日本株と投資信託のお役立ちノート

株や投信の運用に役立つ記事を探します。
(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

4755 楽天、切り札はカード 海外攻略、まず台湾から ポイントと通販を連携、「経済圏」拡大の試金石に

2015年01月14日 | 33.サービス業
〔15.1.14.日経新聞:企業2面〕
  
13日、楽天カードの穂坂社長(右から2人目)らが台北で事業開始のイベントを開いた

 楽天は13日、海外初となるクレジットカードのサービスを台湾で開始した。すでに現地で手がけているインターネット通販と、ポイント制度などを連携させる。楽天の日本国内での販売は年間1兆7千億円を超えるが、海外は約1千億円にとどまる。様々なサービスを提供して消費者を囲い込むのが「楽天経済圏」の強み。台湾をモデルに海外事業拡大を加速する。

 「台湾一のカードに育てる」。グループのカード会社、楽天カードの社長を兼務する穂坂雅之楽天副社長は同日、台北市内で開いた記者会見で力説した。同日から「台湾楽天カード」の申し込み受け付け、発行を開始。まずは現地でトップ10に入る規模であるカード会員100万人の達成を目指す。

 台湾は楽天にとってゆかりの地だ。2008年、ネット通販を海外で最初に手がけたのが台湾で、日本と同じ仮想商店街(モール)型に3千の現地企業や個人事業主などが出店。会員は300万人に上る。消費者からは「各地のグルメ情報が添えられた食品や、ファッションが充実している」との声が聞かれ、女性の利用者が多いという。現在は台湾ヤフーなどに次ぐ規模だが、14年の流通総額は5割増と急成長している。

 台湾では主に現地金融機関がカード事業を展開しており、初めてとなるネット通販を主体とする企業の参入に注目が集まっている。

 ベースとなるのは日本でのカード事業だ。2004年から始め、ネット通販「楽天市場」で楽天カードを利用した会員にはポイントを増やすといった優遇策を武器にする。14年のカード取扱高は3兆円を大きく超える見通しで、三菱UFJニコスやクレディセゾン、三井住友カードなど国内大手に次ぐ規模にまで成長した。

 単なる決済手段ではなく、カードは成長のけん引役でもある。楽天はネット通販のイメージが強いが、売上高のうちカード事業は約15%にのぼる。銀行、証券などを含めた金融事業は全体の約4割を占める。13年の売上高は12年比約6割増加し、全体の増収率約3割を大きく上回っている。

 楽天は現在、欧米やアジアなど13カ国・地域でネット通販を展開する。ただ、楽天全体からみると、まだまだ規模は小さい。起爆剤として期待するのがカード事業だ。

 「台湾楽天カード」では楽天市場で買い物をした場合のポイント付与だけではなく、「リアルとネットの融合」(台湾楽天市場の江尻裕一董事長)を売りにする。台湾から日本へ観光旅行に出かける消費者も多く、例えば2月からは、日本のビックカメラでカードを使うと割引が得られるキャンペーンを展開する計画だ。

 米イーベイや中国のアリババ集団など、世界で競合する電子商取引(EC)大手でも金融・決済事業が成長のエンジンとなっている。イーベイは売上高の半分を稼ぎ出した傘下の決済会社ペイパルをテコにしてきた。

 楽天は世界のEC関連企業のなかでも珍しいポイント戦略を強みにしていく。カード事業は各国・地域で規制が異なり、許認可動向は見通しにくいものの、台湾で海外での運営ノウハウを蓄積していくメリットは大きいとみている。順次ほかの国・地域での参入を目指しており、規模の大きい米国でも現地金融機関と組んでカード事業を進める方針だ。

 楽天の三木谷浩史社長は「世界一のネット企業」を目標に掲げる。日本で成功した「楽天経済圏」の世界各地への展開に向け、台湾での取り組みが試金石となる。 (台北=名古屋和希)

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