日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

ウクライナ、経済危機深刻 国防費増・債務返済が重荷に デフォルト懸念強まる

2015年01月04日 | ロシア&CIS
〔15.1.4.日経新聞:国際面〕


 【モスクワ=石川陽平】ウクライナの経済危機が深まっている。東部での親ロシア派武装勢力との戦闘が影響し、2014年の国内総生産(GDP)の実質伸び率はマイナス7.5%に落ち込む見通し。15年の政府予算は国防費の増大と債務の返済が重荷となり、GDP比で3.7%の赤字だ。債務不履行(デフォルト)に陥るリスクも高まっている。

 中央銀行のゴンタレワ総裁は12月30日、14年の経済状況について「GDP伸び率がマイナス7.5%になり、通貨フリブナの下落率が100%に達した」と総括した。GDPの減少は、約15%のマイナスだった09年以来となる。特に、親ロ派との戦闘が続いた主要な工業地帯の東部で生産が落ち込んだ。政府は15年もマイナス4.3%になると予想している。

国民生活苦しく
 経済の低迷で、国民生活の悪化が深刻だ。インフレ率は14年1~11月に21%に達し、食品の価格が年初から2割近く上がった。通貨の下落で輸入品も高騰した。ロシアからの天然ガスや東部からの石炭の供給が止まり、火力発電所の稼働率が低下。特に9月以降、首都キエフなど各地で電力供給の時間が制限され、停電が起きている。

 だが、政府は東部の軍事的緊張が続いているため、社会保障費を抑え、国防費を増大せざるをえない状況にある。最高会議(国会)で12月29日未明に採択された15年の政府予算では、国防費に前年の当初予算の約6倍の900億フリブナ(約6800億円)を投じた。ヤツェニュク首相は「前例のない規模」と指摘し、「ウクライナの防衛を保証する」と表明した。

 15年の政府予算は歳入が約4752億フリブナ、歳出が約5271億フリブナ。予算規模はインフレ率を考慮すると前年の当初予算並みだが、国防費が突出した。公務員の賃金抑制や国民や企業への優遇措置の削減に取り組む一方、様々な増税措置を導入。国防費を捻出したが、財政赤字の額はGDP比で3.7%に達した。

 経済危機が深まるウクライナの債務問題は綱渡りが続く。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは12月下旬、「ウクライナのデフォルトのリスクは高まっている」と指摘。15年に対外債務の再編が必要になる可能性にも言及した。政府は15年予算で、対外債務の返済と利払いに746億フリブナを充てる予定で、財政運営に重くのしかかる。

支援協議難航も
 ウクライナに対しては、国際通貨基金(IMF)が14年3月に最大170億ドル(約2兆400億円)の融資を決めるなど金融支援が本格化した。だが、内戦状態にあり、構造改革も遅れる同国の経済再建は難しく、15年には追加で約150億ドルの支援資金が必要になるとの見方が出ている。IMFや欧米との協議は難航が予想される。

 ロシアの出方も焦点となる。ロシアは13年12月、ウクライナに30億ドルの金融支援を行ったが、政府債務の上限がGDP比で60%を超えると国債の償還を求めることができる規定がある。政府債務の総額は14年末までに65%を超えたとみられ、プーチン・ロシア大統領は12月末、ラガルドIMF専務理事とウクライナの債務返済の繰り延べについて電話で協議した。

 ウクライナの経済、財政危機の行方は、東部の和平問題にも影響する。経済が不安定だと親ロ派勢力や後ろ盾のロシアに対して強い交渉姿勢で臨むのは難しい。一方ロシアも欧米の対ロ制裁で経済が悪化しており、消耗戦の様相を見せている。 

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