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日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

重工各社もROE重視 事業の選別で競争力蓄える 7011 三菱重や7013 IHI、目標設定

2015年07月16日 | 企業:投資/内部留保/配当
(日経7/16:投資情報面)
 「重厚長大」の代表でこれまで資本効率の追求には距離を置いてきた重工各社が、相次ぎ自己資本利益率(ROE)重視の経営に舵(かじ)を切る。三菱重工業が中期経営計画で10%超のROEの目標値を明記。IHIや三井造船も次期の中計で盛り込む検討を始めた。ROEを武器に数多い事業の取捨選択を進め国際競争力を蓄える狙いだ。



 業界内で先陣を切ったのはかつて「アンチROE」急先鋒(せんぽう)だった三菱重工だ。1998年に当時の相川賢太郎会長が取材に答えた「ROEなど眼中にない」の言葉はあまりに有名だ。

 ROEは少ない元手でどれだけ利益を稼げるかを示す指標だが、船や飛行機を造る重工メーカーには大規模設備が欠かせない。資本は膨らみがちで、ROEは必ずしも経営上重視されてこなかった。重工大手5社の前期まで過去20年のROE平均は3.3%と、上場企業の平均(2015年3月期で8%強)に大きく見劣りする。

 それが今年5月、三菱重工が発表した中計に、15年3月期に6.5%だったROEを「18年3月期までに10%超に引き上げる」という目標が盛り込まれた。株式市場では「あの重工が、と素直に好感された」(SMBC日興証券の大内卓シニアアナリスト)といい、株価は6月末までに11%上昇した。

 IHIも続く。斎藤保社長は「17年3月期からの次期中計ではROE目標によって成長ストーリーを示す」と明言する。16年3月期の予想ROEは13%強だが、これは前期にブラジルの造船事業で300億円近い特損を出し、自己資本が減少した影響が大きい。前期までの過去10年平均では6.6%程度だ。これを「10%以上が一つの目安」(斎藤社長)と、“最低線”を設定する方針だ。

 株価重視のアベノミクス下で、ROEは企業評価の重要指標となった。政府はいわゆる「伊藤リポート」で、上場企業に対し最低限8%のROEを求める考えを打ち出した。三井造船の場合、今期の予想ROEは5~6%程度だが、「18年3月期からの次期中計では8%を目指さねばならない」(田中孝雄社長)と気を引き締める。

 数字上のROE改善には借り入れを増やし財務レバレッジをかける方法もあるが、重工各社の場合、この手が使えない事情がある。発電システムやプラント建設などの国際プロジェクトの受注競争の場では、格付けが重視されるのが業界の慣行。借入金で財務体質が悪化し、格付けに悪影響がないよう、他業種以上に目配りが必要なのだ。

 一定の資本を抱えながらROEを高めるには、売り上げ規模拡大と事業の利益率改善を同時に進めるしかない。大手重工メーカーは「機械のデパート」と呼ばれ、陸海空に広がる多様な部門を抱える。技術の高度化で、ただでも投資額は膨張気味で、事業の選択と集中が急務になっている。

 全社的にROE目標を掲げ、事業部レベルではROIC(投下資本利益率)などに落とし込んで管理することで、採算意識が高まり、事業の取捨選択につながる、との狙いがある。

 三菱重は5月に港湾クレーン事業を住友重機械工業に譲渡すると発表したほか、トンネルを掘るシールド掘削機事業はIHIなどと統合する。赤字でなくとも成長が描けず、利益率の低い事業は外部への切り出しを模索する。三菱重の宮永俊一社長の脳裏には既に「ROE13%水準」という次期目標がある。 (関口慶太)

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