ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

平成23年度予備試験論文再現(民事実務基礎)

2011年11月14日 22時50分40秒 | 論文
第1 設問1について
1 XはAY間の代金債権を譲り受けている。これを請求するための請求原因事実としては、まずAY間の債権原因事実が必要となる。
  そして、AY間の契約は、金銭消費契約(民法587条)であるから、a返還の合意、b金銭の交付が必要となる要物契約である。
  また、弁済期が必要となるので(民法591条1項参照)、c弁済期の合意が必要となる。さらに、特定するためにd契約日時が必要となる。
  よって、①は、d日時の特定があり、AY間でc弁済期の合意があり、100万円の交付というb金銭の交付があり、a返還の合意がある。
  したがって、これで足りる。
2 AX間で代金債権を譲渡したということについては、AX間の売買契約であるから(民法555条)、a財産の移転を約し、b代金支払いの合意があったことで足りる。また、特定のためにc契約日時も必要となる。
  よって、②は、c契約日時、AX間でa目的物である代金債権を移転することを約し、b80万円で売ったという合意がある。
  したがって、これで足りる。なお、80万円を交付したかどうかは、売買契約の本質ではないため不要である。
3 ①で契約した弁済期の到来によって貸金返還請求権が発生するため、弁済期の到来が必要となる。
  よって、③が必要になる。
4 なお、債権譲渡の通知(467条1項)は、相手方の利益となり、抗弁事由に当たるため、請求原因事実としては不要である。

第2 設問2について
甲説は消滅時効が経過しても時効の援用をするまでは効果が生じないとする不確定効果説における停止条件説である。一方、乙説は、消滅時効の経過により確定的に生じているが、訴訟上で主張しなければ認められないことになる。これらは効果がどのように生じるかについては異なるが、援用する(民法145条)という観念の通知に関して訴訟上主張することは同じとなるため、主張すべき事実に違いはない。
なお、乙説は、訴訟上における攻撃防御方法であるから、時機に遅れた攻撃防御方法として却下される場合(民訴法157条1項)があり得るが、甲説においても信義則上、却下される可能性があるため両説の効力は変わらない。

第3 設問3について
1 ①について
(1) 証拠調べは必要である。
(2) その理由は、①はXがYに対して請求しているのであり、消滅時効の前における請求として時効が中断する(民法147条1号)。
   そして、これは、抗弁事実と両立し、抗弁事実から発生する法律効果を障害し、請求原因事実から生じる法律効果を復活させるため再抗弁に当たる。
   よって、証拠調べが必要になる。
2 ②について
(1) 証拠調べは必要である。
(2) その理由は、②はYがXに対して消滅時効後の債務の承認を行っている。これは明文ないが、Yが消滅時効を知っていた場合には、期限の利益を喪失したことになるし(民法146条)、知らなかったとしてもXは消滅時効を援用されることはないと考えるため、信義則上(民法1条2項)、消滅時効の援用をすることはできないと考える。よって、債務の承認をしたという事実は、抗弁事実と両立し、抗弁事実から発生する法律効果を障害し、請求原因事実から生じる法律効果を復活させるため再抗弁に当たり、証拠調べが必要になる。

第4 設問4について
1 裁判官Jは、資料にある領収証の真正性を確認する必要がある。領収書のような文書は、形式的証拠力と実質的証拠力が必要であるが、形式的証拠力があることを前提として実質的証拠力を検討する。
  そして、領収証のA名義の印影がAの印章によって顕出されたものであれば、これはAの意思に基づいて作成されたという事実上の推定が働き、合理的疑いを入れない限り認められるという一段目の推定が働く。
2 さらに、領収証のA名義の印影がAの印章によって顕出されたものであれば、民訴法228条4項によって、文書全体が真正に作成されたものであるという実質的証拠法則が働くという二段目の推定が働く。
3 これら一段目の推定と二段目の推定を合わせて二段の推定と呼び、これを確認するために裁判官Jは本件のような質問をしたものと考えられる。

第5 設問5について
1 本件弁護士Pは、相手方Yに直接電話を掛けて交渉しようとしている。これは弁護士職務基本規程52条、70条、71条に反しないか。
2 弁護士は信義誠実に職務を行わなければならず(同5条)、相手方弁護士の名誉と信義を重んじ(70条)、「信義に反して他の弁護士を不利益に陥れてはならない」(71条)。
  そして、弁護士の行為が相手方を不利益にさせるような交渉をしてはならないが、「信義に反」せず、「正当な理由なく」(52条)、相手方を不利益に陥れないで交渉をする限りにおいては、認められると考える。
3 本件において、弁護士Qが海外出張をしており2週間不在である。Pとしては早期に紛争解決を望んでいるのであるから、相手方を不利益に陥れない限りにおいて、「信義に反」せず、「正当な理由」があるといえ、認められるといえる。

以上


自己評価 C
評価 刑事実務と合わせてB

感想
設問1はこのような書き方がだと、日時の特定も要件事実になっていますね。
日時の特定は時的因子でしたっけ。時的因子ではないので要件事実としては不要ですね。
設問2は援用の事実の主張を要するかどうかですので評価は低いと思います。
設問3は①については、返済するように求めており、Yは返済しなかったとのことですから請求と思いましたが、判例、通説は催告ですね。
しかも、Yの言い分としてあの金はもらったものだと言っているので、請求に当たらないですね。
設問4は二段の推定について詳しく書きましたが、事案には即していない気がします。
設問5は残り5分で52条を発見したので、文の挿入をたくさんし、不自然な書き方になってしまいました。

解いた時間はだいたい70分ぐらいでした。

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