日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

アルジェリア市場を有望視 脱・石油偏重で外資誘致へ、ルノーが工場/中国は輸出増、日本企業も拠点

2015年03月10日 | アフリカ
〔15.3.10.日経新聞:グローバルBiz面〕
  
アルジェ港近くには中国製の新車がずらりと並ぶ

 世界企業がアフリカ大陸最大の面積を誇るアルジェリアへ進出する姿勢を強めている。同国政府が石油・天然ガスに依存する経済を転換し、製造業や農業など多様化を進め、外資誘致にかじを切りつつある動きに呼応。仏ルノーはアルジェリア初の工場を建設し、他の欧米や中国勢に加え、日本企業の進出も相次ぐ。長らく社会主義色の強い経済政策が採られ規制も多く、テロの懸念もよぎる難市場に各社は挑む。

 アルジェ港からほど近い幹線道路沿い。輸入された新車数百台が整然と並ぶ。メーカーは欧州勢でも日本勢でもない。中国の第一汽車集団だ。建設ラッシュに沸く首都アルジェで至るところにある建設機械には中国語の文字が躍る。アルジェリアではこのところ中国の存在感がぐんと増している。

 中国は旧宗主国のフランスを抜き、2013年からアルジェリアの輸入先のトップになった。建設関連が大半を占めてきたが最近は多様化。第一汽車は現地企業と工場建設の計画を進め、華為技術(ファーウェイ)も通信設備関連で進出した。

 旧宗主国フランスの企業の影響も依然強い。「アルジェリアでの存在感を一段と高めたい」。ルノーのカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)は昨年11月、北西部オラン郊外の工場開所式で期待を示した。アルジェリア初の自動車工場で、年間生産台数は当初の2万5千台から将来7万5千台に引き上げる。南アフリカに次ぐアフリカ2位の自動車市場でのシェア拡大を狙う。

 国内総生産(GDP)でアフリカ4位のアルジェリアは、輸出の9割以上を化石燃料が占め、食料品・消費財の多くが輸入頼み。化石燃料のおかげで教育費や医療費は無料だが若年失業率は2割を超える。こんないびつな経済構造を是正する機運が高まっている。

 「アルジェリアは危機にある」。1月、セラル首相はこう述べて鉄道やトラム(路面電車)の建設計画を凍結した。理由は原油安だ。原油価格急落で歳入が大幅に減る事態となった。一方でこのほど15~19年の5カ年計画を決定、製造業や農業、観光などの分野を強化し、経済を多様化する方針を打ち出した。



 これまでも経済の多様化を掲げてきたが、「化石燃料による豊富な歳入が見込め、改革は進まなかった」(日本企業関係者)。だが原油安で政府の姿勢は変わりつつある。経済団体のアルジェリア経営者フォーラムのケラール理事は「改革を前に進める絶好のチャンスだ」と訴える。

 エネルギー関連以外の分野では参入が進んでいなかった外資の誘致も積極化。改革の旗振り役であるベンユネス商務相は「優遇税制なども検討している」と明かす。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、アルジェリアへの直接投資は13年に約17億ドルでこのところやや低下している。世界貿易機関(WTO)への加盟や欧州連合(EU)との自由貿易圏の構築も急ぐ。

 とはいえ市場開放は簡単には進みそうにない。外資の進出には現地企業との合弁が義務付けられ出資は49%まで。外国送金は制限され、規制は多い。賄賂要求など汚職も残る。カリスマ性のある高齢のブーテフリカ大統領の後継が見当たらないのも不安材料だ。

 日本企業も徐々に参入している。武田薬品工業や横河電機はこのほど事務所を設置。富士フイルムは乳がん検査関連の医療機器の売り込みを狙う。日本政府も金融市場の整備や太陽光発電事業を支援する。藤原聖也駐アルジェリア大使は「アルジェリア市場の将来性は大きい」と話す。

 かつてエネルギー・エンジニアリングの分野では、日揮や米ゼネラル・エレクトリック(GE)が、同国の独立間もないころからアルジェリア市場に進出、シェア獲得につながった。多くの分野で市場が開かれようとしている今、難市場攻略へリスクをとる姿勢が未来への道を開く。 (アルジェで、竹内康雄)

▽テロリスク、国境沿いに 主要都市では治安安定
 日本人には2013年1月にアルジェリアで起きたテロが記憶に残る。リビアとの国境近いイナメナスで、イスラム過激派がガス関連施設を襲撃。日本人を含む多くが犠牲になった事件だ。

 アルジェリアは地域の軍事大国。今も多額の国防費を計上し、治安の安定に取り組む。主要都市では警官が多数配置されて軽犯罪ですら厳しく取り締まられており、首都アルジェでは「身の危険を感じることはほとんどない」(日本企業関係者)。マンソリ投資開発庁長官は「国境沿いなど一部地域を除けば、アルジェリアは外国人にも安全だ」と言う。

 一方でアルジェリアはマリやニジェール、リビアなど政情が不安定な国と接する。今なお国境沿いではテロリストへの対応に迫られている。マリやニジェールの国境周辺では国際テロ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の勢力が強く、リビアでは「イスラム国」が台頭。特にリビアは内戦状態でテロリストの流入に神経をとがらせている。

▽アルジェリアの概要
 面積は日本の6.4倍の238万平方キロメートルで、国内総生産(GDP)はアフリカ大陸4位の2278億ドルに上る。人口3900万人のほとんどがイスラム教スンニ派。ブーテフリカ大統領が1999年以来、権力の座にある。リビアなど近隣諸国で独裁体制が打倒された2010年からの民主化運動「アラブの春」でも体制は揺らがなかったが、汚職や腐敗などの批判も根強い。原油・天然ガス資源を狙った欧米資源メジャーを軸に外資が進出。日本勢も14社あり、在留邦人は約250人。
 

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