日本株と投資信託のお役立ちノート

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(主に日経,ロイター,WSJから引用。賞味期限の短い記事は今後省きます)

「現状デフレではない」 経済財政白書 「脱却」見送り政策余地残す 需要不足なお課題

2015年08月15日 | 国内:経済政策
(日経8/15:政治面)
 甘利明経済財政・再生相は14日の閣議に2015年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。13年春以降の緩やかな消費者物価の上昇などで「現在はデフレではない状況となっている」との認識を示した。「デフレ脱却」に向けて着実に進んでいるとしながらも、「脱却」には踏み込まず、消費増税などの政策判断に余地を残した。

 白書の副題は「四半世紀ぶりの成果と再生する日本経済」。企業収益の拡大が賃金上昇や雇用拡大につながり、個人消費を中心とした内需主導で経済が回復してきたと評価した。失業率は18年ぶりの低水準、有効求人倍率は23年ぶりの高水準、高卒の就職内定率は23年ぶり、大卒は7年ぶりの高い伸びになるなどと例示し、雇用指標は大きく改善していると強調した。

 今後の経済動向についても、賃上げが個人消費の持ち直しに寄与するほか、原油価格下落などで好循環が続くとの期待を示した。当面のリスク要因として、米国の利上げやギリシャ情勢など海外景気の下振れを挙げた。

 日本経済の最大の課題であるデフレ脱却の判断については「多少のショックがあっても緩やかな物価上昇の状態が持続可能であることが必要」との条件を示した。判断材料となる消費者物価、国内総生産(GDP)デフレーター、単位労働コストの3指標を「改善している」と評価した。

 ただ日本経済の需要と潜在的な供給力との差を示す「GDPギャップ」が依然マイナス圏にあるとして、個人消費や設備投資の持ち直しなどで需要不足が解消されることが課題になるとした。

 17年4月には消費増税が予定されており、デフレ脱却を宣言すると「直前の経済状況に応じた判断がしにくくなる」(政府関係者)との判断も働いたようだ。

 甘利経財相は閣議後、記者団に「経済の好循環が回り始めているが、デフレマインドの払拭はまだ完全にはできていない」と指摘。「企業業績を上げ、賃金の改善や設備投資の拡大につながっていく環境を政府がつくり、自動循環するまで手を緩めないことが大事だ」と強調した。

 一方、14年4月の消費増税の影響については、増税前の駆け込み需要の規模を3兆円程度と推計した。1997年の増税時の2兆円を1兆円上回る規模で、これが増税後に個人消費が大きく冷え込んだ要因となったと分析した。

▼「景気の見方おおむね共感」 嶋中雄二・三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長
 景気の現状分析はおおむね共感できる。有効求人倍率や失業率がバブル期以来の水準となり、賃金も上昇している。アベノミクスの第1ステージは成果が出ているとの分析は正しい。

 非製造業にIT(情報技術)投資して生産性を高めることや研究開発費を増やしてイノベーション活動を促進する提言は正しいが、ミクロの解決策を羅列した印象だ。経済財政ではなく、産業白書になってしまっている。マクロ経済運営の視点として、設備投資と生産性の関係を分析したうえで、法人税の引き下げを着実に進めるといった結論を導き出してもよかった。金融政策の分析は日銀の政策を追認しているだけで、物足りなさを感じた。

▼「増税後の低迷、分析が不十分」 小峰隆夫・法政大教授
 景気の現状分析は、安倍政権の方針に縛られている印象を受ける。「四半世紀ぶりの成果」との副題の表現は大げさだ。根拠とする雇用指標や物価関連指標は持続的なものなのか、検証がない。※

 2014年4~6月期、7~9月期にマイナス成長となったことの分析が不十分だ。消費増税の影響だけなのか、他の要因もあるのか、よく分からない。これでは17年4月の増税時への教訓がない。財政、金融政策は記述が少なく、政府や日銀の政策をなぞっており、表面的な分析にとどまった。提言の柱となっている労働市場の改革や生産性を上げるイノベーションの重要性は正しい指摘だ。ミクロデータを駆使する手法を取り入れたことは評価できる。

※ブログ主補記
 「四半世紀ぶりの成果」の根拠は統計(雇用・物価・倒産件数・株価ほか)。それらが「持続的」かどうかの検証など出来るワケがありません。「未来への検証」をいかにやれというのでしょうか。評価時点で達成した成果に難癖を付けるのはあまり関心できません。個人への批判ではなく、この手のコメントがTVも含め目立つのでご参考まで。


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