〔14.12.22.日経新聞:企業面〕
日本経済新聞社が21日にまとめた2014年冬ボーナス調査(5日時点)によると、全産業の1人当たり税込み支給額(加重平均)は前年比5.53%増の77万5194円と、2年連続でプラスだった。円安による輸出産業の好調などを背景に24年ぶりの高い伸び率となり、個人消費を押し上げる可能性がある。だが、冬に支給額を交渉した企業の伸び率は1.60%増にとどまるなど、増税後の消費のもたつきの影響も見られた。
製造業の平均支給額は前年比6.94%増の81万9805円だった。主要17業種中15業種で前年より増えた。トヨタ自動車やホンダなどを中心とする自動車・部品が7.86%増、機械が7.82%増とけん引した。非製造業は前年比0.60%増の64万7791円だった。
製造業は円安による輸出採算の改善で上期(4~9月)の業績は大幅に改善したものの、支給額は直近のピークだった米リーマン・ショック前の07年冬(84万5497円)には届かなかった。
■新日鉄住金は34%増 業種別で伸び率が最も高かったのは、昨年まで原燃料高が収益を圧迫していた鉄鋼で、前年冬から27.87%増えた。造船向けなど内需が底堅いことに加えて、企業の設備投資の回復で粗鋼生産が伸び、新日鉄住金(前年冬比34.16%増)やJFEスチール(同25%増)など、業績連動型企業が14年3月期の大幅増益を反映した。
機械や精密機械メーカーの増額も目立った。14年3月期の営業利益が6期ぶりに最高益を更新したクボタは、昨年冬より17.77%増やした。ベアリング大手のミネベアも同17.79%増だった。工作機械の販売が好調なスター精密は、前年冬比26.43%増だった。
薄型テレビやスマートフォンなどの販売が伸び悩んでいた電機も、収益改善にともなって前年冬比7.33%増になった。
非製造業では慢性的な人手不足に悩む建設(7.48%増)や外食・その他サービス(9.06%増)が積み増したが、主要16業種中、商社や陸運など6業種が前年比でマイナスだった。
支給額では大塚商会が121万7157円で前年に続き首位を保った。ただ、米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」のサポート期限切れに伴う駆け込み需要の反動で前年比では2.90%減った。
■LIXILやキリン減 冬に支給額を交渉・決着した企業(222社)の伸び率は、前年比1.60%増にとどまった。4月以降は新規の住宅着工やリフォーム需要が伸び悩んだLIXILが7.58%減、夏場に第三のビールなどで苦戦したキリンビールが5.88%減になるなど、前年支給額を下回る企業も見られた。
一方、冬のボーナスを春闘や夏の交渉時に決めた企業(298社)は前年冬比7.0%増だったが、今夏(8.48%増)には及ばなかった。
トヨタ(夏の支給額は137万円)のように、冬より夏を手厚くした企業も目立つ。前期に好調だった業績連動部分を「主に夏ボーナスに反映させた」(川崎重工業)ためで、支給額の配分バランスの変化も、冬ボーナスの伸びを抑える要因となった。
三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは「来春の春闘で賃金が上昇すれば、脱デフレにつながるのではないか」と話す。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「ボーナス増が経済を引き続き下支えするが、中小企業へも波及する必要がある」と見ている。
日本経済新聞社が21日にまとめた2014年冬ボーナス調査(5日時点)によると、全産業の1人当たり税込み支給額(加重平均)は前年比5.53%増の77万5194円と、2年連続でプラスだった。円安による輸出産業の好調などを背景に24年ぶりの高い伸び率となり、個人消費を押し上げる可能性がある。だが、冬に支給額を交渉した企業の伸び率は1.60%増にとどまるなど、増税後の消費のもたつきの影響も見られた。
製造業の平均支給額は前年比6.94%増の81万9805円だった。主要17業種中15業種で前年より増えた。トヨタ自動車やホンダなどを中心とする自動車・部品が7.86%増、機械が7.82%増とけん引した。非製造業は前年比0.60%増の64万7791円だった。
製造業は円安による輸出採算の改善で上期(4~9月)の業績は大幅に改善したものの、支給額は直近のピークだった米リーマン・ショック前の07年冬(84万5497円)には届かなかった。
■新日鉄住金は34%増 業種別で伸び率が最も高かったのは、昨年まで原燃料高が収益を圧迫していた鉄鋼で、前年冬から27.87%増えた。造船向けなど内需が底堅いことに加えて、企業の設備投資の回復で粗鋼生産が伸び、新日鉄住金(前年冬比34.16%増)やJFEスチール(同25%増)など、業績連動型企業が14年3月期の大幅増益を反映した。
機械や精密機械メーカーの増額も目立った。14年3月期の営業利益が6期ぶりに最高益を更新したクボタは、昨年冬より17.77%増やした。ベアリング大手のミネベアも同17.79%増だった。工作機械の販売が好調なスター精密は、前年冬比26.43%増だった。
薄型テレビやスマートフォンなどの販売が伸び悩んでいた電機も、収益改善にともなって前年冬比7.33%増になった。
非製造業では慢性的な人手不足に悩む建設(7.48%増)や外食・その他サービス(9.06%増)が積み増したが、主要16業種中、商社や陸運など6業種が前年比でマイナスだった。
支給額では大塚商会が121万7157円で前年に続き首位を保った。ただ、米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」のサポート期限切れに伴う駆け込み需要の反動で前年比では2.90%減った。
■LIXILやキリン減 冬に支給額を交渉・決着した企業(222社)の伸び率は、前年比1.60%増にとどまった。4月以降は新規の住宅着工やリフォーム需要が伸び悩んだLIXILが7.58%減、夏場に第三のビールなどで苦戦したキリンビールが5.88%減になるなど、前年支給額を下回る企業も見られた。
一方、冬のボーナスを春闘や夏の交渉時に決めた企業(298社)は前年冬比7.0%増だったが、今夏(8.48%増)には及ばなかった。
トヨタ(夏の支給額は137万円)のように、冬より夏を手厚くした企業も目立つ。前期に好調だった業績連動部分を「主に夏ボーナスに反映させた」(川崎重工業)ためで、支給額の配分バランスの変化も、冬ボーナスの伸びを抑える要因となった。
三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは「来春の春闘で賃金が上昇すれば、脱デフレにつながるのではないか」と話す。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「ボーナス増が経済を引き続き下支えするが、中小企業へも波及する必要がある」と見ている。