日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

緊縮と支援に疲れたユーロ圏

2015年01月12日 | 欧州
〔15.1.12.日経新聞:景気指標面〕

 グレグジット。英語で「ギリシャのユーロ圏離脱」を意味するこの俗語が、世界の市場関係者の間でささやかれ始めている。

 原油急落の陰に隠れているが、為替市場でユーロ相場はつるべ落としである。昨年3月にはドルに対し1ユーロ=1.4ドルに迫っていたのに、年明け以降は1.2ドルを割り込んだ。対円でも1ユーロ=140円すれすれまで下落している。

 1月25日のギリシャの総選挙で、緊縮財政に反対する急進左派連合が第1党に躍進することも否定できない。そんななか、独シュピーゲル誌がドイツ政府の判断として、「緊縮路線をやめ債務返済を放棄した場合はギリシャのユーロ圏離脱は不可避」と伝えた。

 ギリシャの政府債務問題が火を噴いたのは2010年春。イタリア、スペイン、ポルトガルなどへとたちまち波及したが、これらの国々は財政の立て直しに力を入れてきた。仮にギリシャがユーロ離脱しても、5年前に比べれば影響は限定的という。本当だろうか?

 問題はユーロ圏全体に、緊縮疲れ、支援疲れの雰囲気が広がっていることだ。財政立て直しを何よりも重視してきた結果、ユーロ圏の失業率は11%台と米国の2倍の水準にある。消費者物価指数は14年12月には5年ぶりに前年同月比でマイナスに転じた。デフレの足音がひたひたと迫っている。

 折しも、米調査会社のユーラシア・グループは、15年のグローバル・リスクの筆頭に欧州政治を挙げる。ギリシャの急進左派連合にとどまらず、スペインの極左政党ポデモス、フランスの極右政党・国民戦線などが急速に勢力を伸ばしている。ユーロ圏ではない英国でも、反欧州連合(EU)を唱える独立党が伸長している。共通点は統一欧州への懐疑である。

 欧州中央銀行(ECB)は1月22日の理事会で、国債を買う金融の量的緩和に踏み切るにしても、それだけで欧州経済の視界が開けるわけではない。景気停滞とデフレのリスクが強まるにつれて、当局や企業のユーロ安を頼む気持ちは募るはずだ。日本としても不養生のとばっちりには気をつけたい。  
(編集委員 滝田洋一)

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