ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

京都大学法科大学院商法第2問

2006年11月12日 15時40分21秒 | 商法
京都大学法科大学院
入試問題が公開されています。
http://lawschool.law.kyoto-u.ac.jp/entrance/kakomon.html

平成18年度の入試問題商法第2問

http://lawschool.law.kyoto-u.ac.jp/entrance/paper/18shoho.pdf

約束手形の振出人として「甲野太郎」名義の記名捺印を乙山次郎が行い、乙山次郎がその手形を受取人である丙に交付した。このとき、甲野太郎(甲)または乙山次郎(乙)が、当該手形上の責任を負うのはどのような場合かについて論ぜよ。なお、甲と乙は実在する別人であるものとする。

答案構成
○乙の責任(手形作成者)
・乙が甲を自己の名義として振り出した場合
 署名は誰が手形上の債務を負うかどうかが判断できなければならない。
 ↓よって
 周知性、慣用性が必要であり、なければ無効
 ↓しかし
 外観作出の帰責性→後述する手形法8条類推で偽造者としての責任あり

・甲に債務を負担させるため
 乙に代行権限があれば甲が責任を負い、乙は責任無し
 権限がなければ乙は無権限で振り出したため、偽造者の責任を追及
 ↓しかし
 手形法8条は無権代理人の責任であり、偽造者の責任を規定していない
 ↓しかし
 手形法8条は、本人が手形責任を負うかのような外観作出につき、法定の担保責任を負わせた規定
 ↓とすると
 偽造は、本人が手形上の債務を直接負うかのような外観作出した偽造者に責任を認めるべき
 ↓もっとも
 民法117条2項との均衡から手形取得者が悪意・重過失である場合には、偽造者は責任を負わない

○甲の責任(名義人)
・甲が乙に手形の代行権限を付与していれば甲は責任あり=手形債務を負う

・乙が勝手に名義を使用した場合、甲は手形上の債務を負わないのが原則

・甲が乙に自己の名称で営業許諾していた場合(商法14条)
 ↓ここで
 商法14条は手形行為の許諾も含まれるか?
 ↓
 思うに、商法14条は、営業・事業について許諾した場合の規定であり、手形行為の許諾については不可というべき
 ↓
 ∵商法14条は他人名義の営業に対する外観法理であるから
 ↓
 ∴甲が乙に営業許諾していたとしても手形債務を負担しない

・甲は乙に手形の代行権限を付与していない場合は責任無し
 ↓もっとも
 甲が追認(民法116条類推)した場合は責任あり
 ↓では
 表見代理の適用あるか?
 ↓
 思うに、手形についても無権限者による本人名義の手形行為があり、本人に外観作出の帰責性あれば、それを信頼した第三者を保護する必要がある
 ↓よって
 民法の表見代理を類推して手形取得者を保護すべき


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