日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

追加緩和、対話に腐心 日銀総裁 「今は不要」3回/「ちゅうちょなく」4回 市場と物価にらむ

2015年02月19日 | 金融:中央銀行・国際金融機関
〔15.2.19.日経新聞:経済面〕


 日銀が追加緩和をめぐって、市場との対話に苦しんでいる。黒田東彦総裁は18日、金融政策決定会合後の記者会見で、追加緩和は「現時点で必要ない」と述べた。一方、物価が下振れすれば「ちゅうちょなく金融政策を調整する」とし、緩和に前向きな姿勢もちらつかせた。追加緩和への期待が完全に消えれば市場が混乱しかねず、難しい対応を迫られている。

 黒田総裁は会見で、追加緩和について「いまは必要ない」と3回発言した一方、必要になれば「ちゅうちょなく調整する」と4回も述べた。両にらみの発言を繰り返す背景には物価上昇への自信を深めつつも、前面には出しきれない対話の難しさがある。

 日銀の基本的な考えは追加緩和が当面不要というものだ。企業業績の回復を起点に雇用情勢は改善している。黒田総裁は「労働市場は完全雇用に近く、賃金上昇が実現する環境も整っている」と述べ、人々の物価上昇期待は高まりやすい状況にあると説明する。

 原油安で物価上昇率は足元で鈍化しており、日銀内にも「2月には0%近辺まで落ち込む」との見方がある。

 それでも黒田総裁は「予想物価上昇率をはじめとする基調的な物価が重要だ」とし、物価に対して強気の姿勢を崩さなかった。日銀の見立てでは原油安による物価の下押しは2015年度後半にかけて和らぎ、2%の物価上昇への道筋が見えてくるという。

 景気は「緩やかな回復を続けている」との基調判断は維持したが、生産や輸出の個別項目の判断は前進させた。消費増税後の反動も「収束しつつある」と述べた。国内の経済情勢が物価シナリオを揺らすリスクは低いことを印象づけた。こうした経済情勢が追加緩和は当面不要との判断に至る根拠だ。

 ではなぜ「ちゅうちょなく調整」との発言も繰り返したのか。そこには人々の期待に働きかけなければならないという現行の金融緩和の制約がある。ある幹部は「デフレ脱却のためには日銀は『必要ならなんでもやる』という強い姿勢をとり続けなくてはいけない」と話す。

 仮に「物価目標が遠のいても日銀は動かない」という受け止めが広がれば、株安や円高を招き、物価に悪影響を与えかねない。景況感が悪化し、人々のインフレ期待がしぼむ恐れもある。昨年10月の追加緩和の際も、黒田総裁は「(物価目標に向けた)我々の揺るぎないコミットメント(約束)を示すものに他ならない」と述べていた。

 会合前に一部通信社が「追加緩和は日本経済に逆効果との見方が日銀内で浮上している」と伝えた。この点を問われた黒田総裁は「そういうふうには全く思っていない」と強く否定。いまの緩和を続けることで「累積的に経済・物価にプラスの効果を持っていく」と訴えた。こうした発言を受け、外国為替市場では円安に振れる場面があった。

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