〔14.12.31.日経新聞:国際国際1面〕
【北京=山田周平】中国政府は2015年1月1日、改正環境保護法を施行する。環境規制に違反した工場にその場で閉鎖命令を出すなどの法執行の権限を環境保護当局に持たせ、違反企業への罰金の上限も撤廃する。罰則を強化し、微小粒子状物質「PM2.5」による大気汚染などを封じ込める狙い。もともと環境対策に強い日本企業の中国事業には追い風となりそうだ。
環境保護法は中国の環境関連の法体系の最上位に位置し、日本の環境基本法に相当する。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が14年4月、25年ぶりの改正を決め、来年1月1日付の施行を決めていた。
改正の柱は3つある。1つは環境当局に法執行の権限を持たせることだ。従来は地方政府の環境当局が汚染物質を違法に出している工場を見つけても、現場の差し押さえなどは公安当局に頼まざるを得ず、証拠を隠滅する余裕を与えていた。
2つ目は罰則の強化だ。企業への罰金は違反日数に応じて計算する方式に変わり、総額の上限が事実上無くなる。
もう一つは環境破壊の被害を直接受けていない第三者が裁判を起こせる「公益訴訟」制度を明記したことだ。非政府組織(NGO)など300団体以上が環境訴訟を起こす資格を持つ見通し。
改正法の施行は中国で事業展開する企業にとってコストの上昇要因となる。ただし、「中国進出している日本企業のほとんどは当局が求める環境基準を達成済み」(環境コンサルティング会社、日本テピアの廬蕩・駐北京代表)とみられる。
このため改正法施行はコスト競争上、日本企業に有利に働きそうだ。日本の環境機器の需要も伸びる見込み。
【北京=山田周平】中国政府は2015年1月1日、改正環境保護法を施行する。環境規制に違反した工場にその場で閉鎖命令を出すなどの法執行の権限を環境保護当局に持たせ、違反企業への罰金の上限も撤廃する。罰則を強化し、微小粒子状物質「PM2.5」による大気汚染などを封じ込める狙い。もともと環境対策に強い日本企業の中国事業には追い風となりそうだ。
環境保護法は中国の環境関連の法体系の最上位に位置し、日本の環境基本法に相当する。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が14年4月、25年ぶりの改正を決め、来年1月1日付の施行を決めていた。
改正の柱は3つある。1つは環境当局に法執行の権限を持たせることだ。従来は地方政府の環境当局が汚染物質を違法に出している工場を見つけても、現場の差し押さえなどは公安当局に頼まざるを得ず、証拠を隠滅する余裕を与えていた。
2つ目は罰則の強化だ。企業への罰金は違反日数に応じて計算する方式に変わり、総額の上限が事実上無くなる。
もう一つは環境破壊の被害を直接受けていない第三者が裁判を起こせる「公益訴訟」制度を明記したことだ。非政府組織(NGO)など300団体以上が環境訴訟を起こす資格を持つ見通し。
改正法の施行は中国で事業展開する企業にとってコストの上昇要因となる。ただし、「中国進出している日本企業のほとんどは当局が求める環境基準を達成済み」(環境コンサルティング会社、日本テピアの廬蕩・駐北京代表)とみられる。
このため改正法施行はコスト競争上、日本企業に有利に働きそうだ。日本の環境機器の需要も伸びる見込み。