日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

大和ハウス、米で高層賃貸1300億円投資 高まる中国リスク 米国に軸足

2015年08月25日 | 3.建設業
(日経8/25:企業総合面)
 大和ハウス工業は米国で賃貸住宅事業を拡大する。2017年3月期までにシカゴ市中心部に31階の高層マンションを建設する。他の主要都市でも6カ所の大型物件の開発などを手掛けていく計画だ。総投資額は1300億円程度を見込んでおり、国内の住宅大手による賃貸住宅開発で過去最大規模になる。景気回復で高級賃貸住宅の需要が伸びる米国を海外住宅事業の成長の柱に据え、21年3月期までに売上高500億円を狙う。



 同社の米国における賃貸住宅は現在、米不動産大手リンカーン(テキサス州ダラス)と同州で開発している低層住宅が2棟あるだけ。今回決めたシカゴの高層マンションから大型案件を手掛け、本格的な事業展開に入る。

 リンカーンと共同で建設するシカゴの高層マンションには約370戸が入居する。投資額は約170億円で大半を大和ハウスが負担する。シカゴ中心部のオフィス街に近い好立地で、まだ住宅を購入していない30~40代の富裕層の入居を見込む。他都市でも賃貸住宅の大型物件を6物件以上開発することを決めており、現在は用地の選定や購入など最終的な調整に入っている。

 国内の大手住宅メーカーでは、積水ハウスがこれまで米国に分譲や賃貸住宅を合わせて計1800億円を投資している。大和ハウスは賃貸のみで1300億円の総投資額を見込んでおり、賃貸住宅の開発に限定すれば過去最大規模になる。

 大和ハウスは16年3月期に目標としてきた連結売上高3兆円を達成する公算が大きい。今後の成長に向けて15年3月期は全体の3%弱にすぎない海外売上高(749億円)を高めることが急務となっている。賃貸住宅では米国に早期の投資回収が見込める大型案件が多いと判断した。

 同社は1984年に米国での賃貸住宅事業から撤退していたが、11年に再参入した。15年3月期の同事業の売上高は約7億5000万円にすぎない。

 大型投資に踏み切ることで21年3月期までに同事業の売上高を500億円に引き上げる。

▼高まる中国リスク 米国に軸足
 大和ハウス工業が米国での賃貸住宅事業を強化するのは、人口増の継続を背景に住宅需要の伸びが見込まれるためだ。安定的な賃料収入が期待できるほか、入居率の向上などで資産価値が高まれば、高値で物件を転売することもできる。中国での賃貸事業も展開するが、景気減速リスクも浮上しているため、米国の重要性が高まっている。

 米商務省が発表する住宅所有率が過去最低水準となるなど、米国では賃貸を選ぶ人も増加している。特に都市部の若年層ではその傾向が強いとされる。

 住宅大手では積水ハウスも米国での賃貸住宅事業を拡大しているほか、不動産大手の三井不動産も米国で賃貸住宅事業に力を入れている。同社は6月にニューヨーク・マンハッタンで約400戸分の住宅の建設を始めた。17年春の完成予定で、米国で手掛ける賃貸住宅の開発プロジェクトは4例目となる。このほか、西海岸のシアトルやサンフランシスコでも賃貸住宅の建設を進めている。

 大和ハウスは海外事業を新たな成長の柱に位置づけている。マレーシアでは戸建て住宅の販売を始める。ただ、1970年代に海外進出を図ったものの、日本流の住宅が現地の生活様式に合わず撤退。海外展開では出遅れていた。人口減で住宅市場の伸びが期待できない国内依存から脱却できるかどうかは、米国への再挑戦がカギを握る。


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