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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

蓄電池、新世代 固体の電解質、リチウムイオンより安全 東北大・7203 トヨタ、充電時間10分の1

2014年12月09日 | 17.輸送用機器
〔14.12.09.日経新聞:科学技術面〕

 

 現在主流のリチウムイオン電池より安全な「全固体電池」と呼ぶ次世代電池の研究成果が相次いでいる。東北大学とトヨタ自動車は、充電時間を従来の電池の10分の1に短縮した。東北大の別チームも、軽量な全固体電池を開発し、動作温度を下げた。韓国サムスン電子は全固体電池を長持ちさせる技術を開発しており、国内外で実用化に向けた開発競争が熱を帯びている。

 リチウムイオン電池の主要部材である電解液は発火しやすい有機溶媒を含んでいる。全固体電池は電解液の代わりに燃えにくい固体電解質の中をリチウムイオンが動き、安全性を高めている。理論的には電解液の電池より蓄電量が多く高出力とされるが、従来は電解液の電池以上の性能が出せず実用化が難しかった。

 東北大の一杉太郎准教授らは電解質と電極の境界面に注目した。真空装置を使い、電池の製法を工夫することで電解質と電極をきれいに密着させた。境界面がぴったり接することでリチウムイオンが電池内を移動しやすくなった。固体電解質と電極が隙間や不純物の影響でしっかり接していなかった課題を解決した。

 試作した電池を使った実験では、従来の電解液を使うと30分以上かかる充電時間を3分に短縮できた。電気自動車(EV)のバッテリーに使えば、短時間で充電できる。今後はトヨタや電池メーカーと共同でバッテリー開発に取り組む。

 同じく東北大の折茂慎一教授と宇根本篤講師らは、リチウムと水素の化合物を電解質に使い、電池の重さを従来の全固体電池の半分以下にした。研究の進んでいる硫化物や酸化物の電解質を使った電池は、電解液の電池より重かった。

 リチウムと水素の化合物を使うと高温の環境でしか動かない問題があるが、電解質の成分などを工夫し、従来のセ氏約120度から約90度に引き下げた。将来は室温での動作が目標だ。三菱ガス化学と協力し、5年後をめどにEVなどに搭載するバッテリー向けに実用化を目指す。

 サムスン電子は硫化物を使った全固体電池の耐久性を高めた。500回の充放電を繰り返した後も約8割の容量を維持でき、実用レベルに近づいた。これまで充放電を繰り返すと容量が急激に下がるのが課題だった。正極の構造を工夫するとともに、電気を通しやすい物質を正極内で均等に分散させた。京都市で先月開かれた電池討論会で発表した成果だ。

 現在主流のリチウムイオン電池は体積あたりの出力が高く電気も多くためられる。携帯端末やEVなどで使われている。ただ発熱により破損する可能性があり、安全性の懸念が指摘されている。

「ナトリウムイオン」も有力、高温でも耐久性

 電気自動車(EV)など向けに、全固体電池と並ぶ次世代電池として期待される「ナトリウムイオン電池」でも、安全性を高める技術開発が相次ぐ。トヨタ自動車は破損時に過熱する危険が少ない電池を試作した。住友電気工業は暑い夏場の使用に耐える電解液を開発した。いずれもレアメタル(希少金属)のリチウムやコバルトを使わず大型電池を安く作れる。

 トヨタはナトリウムやニッケルを含む正極を開発した。4.6ボルトの高電圧に耐える。ニオブなどで作った負極と組み合わせて電池を試作した。従来は充電時に金属ナトリウムが負極に付着することがあったが、正極・負極を工夫してこれを抑え、安全性を高めた。

 住友電工は京都大学とセ氏約130度まで作動する電解液を作った。既存の有機溶媒は60度超で分解し、電池の容量が落ちる。フッ素などを含む新電解液は高温に強く、EVに積めば暑い夏でも正常に動き、異常過熱や発火のリスクも抑えられるという。4~5年後に太陽光発電など向けに実用化し、10年後にもEVに搭載する計画だ。

 日産自動車も佐賀大学と耐久性が高い正極の開発を進め、100回の充放電に成功した。2000回以上充放電できるよう改良する方針だ。

次世代電池とは
 ▼次世代電池 現在のリチウムイオン電池を載せた電気自動車(EV)は1回の充電での走行距離が200キロメートル程度にとどまる。ガソリン車は燃料満タンで約500キロメートル走れる。次世代電池はこれと同等以上に引き上げるのが目標だ。安全性、耐久性の向上や充電時間の短縮も目指している。

 全固体電池やナトリウムイオン電池のほかに、空気中の酸素を使って軽量な電池を実現する空気電池、マグネシウムイオンなどを使った蓄電量の多い多価イオン電池などがある。



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