(日経7/28:1面)
サントリーホールディングス(HD)は株式を上場する検討に入った。早ければ2018年にも上場する方向で、複数の金融機関から具体策の提案の受け付けを始めた。国内非上場企業で最大級の事業規模を持つサントリーは昨年、米蒸留酒大手ビームを1兆6500億円で買収し、有利子負債が膨らんでいる。上場で調達した資金で負債を圧縮、新たな成長に向けた経営資源を確保する。(関連記事企業総合面に)
サントリーは1899年の創業から創業一族を中心に非上場経営にこだわり、清涼飲料を手掛けるサントリー食品インターナショナルなど子会社の上場にとどまっていた。今回、HD本体が外部資本を入れることを検討する。年内にも最終結論を出す方針だ。実現すれば時価総額3兆円規模の大型上場となる。
市場は米ニューヨーク証券取引所(NYSE)や東京証券取引所を候補としている。ビームだけを再上場する案なども含め検討するが、議論の柱はHDを上場させる案となる見通し。
サントリーは鳥井・佐治両家からなる創業一族の資産管理会社、寿不動産(大阪市)が約9割の株を握る。上場する場合にも寿不動産の出資比率を5割超に維持することを前提とする見通し。議決権を持たない種類株を公開するプランなども含め、具体案を精査する。
サントリーの14年12月期の売上高は2兆4552億円で、キリンホールディングスを抜き国内食品メーカーで首位に立った。一方、有利子負債は1兆8千億円に膨らんでいる。上場で成長資金を確保し「真のグローバル企業」(佐治信忠会長)への道筋を鮮明にする。
(企業総合面)
▼サントリー、成長投資の資金確保 時価総額3兆円規模
サントリーホールディングス(HD)が株式上場の検討に入った背景には米ビーム(現ビームサントリー)の買収で膨らんだ有利子負債を圧縮する狙いがある。調達する資金を財務基盤の強化に充てるとともに海外でのM&A(合併・買収)などグローバル企業としての一段の成長投資に振り向ける。(1面参照)
ビームを買収したサントリーの有利子負債は2015年3月末時点で1兆8000億円となり、自己資本比率は20%を割り込んでいる。社内には傘下のサントリー食品インターナショナルが日本たばこ産業(JT)から自動販売機事業を約1500億円で買収した際にも幹部が「ホールディングスの格付けを落とさないようにしなければならない」と発言するなど財務体質について神経質になっている面がある。
負債の圧縮に向けて、傘下の仏コニャック製造会社、ルイ・ロワイエを8月末で売却するなど事業の選択と集中を進めている。サントリー本体の上場時の時価総額はアサヒグループホールディングスやキリンホールディングスを上回る3兆円規模となる見通しだ。
世界の食品大手は相次ぐ買収で事業を拡大している。今後、売上高で3~4倍の規模がある海外企業とのグローバル競争にサントリーが打ち勝つためにはM&A戦略が不可欠な状況。ただ、企業買収は財務体質の悪化につながる懸念がある。上場による資金余力の確保はM&Aの選択肢を広げる意味でも欠かせない。
サントリーホールディングス(HD)は株式を上場する検討に入った。早ければ2018年にも上場する方向で、複数の金融機関から具体策の提案の受け付けを始めた。国内非上場企業で最大級の事業規模を持つサントリーは昨年、米蒸留酒大手ビームを1兆6500億円で買収し、有利子負債が膨らんでいる。上場で調達した資金で負債を圧縮、新たな成長に向けた経営資源を確保する。(関連記事企業総合面に)
サントリーは1899年の創業から創業一族を中心に非上場経営にこだわり、清涼飲料を手掛けるサントリー食品インターナショナルなど子会社の上場にとどまっていた。今回、HD本体が外部資本を入れることを検討する。年内にも最終結論を出す方針だ。実現すれば時価総額3兆円規模の大型上場となる。
市場は米ニューヨーク証券取引所(NYSE)や東京証券取引所を候補としている。ビームだけを再上場する案なども含め検討するが、議論の柱はHDを上場させる案となる見通し。
サントリーは鳥井・佐治両家からなる創業一族の資産管理会社、寿不動産(大阪市)が約9割の株を握る。上場する場合にも寿不動産の出資比率を5割超に維持することを前提とする見通し。議決権を持たない種類株を公開するプランなども含め、具体案を精査する。
サントリーの14年12月期の売上高は2兆4552億円で、キリンホールディングスを抜き国内食品メーカーで首位に立った。一方、有利子負債は1兆8千億円に膨らんでいる。上場で成長資金を確保し「真のグローバル企業」(佐治信忠会長)への道筋を鮮明にする。
(企業総合面)
▼サントリー、成長投資の資金確保 時価総額3兆円規模
サントリーホールディングス(HD)が株式上場の検討に入った背景には米ビーム(現ビームサントリー)の買収で膨らんだ有利子負債を圧縮する狙いがある。調達する資金を財務基盤の強化に充てるとともに海外でのM&A(合併・買収)などグローバル企業としての一段の成長投資に振り向ける。(1面参照)
ビームを買収したサントリーの有利子負債は2015年3月末時点で1兆8000億円となり、自己資本比率は20%を割り込んでいる。社内には傘下のサントリー食品インターナショナルが日本たばこ産業(JT)から自動販売機事業を約1500億円で買収した際にも幹部が「ホールディングスの格付けを落とさないようにしなければならない」と発言するなど財務体質について神経質になっている面がある。
負債の圧縮に向けて、傘下の仏コニャック製造会社、ルイ・ロワイエを8月末で売却するなど事業の選択と集中を進めている。サントリー本体の上場時の時価総額はアサヒグループホールディングスやキリンホールディングスを上回る3兆円規模となる見通しだ。
世界の食品大手は相次ぐ買収で事業を拡大している。今後、売上高で3~4倍の規模がある海外企業とのグローバル競争にサントリーが打ち勝つためにはM&A戦略が不可欠な状況。ただ、企業買収は財務体質の悪化につながる懸念がある。上場による資金余力の確保はM&Aの選択肢を広げる意味でも欠かせない。