〔15.3.19.日経新聞:1面〕
シャープは2016年3月期に国内従業員を対象に希望退職を募集する方針を固めた。国内従業員の1割強に相当する3千人規模になる見通し。退職金の積み増しなどで同期に約300億円の経費を計上する予定だ。同社が希望退職を実施するのは液晶事業への投資失敗で巨額赤字に陥った12年以来となる。シャープは抜本的な構造改革によって経営再建を急ぐ。(関連記事企業1面に)
シャープ首脳が資本支援を要請しているみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行に希望退職の実施方針を伝えた。14年12月末時点のシャープの国内グループ従業員数は約2万4千人。
シャープはテレビなど主力事業が不振で15年3月期の連結最終赤字が1千億円を大幅に超えるもようだ。今後、北中米のテレビ事業撤退など不採算分野のリストラを国内外で進める。ただ全社的な高コスト体質の是正には従業員削減という抜本策が必要と判断した。
海外でも人員削減を検討している。北中米などが対象で削減数は海外従業員の1割程度の2千人超になる公算が大きい。
シャープは人件費抑制のため、16年3月期に国内従業員の給与水準も引き下げる見通しだ。下げ幅は一律1.5%程度で検討しており、近く労働組合に提案するもようだ。希望退職の実施や福利厚生の見直しも含めて500億円規模の固定費を削減したい考えだ。
5月中旬に18年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表する。ただ今期の赤字計上で14年12月末に10.8%だった自己資本比率は大幅に落ち込むもようだ。
構造改革の実施には多額の費用がかかるため、シャープは主力2行に資本支援を求めている。それにより債務超過を回避したい考えだ。
〔企業1面〕
▽シャープ支援、2000億円に上積みも 抜本改革へ主力行に増額要請、18年3月期に営業黒字1000億円目標
シャープは不採算事業の整理に加え国内従業員も削減し、経営再建を目指す。みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行への資本支援要請額を当初の1500億円から2千億円規模に上積みした。リストラを徹底して再建をより確実にするためだ。シャープは抜本的な構造改革により2018年3月期に1千億円超の連結営業黒字を確保する目標を策定中の新中期経営計画に盛り込む方針だ。(1面参照)
シャープは月内にも新中期経営計画や構造改革策の概要をまとめ、主力2行に提示する。両行は資本支援について「実効性を伴う計画が前提になる」としたうえで、増額に応じることも視野に入れている。シャープは希望退職による人員削減方針も打ち出すことで両行の協力を得たい考えだ。
シャープはもともと、16年3月期に売上高営業利益率5%の達成などを目標とする中期経営計画を掲げていた。だが15年3月期の最終損益が従来予想の300億円の黒字から一転、赤字に陥る見通しとなったことから、新たな中期計画を策定することにした。18年3月期に目標とする1千億円超の営業利益は全事業が黒字となった14年3月期実績とほぼ同水準で、同社にとって高い目標だ。
シャープは15年3月期に、現在の市況と比べて割高な調達価格で長期契約している太陽電池素材の損失を引き当てる方針だ。液晶事業でも生産設備の資産評価の見直しが必要とされ、損失が大きく膨らみかねない。最終赤字は1千億円を大きく上回り2千億円規模になる可能性もある。
16年3月期も希望退職による人員削減や北中米のテレビ事業撤退など構造改革を実施する必要があり、最終赤字が続くとみられる。最終黒字に転換するのは17年3月期からになりそうだ。今後1年間で構造改革を終え、収益体質を改善させる。
ただ、経営再建の道のりは険しい。液晶パネルや太陽電池など中核事業の収益が悪化しており、安定して利益を稼ぎ出せる事業が乏しい。15年3月期には複写機では300億円、白物家電でも180億円の営業利益を確保できる見通しだが、同社再建のけん引役としては力不足だ。
シャープは2016年3月期に国内従業員を対象に希望退職を募集する方針を固めた。国内従業員の1割強に相当する3千人規模になる見通し。退職金の積み増しなどで同期に約300億円の経費を計上する予定だ。同社が希望退職を実施するのは液晶事業への投資失敗で巨額赤字に陥った12年以来となる。シャープは抜本的な構造改革によって経営再建を急ぐ。(関連記事企業1面に)
シャープ首脳が資本支援を要請しているみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行に希望退職の実施方針を伝えた。14年12月末時点のシャープの国内グループ従業員数は約2万4千人。
シャープはテレビなど主力事業が不振で15年3月期の連結最終赤字が1千億円を大幅に超えるもようだ。今後、北中米のテレビ事業撤退など不採算分野のリストラを国内外で進める。ただ全社的な高コスト体質の是正には従業員削減という抜本策が必要と判断した。
海外でも人員削減を検討している。北中米などが対象で削減数は海外従業員の1割程度の2千人超になる公算が大きい。
シャープは人件費抑制のため、16年3月期に国内従業員の給与水準も引き下げる見通しだ。下げ幅は一律1.5%程度で検討しており、近く労働組合に提案するもようだ。希望退職の実施や福利厚生の見直しも含めて500億円規模の固定費を削減したい考えだ。
5月中旬に18年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表する。ただ今期の赤字計上で14年12月末に10.8%だった自己資本比率は大幅に落ち込むもようだ。
構造改革の実施には多額の費用がかかるため、シャープは主力2行に資本支援を求めている。それにより債務超過を回避したい考えだ。
〔企業1面〕
▽シャープ支援、2000億円に上積みも 抜本改革へ主力行に増額要請、18年3月期に営業黒字1000億円目標
シャープは不採算事業の整理に加え国内従業員も削減し、経営再建を目指す。みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行への資本支援要請額を当初の1500億円から2千億円規模に上積みした。リストラを徹底して再建をより確実にするためだ。シャープは抜本的な構造改革により2018年3月期に1千億円超の連結営業黒字を確保する目標を策定中の新中期経営計画に盛り込む方針だ。(1面参照)
シャープは月内にも新中期経営計画や構造改革策の概要をまとめ、主力2行に提示する。両行は資本支援について「実効性を伴う計画が前提になる」としたうえで、増額に応じることも視野に入れている。シャープは希望退職による人員削減方針も打ち出すことで両行の協力を得たい考えだ。
シャープはもともと、16年3月期に売上高営業利益率5%の達成などを目標とする中期経営計画を掲げていた。だが15年3月期の最終損益が従来予想の300億円の黒字から一転、赤字に陥る見通しとなったことから、新たな中期計画を策定することにした。18年3月期に目標とする1千億円超の営業利益は全事業が黒字となった14年3月期実績とほぼ同水準で、同社にとって高い目標だ。
シャープは15年3月期に、現在の市況と比べて割高な調達価格で長期契約している太陽電池素材の損失を引き当てる方針だ。液晶事業でも生産設備の資産評価の見直しが必要とされ、損失が大きく膨らみかねない。最終赤字は1千億円を大きく上回り2千億円規模になる可能性もある。
16年3月期も希望退職による人員削減や北中米のテレビ事業撤退など構造改革を実施する必要があり、最終赤字が続くとみられる。最終黒字に転換するのは17年3月期からになりそうだ。今後1年間で構造改革を終え、収益体質を改善させる。
ただ、経営再建の道のりは険しい。液晶パネルや太陽電池など中核事業の収益が悪化しており、安定して利益を稼ぎ出せる事業が乏しい。15年3月期には複写機では300億円、白物家電でも180億円の営業利益を確保できる見通しだが、同社再建のけん引役としては力不足だ。