(日経8/15:総合2面)
上場する3月期決算会社の2015年4~6月期決算の発表がほぼ終わり、日本経済新聞社が集計した経常利益の合計は9兆円と前年同期比24%増えた。円安や原油安、訪日外国人(インバウンド)による消費増が追い風となり、トヨタ自動車など402社が4~6月期として最高益を記録した。16年3月期通期では前期比8%の経常増益になる見通しだが、企業からは中国景気減速の悪影響を心配する声も出た。(関連記事投資情報面に)
4~6月期の全体の売上高は5%増と4年連続で増えた。消費増税直後の前年同期は2%の経常増益だったが、15年は増益幅が大きく広がった。
収益の伸びをけん引したのは北米での好調だ。ホンダは好採算の多目的スポーツ車(SUV)が売れて税引き前利益が16%増えた。岩村哲夫副社長は「北米市場はようやく元気が出てきた」と手応えを示した。日立製作所は自動車用部品や高機能材料が北米で伸び、23%の増益になった。
円安は輸出企業の収益を膨らませただけでなく、インバウンド需要も後押しした。政府統計によると訪日外国人客は4~6月に500万人と48%増加。ANAホールディングス(HD)では中国線を使う訪日客が倍になり、その効果は「免税店など関連事業にも波及した」(平子裕志取締役)。明治ホールディングスは、日本で粉ミルクなどを大量に買う旅行客が増えたのもあって56%の経常増益になった。
原油など資源安の影響には明暗がくっきり出た。住友化学は原油価格の下落で石油化学の採算が改善。火力発電に使う燃料費が安くなった東京電力の経常利益は4倍に。一方、三菱商事は石油や石炭の値下がりで権益を持つ資源分野が苦戦し、減益に見舞われた。
上場企業合計の通期の経常利益見通しは、期初段階とほとんど変わらない。だが中国景気の変調が新たな不安材料となってきた。旭化成の小堀秀毅取締役は「中国のスマートフォン市場に減速感があり部品や材料の先行きは不透明だ」と話す。JFEホールディングスの岡田伸一副社長は「中国の鋼材供給過剰はなかなか解消されそうにない」と慎重な見方を示した。
上場する3月期決算会社の2015年4~6月期決算の発表がほぼ終わり、日本経済新聞社が集計した経常利益の合計は9兆円と前年同期比24%増えた。円安や原油安、訪日外国人(インバウンド)による消費増が追い風となり、トヨタ自動車など402社が4~6月期として最高益を記録した。16年3月期通期では前期比8%の経常増益になる見通しだが、企業からは中国景気減速の悪影響を心配する声も出た。(関連記事投資情報面に)
4~6月期の全体の売上高は5%増と4年連続で増えた。消費増税直後の前年同期は2%の経常増益だったが、15年は増益幅が大きく広がった。
収益の伸びをけん引したのは北米での好調だ。ホンダは好採算の多目的スポーツ車(SUV)が売れて税引き前利益が16%増えた。岩村哲夫副社長は「北米市場はようやく元気が出てきた」と手応えを示した。日立製作所は自動車用部品や高機能材料が北米で伸び、23%の増益になった。
円安は輸出企業の収益を膨らませただけでなく、インバウンド需要も後押しした。政府統計によると訪日外国人客は4~6月に500万人と48%増加。ANAホールディングス(HD)では中国線を使う訪日客が倍になり、その効果は「免税店など関連事業にも波及した」(平子裕志取締役)。明治ホールディングスは、日本で粉ミルクなどを大量に買う旅行客が増えたのもあって56%の経常増益になった。
原油など資源安の影響には明暗がくっきり出た。住友化学は原油価格の下落で石油化学の採算が改善。火力発電に使う燃料費が安くなった東京電力の経常利益は4倍に。一方、三菱商事は石油や石炭の値下がりで権益を持つ資源分野が苦戦し、減益に見舞われた。
上場企業合計の通期の経常利益見通しは、期初段階とほとんど変わらない。だが中国景気の変調が新たな不安材料となってきた。旭化成の小堀秀毅取締役は「中国のスマートフォン市場に減速感があり部品や材料の先行きは不透明だ」と話す。JFEホールディングスの岡田伸一副社長は「中国の鋼材供給過剰はなかなか解消されそうにない」と慎重な見方を示した。