日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

H形鋼が値下がり 需要鈍化で在庫高止まり 下げ幅は限定的の見方も

2015年03月06日 | 素材:鋼材・鉄
〔15.3.6.日経新聞:マーケット商品面〕


 ビル建設に使うH形鋼(鉄骨)が値下がりしている。指標品種の流通価格は現在、1トン7万8千円程度で年初から1千~2千円下落した。需要の鈍さから在庫が高止まりし安値取引が出やすくなっている。ただメーカーは流通市場向けの価格を維持する構えで、下げ幅は限られるとの見方もある。

 千葉県浦安市の鉄鋼団地に在庫店を構える問屋からは「出荷の見通しが甘かった」(加藤鉄鋼)との声が漏れる。同社では在庫量を出荷量で割った在庫率が昨年10月の2.3カ月程度から足元は3カ月まで増えた。需給緩和で買い手市場になっており、需要家が問屋を通さずにメーカーから安値で購入する例も増えたという。

 積雪で建設関連の工程が停滞しやすい1~3月期はもともとH形鋼の不需要期とされる。今年は鉄鋼原料である鉄スクラップの輸出価格が年初から2割下がり、鋼材の需要家が先安観から買い控えに動いた影響も荷動きの鈍さにつながった。

 加えてアジア市場でH形鋼の価格が急落。日本からの輸出価格も1トン530ドル程度と年初から2割弱下がり、輸出不振が国内需給の緩和につながるとの観測もあった。

 新日鉄住金の鋼材を扱う流通業者で作る「ときわ会」のまとめでは、H形鋼の流通在庫は1月末に21万900トンと前月比2%増えた。出荷量は9%減の7万9400トンで2012年5月以来の水準だ。この傾向は2月以降も続いていると指摘する声が多い。決算期の3月末にはメーカーからの出荷増でさらに在庫が増える可能性もある。

 ただ値下がりが今後も続くかどうかは不透明だ。鉄スクラップの電炉買値は関東で1トン2万5千円弱で、同じ鉄鋼原料である鉄鉱石とコスト面で同じ水準になってきた。H形鋼はこれまで鉄骨を加工する業者が不足し出荷量が制約されていたが、足元の出荷量は加工能力を下回る水準だ。「いまより減ることは考えにくい」(商社)という。

 メーカーも強気の姿勢を崩していない。電炉大手の東京製鉄は3月の販売価格を前月から据え置いた。高炉の新日鉄住金も「値下げで需要は増えない」(建材営業部)と横ばいを続けている。メーカーからの卸値が下がらなければ、流通業者は安売りに動きにくい。

 H形鋼は鋼材のなかでも価格が底堅く推移してきた。14年3月末には在庫が約5年ぶりの水準に積み上がったが、流通価格は年間を通して千円程度しか下がらなかった。メーカーの利ざやにあたる鉄スクラップとの価格差(スプレッド)は現在もなお5万円超と13年平均を1万円上回る高水準だ。 

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