日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

中国国有大手に1兆円 8001伊藤忠、タイ財閥と出資 複合企業CITIC 食糧や資源、幅広く連携

2015年01月20日 | 26.卸売業
〔15.1.20.日経新聞:1面〕


 伊藤忠商事とタイ最大財閥チャロン・ポカパン(CP)グループは中国最大の国有複合企業である中国中信集団(CITIC)の傘下企業に1兆円強を折半出資する最終調整に入った。日本企業の対中投資で過去最大となる。中国や東南アジアなどで食糧や資源開発などの事業に共同で取り組む。冷え込んでいる日中経済交流が改善に向かう契機となる可能性もある。(関連記事アジアBiz面に)

 伊藤忠とタイCPが折半出資する特定目的会社を通じ、香港市場に上場している中国中信へ年内にも出資する。出資比率は合わせて約2割となる。中国中信はCITIC傘下の持ち株会社で銀行、証券、不動産、資源開発など約20社の中核企業を抱えている。

 CITICの事業は中国国内が大部分で、海外展開は遅れている。伊藤忠やCPのネットワークを生かし、食料の流通や資源開発などでアフリカや中南米といった新興国市場を開拓する。海外資本を入れることで国有企業としての非効率な体質を改める狙いもある。

 伊藤忠による5000億円以上の出資は、総合商社がこれまで国内外で実施してきた出資の中でも最大額となる。

 習近平指導部と緊密な関係を築いているCITICグループに出資することで、伊藤忠とCPは外資規制が厳しい中国での資源開発や物流網の整備、不動産開発など、これまで参入が難しかった案件に入りやすくなる。アパレル事業の店舗開発や電子商取引などの金融サービスでも連携する方針。出資比率に応じた配当収入も得られる。

 伊藤忠とCPは昨年に資本業務提携し、1000億円規模を相互出資した。CPは養鶏や鶏肉の加工・販売といった食料事業が主力。需要拡大が続くアジアで、家畜の飼料となる穀物を伊藤忠が調達し、CITICグループの融資でCPが農場を整備して鶏肉を加工・販売するなどの連携も検討する。

 伊藤忠商事の連結純利益は3100億円(2014年3月期)と総合商社3位で上位の三菱商事、三井物産と1千億円以上の開きがある。CPとの連携の枠組みを中国の国有複合企業にも広げて新興国市場を開拓し、上位2社を追い上げる。

 中国中信が14年秋に上場した際には伊藤忠とCP、東京海上日動火災保険、みずほ銀行がそれぞれ約1%を出資した。伊藤忠は主力取引銀行などから資金を借り入れて出資比率を引き上げ、共同事業を本格的に始める。

▽中国中信集団(CITIC)
 小平氏の肝煎りで1979年に設立された国有企業で2013年の売上高は約6兆円、営業利益が1兆3200億円。創業者の栄毅仁氏は「紅い資本家」と呼ばれ、後に国家副主席も務めた。銀行、証券、不動産、建設など幅広い業種を傘下に持つ。

▽チャロン・ポカパン(CP)グループ
 タイ最大の財閥で食品加工や情報通信などを扱うアジア有数の巨大複合企業。中国広東省から移民した謝一族が1921年に野菜種子商を興したのが起源で、年間売上高は410億ドル(約4兆4千億円)とタイの国家予算の半分の規模に達する。

〔アジアBiz面〕
習指導部の意向大きく 中国国有大手に外資導入、企業改革急ぐ 
 【北京=島田学】中国国有最大の複合企業、中国中信集団(CITIC)が、伊藤忠商事とタイの大手華僑財閥チャロン・ポカパン(CP)グループからの資本導入を決めた背景には、国有企業改革を進める習近平指導部の意向が大きい。停滞の兆しが見える中国経済を再活性化するため、CITICグループを先例にして国有企業を外資に開放し、経営ノウハウも吸収して資本効率を高める狙いだ。(1面参照)

 日中関係が改善基調に転じ始めたのも追い風となった。今回の構想が急浮上した昨年7月は、日中外交当局が首脳会談実現に向けた水面下の動きを本格化させた時期と符合する。昨年11月の北京での安倍晋三首相と中国の習国家主席との首脳会談を経て、CITICグループは早々に機関決定し、伊藤忠・CP側に決断を再三促していた。

 近年の日中関係の悪化で2014年の日本企業の対中投資は43億3千万ドル(約5060億円)と2年連続で減少した。今回の伊藤忠などの投資額はこれを大きく上回る規模。習指導部には停滞する日本からの対中投資の呼び水にしたいとの思惑もある。

 今回の構想をお膳立てしたのは伊藤忠が昨年7月に資本・業務提携を結んだCPグループのタニン・チャラワノン会長だ。東南アジアで活躍する華人企業家の中でも中国で習氏に最も近い一人。今回の構想も自ら習氏や李克強首相らに働きかけて実現させた。

 一方、CITICグループは金融分野に大きく依存する収益構造を改善するため、海外の事業会社との提携を模索していた。非資源分野に強みを持つ伊藤忠との提携で、小売業やサービス業などでの収益強化を狙う。収益不振が続く資源分野でも伊藤忠のノウハウを吸収して立て直しを図りたい考えだ。 

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