ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

裁量権

2012年02月04日 19時16分10秒 | 行政法
平成23年度論文試験公法系第2問の行政法の問題で、国土交通大臣の通達による、住民の同意が何に当たるかがよくわかりません。


通達により法の規定する期限、条件を付加したものと捉えると、要件を追加したものとして考えられますが、これは要件裁量とはいえなさそうです。


要件裁量とは、規定の要件が広く解釈できる場合、公益を害するおそれなど、抽象的文言が使用されている場合などに認められるものであり、追加することを要件裁量とはいえないと思います。


効果裁量とは、要件を満たす場合であっても、なお、処分するかしないの問題といえるかと思います。
すなわち、処分内容の選択の問題と、処分をするかどうかの問題があると思います。


住民の同意は、要件を追加してものである以上、要件裁量ではないし、要件を満たさないから許可しないと言っているので、効果裁量とも異なります。

しかし、法律上の要件は満たしているので、独自に通達により要件を追加したが、これにより、処分を認めない、すなわち許可しないという効果が発生していますので、効果裁量とも言えそうです。


去年のこの問題は相当むずかしいです。

原告適格

2012年02月04日 17時43分35秒 | 行政法
行政法の原告適格は行訴法9条の問題です。

これはホントに厄介です。



まず、原告の具体的利益を認定する必要があります。


次に根拠法令の趣旨、目的です。
これは規則に委任されていれば規則も根拠法令になります。

これらが不明確なら、関連法令の趣旨、目的を検討し、これらから根拠法令の趣旨、目的を認定し、原告が主張している権利利益が一般的公益ではなく、個別的利益としても保護されているかを検討します。

そしてあてはめをする場合には、原告らに重大な支障が生ずる場合なのかどうかを考え、保護されている利益といえるかを検討します。


重要なのは、法が個別的利益として保護しているのかを認定し、本件ではどうなのかを認定する必要があり、二段階を踏まなければならないことです。


ここで、保護されている利益がもともと重大なのか、軽微な場合もあるのかも検討の余地があると思います。

例えば、生命、身体の危険として、原発や火災のような被害が大きいもの、それと比較すれば騒音のような被害が小さいもの、といった場合、害される利益の態様、程度の考慮が変わってくると思います。