日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

2503 キリンほろ苦 体制見直し HD社長に磯崎氏、反転攻勢へ グループ一体で営業力

2014年12月23日 | 4.食料品
〔14.12.23.日経新聞:企業2面〕



 キリンホールディングス(HD)は22日、傘下のキリンビールの磯崎功典社長(61)が2015年3月末に社長に就任すると正式発表した。新体制の目玉は、磯崎氏が中間持ち株会社キリンのトップを引き続き務め、一体運営すること。キリン再興を担ったはずの中間持ち株制を2年あまりで見直すのは危機感の表れだ。自ら「欠けていた」と指摘する機動力を高めることができるか。

 「環境変化に対応できていなかった」。都内で開かれた記者会見。新たな門出を発表する場だが会長に退く三宅占二社長(66)の口から出てきたのは反省の弁だった。

経営判断に遅れ
 中間持ち株会社であるキリンを設立したのは13年。キリンビールなど統括する3つの国内酒類・飲料事業会社が強みを発揮するために、キリンが人材配置の見直しや研究開発(R&D)の機能統合などを進めてきた。海外の成長市場に投資するために、国内市場で資金を確保する――。キリンは国内強化の原動力となるはずだった。

 だが、人事政策でキリンHDとキリンがそれぞれ担当役員を置くなど、指揮系統や責任の所在がはっきりしないケースがあった。「両社の情報共有などが遅れ、迅速な経営判断につながらない面があった」(三宅氏)。実際、営業では大手外食チェーンとの取引を競合に奪われるなど、厳しい状況が続いた。

 新体制ではキリンHDの執行役員はキリンの執行役員を兼務する。欠けていた情報共有と意思決定のスピードアップ、営業力強化を狙う。磯崎氏は「強みの商品開発力だけでなく生産部門などでも一体化を進める」と話す。キリントップとして国内の厳しい収益環境に直面してきたからこそ責任を強く感じている。

「一番搾り」復調
 キリンHDの14年12月期は営業利益が16%減となるもよう。15年12月期までの中期経営計画で掲げた数値目標は達成が難しい。競合のアサヒグループホールディングスには時価総額で逆転され、サントリーホールディングスには売上高で業界首位を明け渡す見込み。三宅氏は「状況は極めて厳しい」と語る。

 足元では、9月に投入したプリン体・糖質ゼロの発泡酒がヒット。主力品「一番搾り」の家庭用販売が今秋以降に2桁増となるなど、復調の兆しはある。反転攻勢をより確実にするためには、トップ人事と体制変更が重要なカギを握ると判断。競争環境や消費者の意識が刻々と変わる厳しい環境のなか、キリンの特徴ともいえた中間持ち株制にあえて手をつける。 (河野祥平)


「闘う集団」へ 現場鼓舞 キリンHD次期社長 磯崎功典氏

 

 キリンホールディングスの「次期トップ本命」と言われて過ごした3年弱。過去にない逆風の中で現場を鼓舞し続けてきた。主戦場のビール系飲料は首位アサヒビールとの差が開き、居酒屋など業務用販売の競争も激しさが増す。今年からは全国約30カ所の営業拠点を回り、社員と膝詰めで改善策を話し合った。

 1999年から2年間、工場閉鎖後に開いたホテルで支配人を務め、2004年からは出資するフィリピンのビール大手に派遣された。国内営業の経験は7年間と短いが、三宅占二社長は「実は営業の人」と評する。ホテルで培った消費者目線、海外企業とのタフな交渉――。国内外で魅力的な商品を売り込むのに、必要な力を備えているとみる。

 眼光鋭く相手をにらみ、部下が震えあがるほど厳しく叱ることもある。しかし、単なる直情型ではない。うれしい報告には破顔一笑、握手を求める。自宅で料理を振る舞うこともある。メリハリが利いた人心掌握は社内外で有名だ。「リーダーシップは抜群。苦境の今だからこそ期待したい」との声があがる。

 「これまでのキリンは公家集団で、闘う姿勢に欠けていた」。競争力強化に向け陣頭指揮をとるのに、歴代トップの経営スタイルへの苦言もいとわない。決意の裏返しではあるが、実績が伴わなければ、厳しい言葉は自身に跳ね返る。「熱血漢」は退路を断って老舗立て直しに挑む。

 いそざき・よしのり 77年(昭52年)慶大経卒、キリンビール入社。10年キリンホールディングス常務。12年キリンビール社長。13年キリン社長。神奈川県出身。


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