(日経7/25:企業総合面) (※三井造船は「輸送用機器」ですが当ブログでは船舶関係は海運に分類します)
三井造船は5年間で150億円を投じ、造船所の設備を更新する。産業用ロボットなどを導入し、生産効率の3割向上を目指す。2008年のリーマン・ショック後は主に老朽化対策の設備投資にとどめてきたが、円安でコスト競争力が強まり船舶建造量は今年、5年ぶりに増加する見込み。溶接などの作業員の不足感が強まっており、自動化推進で生産性を高めて中韓勢に対抗する。
国内の造船業は足元ではばら積み船の市況悪化で受注が低迷しているが、昨年までの好調な受注を受け15年の船舶国内建造量は1500万総トンを超える見通し。ジャパンマリンユナイテッド(JMU)が15年度の設備投資を前年度比4割増の70億円に増やすなど造船会社の間では設備投資を積み増す動きが広がっている。
三井造船は千葉県市原市で船体の骨組み部分である「ブロック」の組み立て工場を建て替える。製造ラインを見直し、従来より大型のブロックでも加工できるようにする。人手がかかる鉄板の切断に産業用ロボットを導入するなど自動化を進める。
受注増を背景にブロックの製造を一部、外注していたが、設備更新により生産能力を高め、自社で対応できるようにする。外注を不要にすることで輸送コストも減らす。
ばら積み船などを建造する岡山県玉野市でも、ブロックの組み立て工場を建て直す。クレーンの能力も増強し、従来より大型のブロックを製造できるようにする。産業用ロボットの設置などで生産性を高め、船体の製造に必要な時間を現在より3割減らす。
三井造船はリーマン・ショック後の建造量低迷を受け、設備投資を年間10億~20億円程度に絞ってきた。今年度から投資額を大幅に増やす。
JMUは津事業所(津市)で大型の液化天然ガス(LNG)船などの建造に必要な設備を今年度内に導入する。有明事業所(熊本県長洲町)では自動車運搬船を効率的に建造するため生産体制を整える。
常石造船も常石工場(広島県福山市)で16年末までに数十億円を投じる。従来の2倍以上の重量を持ち上げられるクレーンに置き換え、大型ブロックに対応できるようにする。
日本勢より造船業への進出が遅かった中韓勢は設備が比較的新しく、生産効率が高い。日本の造船各社はリーマン・ショック後、設備投資を抑えてきたが「攻めの設備更新に踏み切る」(三井造船)という動きが強まっている。
▼造船 人手不足感増す 建設業と取り合い
造船各社にとって建造現場で働く作業員の確保が難しくなっている。2020年開幕の東京五輪に向け、建設業では会場やインフラ整備のため作業員の需要が増加傾向にあり、今後も人手不足感が強まる見込みだ。
国土交通省によると、造船業就労者数は15年4月時点で8万2579人。前年同期に比べ5%程度増えたものの「依然として足りていない」(同省海事局)という。
建設業と人材の取り合いが激しくなっているためだ。造船所の現場で働く作業員の半分強は、協力会社の作業員が占める。造船業は鉄板の切断や溶接といった作業が多いが、建設業でも同様の技能を持った作業員のニーズが強い。
自動化設備の導入などで省力化を進めれば、限られた作業員数でも効率的に製造できるようになる。これまで人手に頼り、産業用ロボットの設置などの自動化が遅れてきた造船業だが、人手不足の中で増産を進めるうえで生産効率改善の重要性が一段と増している。
三井造船は5年間で150億円を投じ、造船所の設備を更新する。産業用ロボットなどを導入し、生産効率の3割向上を目指す。2008年のリーマン・ショック後は主に老朽化対策の設備投資にとどめてきたが、円安でコスト競争力が強まり船舶建造量は今年、5年ぶりに増加する見込み。溶接などの作業員の不足感が強まっており、自動化推進で生産性を高めて中韓勢に対抗する。
国内の造船業は足元ではばら積み船の市況悪化で受注が低迷しているが、昨年までの好調な受注を受け15年の船舶国内建造量は1500万総トンを超える見通し。ジャパンマリンユナイテッド(JMU)が15年度の設備投資を前年度比4割増の70億円に増やすなど造船会社の間では設備投資を積み増す動きが広がっている。
三井造船は千葉県市原市で船体の骨組み部分である「ブロック」の組み立て工場を建て替える。製造ラインを見直し、従来より大型のブロックでも加工できるようにする。人手がかかる鉄板の切断に産業用ロボットを導入するなど自動化を進める。
受注増を背景にブロックの製造を一部、外注していたが、設備更新により生産能力を高め、自社で対応できるようにする。外注を不要にすることで輸送コストも減らす。
ばら積み船などを建造する岡山県玉野市でも、ブロックの組み立て工場を建て直す。クレーンの能力も増強し、従来より大型のブロックを製造できるようにする。産業用ロボットの設置などで生産性を高め、船体の製造に必要な時間を現在より3割減らす。
三井造船はリーマン・ショック後の建造量低迷を受け、設備投資を年間10億~20億円程度に絞ってきた。今年度から投資額を大幅に増やす。
JMUは津事業所(津市)で大型の液化天然ガス(LNG)船などの建造に必要な設備を今年度内に導入する。有明事業所(熊本県長洲町)では自動車運搬船を効率的に建造するため生産体制を整える。
常石造船も常石工場(広島県福山市)で16年末までに数十億円を投じる。従来の2倍以上の重量を持ち上げられるクレーンに置き換え、大型ブロックに対応できるようにする。
日本勢より造船業への進出が遅かった中韓勢は設備が比較的新しく、生産効率が高い。日本の造船各社はリーマン・ショック後、設備投資を抑えてきたが「攻めの設備更新に踏み切る」(三井造船)という動きが強まっている。
▼造船 人手不足感増す 建設業と取り合い
造船各社にとって建造現場で働く作業員の確保が難しくなっている。2020年開幕の東京五輪に向け、建設業では会場やインフラ整備のため作業員の需要が増加傾向にあり、今後も人手不足感が強まる見込みだ。
国土交通省によると、造船業就労者数は15年4月時点で8万2579人。前年同期に比べ5%程度増えたものの「依然として足りていない」(同省海事局)という。
建設業と人材の取り合いが激しくなっているためだ。造船所の現場で働く作業員の半分強は、協力会社の作業員が占める。造船業は鉄板の切断や溶接といった作業が多いが、建設業でも同様の技能を持った作業員のニーズが強い。
自動化設備の導入などで省力化を進めれば、限られた作業員数でも効率的に製造できるようになる。これまで人手に頼り、産業用ロボットの設置などの自動化が遅れてきた造船業だが、人手不足の中で増産を進めるうえで生産効率改善の重要性が一段と増している。