった。名称にはボンド(債券)という言葉が含まれるが、実際に債券を発行したケースはこれまでのところないとみられる。
政府は民間資金を使って、医療や介護費用の削減につなげる仕組みを整備する。地方自治体などと契約する財団法人などが投資家から資金を募り、介護施設などに提供する。認知症や糖尿病の予防に向けた取り組みで医療費などが減れば投資家に配当などで還元する仕組みで、膨らみ続ける社会保障費の圧縮につなげたい考えだ。
経済産業省、厚生労働省など関係省庁とみずほ銀行など民間企業が10月に検討会を開き、詳細を詰める。今年度末にも資金を募る際の留意点などを示す指針を決め、来年度以降に仕組みを運用するために必要な制度改正をする。
医療・福祉などの公的サービス分野の費用削減を目的に欧米で広がる「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」と呼ばれる資金調達の仕組みを活用する。財団法人などが投資家から出資を募るなどして資金を集め、病気や介護の予防に効果がある事業に投じる。事業によって医療費や介護費を削減できれば、投資家に配当などで利益を還元する。
経産省はSIBを通じた資金調達額は1つの自治体当たりで数億円から数十億円を想定している。自治体と財団法人は資金調達前に、医療や介護費用などの削減目標を決める。その後、民間から集めた資金を介護施設などに提供し、認知症や糖尿病などの予防事業を実施してもらう。
目標に達しない場合は還元しない場合もある。事業がどれだけ削減に寄与したかは大学などの第三者機関に算定してもらい、透明性を確保する。
現在はSIBの本格導入に向け、公文教育研究会(大阪市)が、認知症予防の実証事業を進めている。読み書きや計算など学習教材を使って予防につなげる取り組みで、将来は日本財団が民間から資金を調達して支援する仕組みを想定している。
国の医療・介護費は年間約50兆円に膨らみ、抑制が急務になっている。自治体なども介護予防などで高齢者の医療費や介護費を抑える事業に取り組んでいるが、予算は限られている。政府は民間資金を活用する仕組みを整えることで、病気や介護の予防分野に多くのお金を回したい考えだ。
▼ソーシャル・インパクト・ボンド
投資家から調達する資金を使い、行政機関などから委託を受けた民間事業者が公的サービスを実施し、成果に応じて投資家に利益を還元する仕組み。行政支出の削減につなげる狙いがある。2010年に英国で受刑者の再犯防止プログラムを対象として始まり、米国などに広まった。名称にはボンド(債券)という言葉が含まれるが、実際に債券を発行したケースはこれまでのところないとみられる。