〔15.1.4.日経新聞:企業面〕
武田薬品工業は主力の前立腺がん治療薬の生産能力を約2割増強する。大阪市と山口県にある工場に計140億円を投じる。高齢化や食習慣の欧米化で、国内で前立腺がん患者が増加している。後発薬も出ているが、武田は効き目が長持ちする新タイプを投入する計画で、安定した需要が見込めると判断した。2工場の増強と並行し、海外を含めて工場間の生産品目の最適化にも着手する。
生産能力を引き上げるのは「リュープリン」。前立腺がんの国内の推計患者数は約18万人。新たに発症する罹患(りかん)者数は2020年に男性のがんの中で胃がんを抜き2番目になる(1位は肺がん)との予測もある。
武田はまず大阪工場(大阪市)に66億円を投じ、注射キットに入れる薬剤を生産する無菌設備を新設する。薬剤の搬送ロボット、殺菌剤の噴霧施設を備える。15年度に着工、17年度に稼働する。
光工場(山口県光市)にも72億円をかけて無菌設備などを備える。19年度に稼働させる計画だ。2工場の増強で、薬剤量ベースで生産能力は現在より2割程度増える。
リュープリンは武田の代表的な「ブロックバスター(年商1千億円を超す大型新薬)」で、1985年に発売した。既に特許は切れているが、改良を重ねて後発薬と差をつけることで、現在も年間売上高が世界で1千億円を超えている。特許切れ後に売上高が急減した同社の糖尿病治療薬「アクトス」とは対照的だ。
武田は患者の体内で薬剤をゆっくり放出させる技術を持つ。リュープリンの投与回数を減らすことができ、患者の負担が軽くなる。効き目が6カ月続くタイプを開発し、海外で販売している。国内では14年9月に承認申請し、15年中にも認可を得られる見通し。国内で売られている後発薬の効き目はまだ1カ月だ。
国内2工場の増強に合わせ、世界規模で生産体制も見直す。大阪工場はリュープリンの専用工場とし、同工場で手掛けていた他の国内向け薬品の生産は光工場に、輸出品の生産はドイツのオラニエンブルク工場(ブランデンブルク州)に18年度までに移管する。
これに伴い光工場にはリュープリンの生産設備とは別に新たに90億円を投資し、固形製剤の生産能力も増強する。年間1.7億錠から、33億~50億錠に引き上げる計画だ。光工場での集中生産などで、国内で年間20億円のコスト削減をめざす。
新薬創出は難しく、製薬大手は研究開発の効率化や生産の見直しを進めている。大日本住友製薬は14年12月に国内4工場を2工場に集約すると発表。アステラス製薬は14年4月、静岡県富士市の工場を後発薬大手の日医工に売却した。
武田薬品工業は主力の前立腺がん治療薬の生産能力を約2割増強する。大阪市と山口県にある工場に計140億円を投じる。高齢化や食習慣の欧米化で、国内で前立腺がん患者が増加している。後発薬も出ているが、武田は効き目が長持ちする新タイプを投入する計画で、安定した需要が見込めると判断した。2工場の増強と並行し、海外を含めて工場間の生産品目の最適化にも着手する。
生産能力を引き上げるのは「リュープリン」。前立腺がんの国内の推計患者数は約18万人。新たに発症する罹患(りかん)者数は2020年に男性のがんの中で胃がんを抜き2番目になる(1位は肺がん)との予測もある。
武田はまず大阪工場(大阪市)に66億円を投じ、注射キットに入れる薬剤を生産する無菌設備を新設する。薬剤の搬送ロボット、殺菌剤の噴霧施設を備える。15年度に着工、17年度に稼働する。
光工場(山口県光市)にも72億円をかけて無菌設備などを備える。19年度に稼働させる計画だ。2工場の増強で、薬剤量ベースで生産能力は現在より2割程度増える。
リュープリンは武田の代表的な「ブロックバスター(年商1千億円を超す大型新薬)」で、1985年に発売した。既に特許は切れているが、改良を重ねて後発薬と差をつけることで、現在も年間売上高が世界で1千億円を超えている。特許切れ後に売上高が急減した同社の糖尿病治療薬「アクトス」とは対照的だ。
武田は患者の体内で薬剤をゆっくり放出させる技術を持つ。リュープリンの投与回数を減らすことができ、患者の負担が軽くなる。効き目が6カ月続くタイプを開発し、海外で販売している。国内では14年9月に承認申請し、15年中にも認可を得られる見通し。国内で売られている後発薬の効き目はまだ1カ月だ。
国内2工場の増強に合わせ、世界規模で生産体制も見直す。大阪工場はリュープリンの専用工場とし、同工場で手掛けていた他の国内向け薬品の生産は光工場に、輸出品の生産はドイツのオラニエンブルク工場(ブランデンブルク州)に18年度までに移管する。
これに伴い光工場にはリュープリンの生産設備とは別に新たに90億円を投資し、固形製剤の生産能力も増強する。年間1.7億錠から、33億~50億錠に引き上げる計画だ。光工場での集中生産などで、国内で年間20億円のコスト削減をめざす。
新薬創出は難しく、製薬大手は研究開発の効率化や生産の見直しを進めている。大日本住友製薬は14年12月に国内4工場を2工場に集約すると発表。アステラス製薬は14年4月、静岡県富士市の工場を後発薬大手の日医工に売却した。