日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

米長期金利、低下止まらず 日欧から資金流入 10年国債、2%割れ定着 利上げ観測、急変リスク

2015年01月19日 | 米国
〔15.1.19.日経新聞:国際面〕
 

 【ニューヨーク=山下晃】米長期金利の低下(債券相場の上昇)が止まらない。指標の10年物国債利回りは節目の2%割れが定着し、30年債利回りは過去最低を更新した。主要市場の日本、ドイツで長期金利がゼロ%台に低下し、運用難の投資家が比較的利回りの高い米国債を購入しているためだ。ただ米連邦準備理事会(FRB)が年内に利上げに動くと読む米投資家は先物に売りを出しており、先行き相場が急変する可能性をはらむ。

 16日の米市場では10年債利回りが一時1.69%まで低下し、年初から0.4%以上低い水準に沈む場面があった。原油安が物価上昇圧力を抑えるとの観測が債券相場への追い風となっているほか、需給面で「日本や欧州の保険・年金の資金が流れ込んでいる」(米債券トレーダー)という。

 欧州では欧州中央銀行(ECB)が22日の理事会で量的緩和に踏み切るとの観測が浮上しており、ドイツの10年物国債の利回りは約0.4%と過去最低水準だ。日銀が積極的な緩和策を実行している日本の長期金利も0.2%台だ。日欧の投資家にとって米国債は魅力的な投資対象となる。

 ただ米国債利回りも、歴史的にみれば非常に低い水準にある。米経済が堅調なため、米国では長期金利が今後上昇基調になると予想する声が多い。エコノミストらの間では、10年債利回りが年末におよそ3%前後になるとの見方がある。

 米金利の上昇(相場の下落)を見込む米投資家は、米国債の売り持ち高を膨らませている。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋の米10年物国債先物の売り越し幅は20万枚前後(1枚は額面で10万ドル)と金融危機以降での最高水準近くまで積み上がっている。

 こうした投資家の予想通り米債券相場が下落に転じれば、売った先物を安値で買い戻すことで利益を確保できる。ところが日欧の投資家が米国債買いを加速させると、相場上昇が続いて売った先物を高値で買い戻さざるをえなくなる可能性がある。その場合、「債券相場の上昇圧力が強まり、米長期金利は1.5%を割り込む局面もある」(米国債トレーダー)との見方もある。

 肝心の米経済の成長が、思ったほど強くないとの予想も一部で出ている。米大手ヘッジファンド、ダブルライン・キャピタルの創業者ジェフリー・ガンドラック氏は、原油安がエネルギー業界の設備投資や雇用を削ると指摘。景気鈍化で「(15年は)年間を通じて米長期金利が低下基調になる可能性がある」と話す。

 16日に発表された米消費者物価指数(CPI)で、食料品やエネルギーを除いた「コア指数」は横ばいにとどまり、市場予想より弱い結果となった。雇用回復と並んで物価の上昇を重視するFRBは、利上げの時期を先送りするのではないか――。金融市場ではそんな指摘も浮上している。

 歴史的な低金利が長期化し、日独では一部年限のマイナス金利が常態化している。市場では「リターン以上のリスクをとるなど、デメリットも目立つ」(米年金大手のクリストファー・アイルマン最高投資責任者=CIO)といった声も聞かれ始めた。需給のゆがみで米長期金利が一段と低下した場合、バブルの芽が育つリスクが高まりかねない。 

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